真田圭一八段
2021.11.22
豊島九段が序盤から仕掛け壮絶な攻め合いに
藤井聡太4冠(竜王、王位、叡王、棋聖=19)が豊島将之九段(31)と戦う第42回将棋日本シリーズJTプロ公式戦決勝が21日、「幕張メッセ」(千葉市)で行われ、先手の豊島九段が95手で勝利し大会連覇を達成した。タイトル戦で激闘を続けた藤井4冠対豊島九段という好カードとなったJT杯決勝を振り返る。
藤井4冠は躍進の一年だった。今年最後の大仕事となるか。一方の豊島九段は、散々な1年だったろう。タイトル戦は全て藤井4冠にやられてしまった。今後巻き直すためにも、ここで雪辱を果たしたいところだ。豊島九段は昨年もJT杯で優勝していて連覇がかかっている。相性のいい棋戦で思い入れも強いだろう。
本棋戦は公開対局。今年1年、大舞台で戦い続けた両対局者を直に見られた観戦者は貴重な経験になったと思う。
さて、JT杯は超早指し棋戦だ。持ち時間は10分で、すぐに一手30秒の秒読みになってしまう。問われるのは直感力。そして迷っているヒマはないので決断力も必要だ。
対局は豊島九段の先手で始まり角換わりに。25手目▲3五歩と序盤から仕掛けたことで一気に激しくなった。対する藤井4冠も負けてはいない。34手目△7五歩から右銀を捌きに行ったことで壮絶な攻め合いとなる。この辺り、タイトル戦なら一手に1時間~2時間使ってもおかしくないところ。特に、藤井4冠は中盤の折衝で形勢を損ねることが圧倒的に少ない。逆に少しでもリードを奪えば再逆転を許さない力がある。早指し棋戦は微妙なバランスの中盤での構想を練る時間がない。
藤井4冠は、本局では激しく攻め合うことで終盤勝負に持ち込み、本来最大の武器と言われる終盤力を発揮したいという意図を感じた。
豊島九段は一歩も引かない棋風だ。激しい攻め合いとなった。本局は中盤で封じ手があり小休止がある。その封じ手、53手目▲6五角が攻防の好手だった。
豊島九段がリードを奪った抜群の一手が…!
その直後、藤井4冠に重要な分岐点が訪れる。55手目▲7二歩に対する飛車の逃げ場所だ。実戦は一目そう指したい△3一飛だった。だが、△2一飛と敢えて角筋に入る場所に逃げた方が良かったというのだから将棋は難しい。具体的には先手の飛車を成らせないためという理由だが、相当に指しづらい。
本譜は61手目▲4五歩が抜群の味。歩が参加すると攻めの厚みが一気に増す。豊島九段がリードを奪った。その後、激しく藤井玉に迫るが、持ち駒を蓄え豊島玉をトン死させる筋を藤井4冠は狙う。それに怯まず駒を惜しまず豊島九段は攻めまくった。
本局最後のハイライトは81手目▲3二同竜の局面。藤井4冠の駒台には溢れんばかりの駒がある。詰んでもおかしくない豊島玉だったが、右辺の守備陣が手厚かった。結局、豊島玉は詰まず、豊島九段がJT杯2連覇の大仕事を成し遂げた。
本局に象徴されるように、豊島九段の強みは攻撃力と後ろに引かない姿勢だ。持ち味を発揮すれば藤井4冠を倒す力は十分持っている。2022年以降もこの2人の対戦は熱い戦いとなるだろう。
藤井4冠は、敗れたとはいえ他方、王将戦の挑戦権を得て、全冠制覇に向けて着実に前進している。22年も藤井4冠を中心に棋界が回ることは間違いない。
情報源:藤井4冠がガックリ肩を落としたJT杯決勝 豊島九段の妙手はどこに? 真田圭一八段解説 | ENCOUNT
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▲豊島将之JT杯覇者-△藤井聡太竜王(棋譜中継・棋譜DB)
豊島JT杯覇者の振り歩先、歩が4枚で豊島JT杯覇者の先手
初手は、▲豊島JT杯覇者 2六歩、△藤井聡竜王 8四歩
52手 7六飛まで、▲豊島JT杯覇者 が53手目を封じる
▲豊島JT杯覇者 の53手目は「6五角」
62手「△8八歩」で勝率逆転
95手 3九玉まで、▲豊島JT杯覇者 の勝ち
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ほぉ・・・
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