棋聖就位式、10/10 朝10時から産経新聞YouTubeチャンネルで配信
2021/10/5 06:00
将棋のタイトル戦「第92期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(主催・産経新聞社、日本将棋連盟、特別協賛・ヒューリック)で、棋聖返り咲きを目指した渡辺明三冠(37)=名人・棋王・王将=の挑戦を3連勝で退け、初防衛を果たした藤井聡太棋聖(19)=王位・叡王=の就位式が10日、東京都内で行われる。
当時、棋聖と王位のタイトル2期を保持していた藤井棋聖は棋聖防衛で3期となり、規定で九段に昇段した。18歳11カ月での九段昇段は、渡辺三冠が持っていた21歳7カ月の最年少記録を更新。初防衛についても、屋敷伸之九段(49)が平成3年の第57期棋聖戦で達成した19歳と7日の最年少記録を更新した。
今期の五番勝負について、「タイトル保持者として、挑戦者と同じくらい状態を高められることが問われる。そうした中、渡辺名人に3連勝というのは望外な結果」と語る藤井棋聖に全3局のポイントとなった局面を挙げてもらった。
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第1局 6月6日
千葉県木更津市の「龍宮城スパホテル三日月」
▲渡辺明三冠△藤井聡太棋聖
午後6時24分、90手で藤井棋聖の勝ち
前期、17歳11カ月の史上最年少で渡辺三冠から初タイトルとなる棋聖を奪取した藤井棋聖に、渡辺三冠が挑戦者としてリターンマッチに臨んだ五番勝負。今年に入り、王将、棋王、名人と3つのタイトルを危なげなく防衛した渡辺三冠との初防衛戦だけに大きな注目が集まった。
振り駒で先手となった渡辺三冠は相掛かりに誘導した。前例がある順で両者の指し手が速く、昼食休憩前には56手まで進んだ。
藤井棋聖がポイントに挙げたのは、55手目▲8七歩から△7五香▲8三香△3四歩▲7七歩と進み、60手目△8八歩=図=の局面。「△8八歩まで進むと後手が指しやすくなっています。このあたりの変化が複雑で、一番の勝負どころだったと思います」
藤井棋聖は△7五香と△3四歩の2手に34分、39分と、それぞれまとまった時間を使った。「2手の考慮中に△8八歩の変化も考えていました」
渡辺三冠はこの手に1時間23分の長考に沈んだ。終局後には「△8八歩はまったく考えていなかった」と明かした。藤井棋聖は「結果的に△8八歩と踏み込んでからはこちらのペースになった感じです」と話す。
初防衛に向けて、後手番での第1局を制した藤井棋聖。「番勝負は、まずは1勝するとホッとします。第2局以降、良い形で臨むことができたと思います」
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第2局 6月18日
兵庫県洲本市の「ホテルニューアワジ」
▲藤井聡太棋聖△渡辺明三冠
午後8時3分、171手で藤井棋聖の勝ち
藤井棋聖が連勝で初防衛に王手をかけるか、渡辺三冠が1勝1敗のタイに戻すか、注目の第2局。
第1局に続いて相掛かりに進んだ。しかし、渡辺三冠の12手目△3四歩で前例のない局面となった。いくつかポイントのある中、藤井棋聖は31手目▲5六角=図=を序盤のポイントとした。渡辺三冠の棒銀に対し、角交換から筋違い角で対抗した手だ。
「後手の3四の歩を取れるのと、後手が棒銀のため、打った角が圧迫される展開にはなりません」。そこから進んだ1筋の端攻めが1つの狙いだった。
本局では、藤井棋聖の時間の使い方も大きな話題を呼んだ。71手目の局面で残り時間が藤井棋聖5分に対し、渡辺三冠は39分。玉の堅さと時間の使い方から実戦的には渡辺三冠が指しやすいとみられた。
「序盤から中盤にかけて、なかなか自分の考えた通りに進むことがなかったので予想以上に時間を使う展開になってしまいました」と振り返る。
しかし、「残り時間が5分と1分の差は大きい。残り少ない時間は大切に使う必要があることを意識していました」。その言葉通り、最後は渡辺三冠が先に1分将棋となり、藤井棋聖は2分を残して勝利した。
巧みな攻めで2連勝とした藤井棋聖は「厳しい状況だった第2局を勝てたのは今回の番勝負にとっては大きなポイントでした」。
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第3局 7月3日
静岡県沼津市の「沼津御用邸」
▲渡辺明三冠△藤井聡太棋聖
午後7時14分、100手で藤井棋聖の勝ち
藤井棋聖が棋聖初防衛に王手をかけて迎えた本局。藤井棋聖が後手番ながら3連勝で一気に決めるか、これまでタイトル戦でストレート負けのない渡辺三冠が現役最強の意地を見せて自身初の4冠に向け、巻き返しを図るか。
戦型は矢倉。藤井棋聖は2筋の歩交換を受けず、右の銀桂の活用を急ぎ、△7二飛と袖飛車を採用した。
進んで、▲2四歩△同歩▲同角の王手の局面で昼食休憩に入った。藤井棋聖は次の42手目△4二金右=図=を「その後の展開を決定づける一手だったと思います」と挙げた。
「△6一玉が自然なんですが、以下、かなり激しい攻め合いになります。先手から強く動いてくる順を選ばれ、どう対応していくか。この手を発見でき、局面の流れを少しだけ穏やかにすることができました」
実は藤井棋聖は別の局面も指摘した。両者が1分将棋となった終盤、渡辺三冠が▲2二角成と金を取った87手目だ。「代えて、先手からは▲7四銀という手がありました。先手に有望な変化が多かったんです。かなり複雑な…。ここがポイントではありましたが、全体的に難解な終盤で印象深かった」と振り返った。
初の防衛戦を3連勝で制した藤井棋聖。「渡辺名人は手ごわい相手で、特に番勝負では力を発揮する印象があります。望外な結果だったと思います」。藤井棋聖が衝撃的な強さを見せつけた番勝負だった。
体調管理「対局後はすぐ寝るように」
藤井聡太棋聖は9月、3冠目のタイトルとなる叡王を奪取し、10代初の3冠を達成した。防衛戦の王位戦、挑戦した叡王戦の対戦相手は、いずれも豊島将之竜王(31)。「豊島竜王と対戦できて、いい勉強になりました」と話すが、8日からの竜王戦で三度(みたび)、相まみえる。叡王奪取で獲得タイトルは通算5期となったが、「(タイトル獲得は)最終的な目標ではありません。結果は関係なく、強くなることが一番の目標であり続けるというのが自分の考えです」と言い切る。
今の「藤井将棋」について、「絶対的な自信があるというわけではなく、むしろ課題を感じながら指している方が多い」と明かす。一連の流れの中で「序盤については以前より高い精度で判断できている場合が多いとは感じている」という。しかし、「中終盤に関しては、それほど伸びていない。どう改善していくかが課題」と分析している。
その序盤の研究には、ディープラーニング(深層学習)系の将棋AI(人工知能)を取り入れた。「局面の評価が正確という特徴があり、特に序盤では使うメリットが大きい」と話し、評価値や読み筋を基本的に見ているという。
過密日程がよく話題に上がる。今年1~4月は多くて月に4局。6月は7局、8月は9局とペースが上がった。移動日もあり、「どの対局にも良いコンディションで臨むには工夫がいる」と話す。対局後は結果によらず、すぐに寝るよう心掛けている。
藤井棋聖といえば、タイトル戦での「将棋めし」やおやつも常に反響を呼んでいる。「どのように選んでいる」のか聞いてみると、「『○○が良い』というのではなくて、気になっているものを選んでいます」と答えてくれた。
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「第92期ヒューリック杯棋聖戦 藤井聡太棋聖 就位式」が10日、東京都内で開かれます。初のタイトル防衛に成功した藤井棋聖の晴れ舞台です。ニュースサイト「産経ニュース」の公式ユーチューブチャンネル(https://www.youtube.com/user/SankeiNews)でライブ配信します。就位式は10日午前10時半、記者会見は午前11時15分頃から始まります。視聴は無料。
情報源:藤井棋聖が振り返る「勝負の分かれ目」 10日に就位式 – 産経ニュース
今期の五番勝負について、「タイトル保持者として、挑戦者と同じくらい状態を高められることが問われる。そうした中、渡辺名人に3連勝というのは望外な結果」と語る藤井棋聖に全3局のポイントとなった局面を挙げてもらった。https://t.co/c9L6hosBdM
— 産経ニュース (@Sankei_news) October 5, 2021
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