87手 6五角打まで、▲藤井聡三冠 の勝ち
2021年9月21日 11時30分
将棋の藤井聡太三冠(19)=王位・叡王・棋聖=が20日、第80期将棋名人戦・B級1組順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の5回戦で木村一基九段(48)に87手で勝った。終盤、相手に生じた隙を見逃さず、藤井三冠らしいアクロバティックな手順で勝利を決めた。
先手の藤井三冠が選んだ作戦は相懸かり。昼食休憩後、木村九段が自分の飛車と相手の銀を刺し違える決断の一手を放ち、激しい戦いに突入した。その後は藤井三冠が攻め、木村九段が丁寧に受ける展開が続いた。藤井三冠の攻めがつながるかどうかが焦点となった。
図は木村九段が78手目△2五銀と打った局面。相手の攻め駒にプレッシャーを与える木村九段らしい手で、次に△3四銀か△3六銀とされると、先手の攻めは途切れてしまう。だが、藤井三冠が3四の金を右手でスライドさせて指した▲2四金が、サーカスのようなうまい一手だった。
金が動いたため、3六の香車で開き王手になっている。木村九段は△3六銀と香車を取ったが、▲1三金と角を取られて困った。△同香と取り返すと▲4一角が王手竜取りになるのだ。
木村九段は、取れる金を取らずに△4二玉。王手竜取りを避けるためとは言え、涙が出そうな辛抱だ。これを見た藤井三冠の右手がむずむずと動く。
すぐに次の手を指したそうなしぐさだったが、4分考えて▲3二歩。△同玉にはやはり▲4一角がある。△4二玉の局面での残り時間は30分。藤井三冠は木村九段の着手後、すぐ▲3二歩に気づいたものの、しっかり読みを入れて確認したのだろう。以下、△3二同銀▲2二金△7一歩に▲6五角の局面で木村九段が11分考え、「負けました」と告げた。竜と成銀の両取りで、後手はさらなる駒損が避けられない。終局は午後11時28分。藤井三冠の玉は最後まで動かず、居玉のままだった。
対局直後のインタビューで木村九段は「(1三の)角を取られて……。もう一工夫というか、粘りを欠いたというか、折れてしまいましたね」と語った。図の局面より少し前の局面で別の粘りの手順を選んでいれば、藤井三冠が攻めきるのは簡単ではなかったようだ。
この日、ネット中継のABEMAでは、AI(人工知能)が「藤井三冠リード」を示す時間帯が長かった。しかし、藤井三冠は対局直後に「激しい変化が多かったので、よくわからなかった」と振り返った。1手のミスが命取りになりかねないギリギリの勝負が終盤まで続く一局だった。
藤井三冠は本局の勝利でリーグ成績は4勝1敗に。A級への二つの昇級枠争いで、5勝0敗でトップに立つ佐々木勇気七段(27)を1差で追う。
一方、木村九段は1勝3敗と苦しい出だしとなった。22日には、神奈川県秦野市で指される第69期王座戦五番勝負第3局で永瀬拓矢王座(29)と戦う。(村瀬信也)
情報源:藤井聡太三冠が見せたサーカスのような王手 木村一基九段の隙突く:朝日新聞デジタル
村)藤井三冠が一気にリードを広げた場面を振り返りました。木村九段、その少し前の局面で粘る手順を逃したようです。詳しくは後日紙面に掲載される観戦記をご覧ください。
藤井聡太三冠が見せたサーカスのような王手 木村一基九段の隙突く:朝日新聞デジタル https://t.co/po3ioFyfEO— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) September 21, 2021
村)藤井三冠が勝利を決定づけた局面を高野五段に解説していただきました。詰将棋のような空き王手でした。
藤井聡太三冠、勝負を決めた鮮烈な空き王手~木村一基九段戦、高野智史五段が解説~【第80期将棋名人戦・B級1組順位戦】=高津祐典撮影 https://t.co/ooTWOXNO0W @YouTubeより pic.twitter.com/vlJ2IPQpHJ— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) September 21, 2021
後手側視点で撮影しました。藤井聡太三冠に攻められているような感覚を味わってみてください。細い攻めが見事につながりました。
藤井聡太三冠、勝負を決めた鮮烈な空き王手~木村一基九段戦、高野智史五段が解説~【第80期将棋名人戦・B級1組順位戦】 https://t.co/81WkvPQMhv pic.twitter.com/IPDcJbAJbp
— 高津祐典 (@yusuketakatsu) September 21, 2021
B級1組5回戦
情報源:第80期名人戦・順位戦 B級1組
56手「△1四歩」の局面~放送終了まで
2:43:00 79手「▲2四金」
3:25:00 木村一基九段 投了
3:28:35 インタビュー
3:37:14 初手からの解説
▲藤井聡太二冠-△木村一基九段(棋譜DB)
79手「▲2四金」
87手 6五角打まで、▲藤井聡三冠 の勝ち
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- 第78期将棋名人戦七番勝負 ライブ中継:朝日新聞デジタル
5戦全勝中の佐々木勇気七段、4勝1敗ながら順位の差で暫定2位の千田翔太七段、同3位の藤井聡太三冠
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