黒沢怜生六段-今泉健司五段、千日手2回を経ての今泉勝ち
2021年10月2日 16時30分
同じ局面が繰り返し現れて引き分けとなる「千日手」。将棋の公式戦でこれが生じると、その日のうちに初手から指し直しとなる。名人戦につながる順位戦の9月の対局では、千日手の末に真夜中に決着する熱闘が相次いだ。
■共に振り飛車党、今泉が戦機つかむ C級2組4回戦、2度の指し直し
第80期将棋名人戦・C級2組順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)。ここまで2勝1敗の黒沢怜生(れお)六段(29)と1勝2敗の今泉健司五段(48)が9月16日、大阪市の関西将棋会館で4回戦を戦った。後手の黒沢が角交換振り飛車を採用。今泉が攻め込んだが黒沢がうまくしのぐ。午後7時59分、4回目の同一局面が現れたため、91手で千日手が成立した。
30分後に始まった指し直し局は、後手の今泉が三間飛車を採用し、互いに穴熊の堅陣を構える展開になった。図1は黒沢が▲5四角と打った局面。後手が△6九角成▲同金△7八金と食いつくと、▲8一角成△同金(△同玉は▲6三角以下詰み)▲同竜△同玉▲6三角以下、後手に適当な合駒がなくて詰みとなる。
だが、今泉が打った△5一歩が「一歩千金」の好手。▲同竜なら△6二銀で守りが堅くなる。黒沢は▲9六歩と香車を取ったが、△6九角成▲同金△7八金▲7九金打△6九金▲同金△7八金以下、互いに金打ちを繰り返す手順が続き、午後11時59分に2度目の千日手が成立した。
再指し直し局は17日午前0時29分開始。戦型は黒沢の誘導で1局目と同じ角交換振り飛車になった。今泉がうまく戦機をつかんで、113手で勝ちきった。終局は午前2時20分だった。
今泉は「千日手は嫌い。でも1局目は流れが悪く、2局目も打開したらすぐ負けそうなので仕方がなかった」。黒沢は「2局目は勝ちだったので悔いが残る。日付が変わった頃はヘトヘトだった」と振り返った。
棋士になった順番を示す棋士番号は黒沢が298、今泉が299と1番違い。年齢は離れているが、共に振り飛車党という共通点もある。2019年にも順位戦で230手の大熱戦(黒沢勝ち)を繰り広げた。今泉は「一筋縄ではいかない相手で、互いに棋風が合っている。今回は自分なりの将棋が指せた」と語った。
■戸辺、攻めつなぎ押しきる B級2組4回戦
9月15日のB級2組4回戦では、2勝1敗の戸辺誠七段(35)と3勝0敗の澤田真吾七段(29)が関西将棋会館で顔を合わせた。中飛車穴熊を採用した戸辺が攻めたが、午後10時48分に千日手が成立。指し直し局は、後手の戸辺が四間飛車から升田式石田流に構える作戦を選んだ。
2九の馬が3九に寄った図2の局面。ここで戸辺は▲5九銀を警戒していたという。持ち駒を使ってしまうが、相手の攻めを封じようという手だ。本譜の▲3八金に対しては、△同馬▲同銀△5八歩成▲同銀△6六桂が厳しい。午前1時47分、戸辺が巧みに攻めをつなげて104手で押しきった。「疲れはあったが、勝てたので心地よい疲れだった」
戸辺は、8月に第15回朝日杯将棋オープン戦の1次予選で屋敷伸之九段(49)と森内俊之九段(50)に中飛車穴熊で連勝し、この戦型への自信を深めたという。「今期の順位戦は、最後まで昇級争いがしたい」(村瀬信也)
情報源:(月刊将棋)「千日手」、真夜中の熱闘 名人戦・順位戦:朝日新聞デジタル
村)午後7時59分、千日手成立。指し直し局も午後11時59分に千日手成立ーー。C級2組順位戦で死闘を戦った今泉健司五段と黒沢怜生六段に話を聞きました。
(月刊将棋)「千日手」、真夜中の熱闘 名人戦・順位戦:朝日新聞デジタル https://t.co/yNLRDEQsog— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) October 2, 2021
黒沢六段-今泉五段
千日手局
指し直し千日手局
決着局
戸辺七段-澤田七段
千日手局
指し直し局
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長丁場の対局。
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