真田圭一八段
2021.09.13
中盤途中までは勝負将棋らしい渋い指し手が続いた
豊島将之叡王(竜王=31)に藤井聡太2冠(王位、棋聖=19)が挑戦した第6期叡王戦五番勝負第5局が13日、東京・千駄ヶ谷の「東京・将棋会館」で行われ、先手の藤井2冠が111手で勝ち叡王のタイトルを獲得した。藤井2冠は史上最年少の19歳1か月で3冠となり、これまで羽生善治九段(50)がもつ22歳3か月の史上最年少記録を大幅に更新するとともに、渡辺明3冠(名人、棋王、王将=37)と並び最多タイトル保持者となった。フルセットで迎えた叡王戦第5局を振り返ってみたい。
藤井2冠にとって、タイトル戦におけるフルセットは初めてだ。この状況は勝った方がタイトルを手にできる、いわば「勝負将棋」とも呼ばれる重要な一戦。同じく一戦必勝のトーナメントと異なるのは、同じ相手と何局も積み重ねた上で、決着をつける一戦であるということ。期間も数か月を要するので、それが結実するのか無に帰するのか、勝つと負けるとでは天と地の違いだ。
もう一つ、タイトル戦のフルセットでは、決着局は先後を振り駒で決めるルールがある。つまり、先手と後手、どちらでも戦える備えも必要になってくる。その注目の振り駒は藤井2冠の先手。そして戦型は相掛かりとなった。藤井2冠の防衛で終了した王位戦七番勝負含め、豊島2冠とのダブルタイトル戦は相掛かりが多数採用された。「相掛かりシリーズ」として位置付けてもいいだろう。
最序盤こそ前例ある展開でスタートしたが、豊島2冠の38手目△5四銀から局面が動き出す。豊島陣は銀が2枚並んだ形。この2枚銀の活躍に豊島2冠は本局の命運を賭けた。ここからしばらくは、勝負将棋らしい渋い指し手が続く。印象的だったのは50手目△3三角と続く51手目▲8八角。共に30分ほどの考慮で、決して短くない消費時間だ。この辺りはお互い指してみたい手が多い局面。そうした中盤の難所で、いい手を指すよりバランスを崩さない指し手を選択するところに、本局の重さと緊張感を感じさせる。
59手目に藤井2冠の秀逸な手があった
勝負の分岐点は58手目△7五銀だったと思う。この手は2枚銀が五段目に並ぶ迫力満点の形。豊島2冠の打倒藤井の考え方は、積極的に前に出て、リスクを取っても攻撃的に行く。これがタイトル戦期間中、一貫していたと思う。ここで代えて△5三銀と銀を引けば、善悪は別として全く違った展開になっただろう。
一方、藤井2冠の方はどうだったか。その後の展開を見る限り、65手目▲6七銀引と73手目▲6六金から続く▲5六金。この金銀の捌きがうまかった。だが、真に秀逸だったのは将棋ソフトも推奨する▲6七銀引の前に、59手目▲2四歩から続く▲2五歩と継ぎ歩攻めしたところにあったと思う。この攻めは次に▲2四歩△2二歩と2筋を詰めた時に、後手玉が遠くて響きが薄く効果を実感しにくい。だがここを境に、以降は一手ずつ指し手が進むたびに、藤井2冠の方に形勢が傾いていった。
本局でも、藤井将棋の大きな武器である中盤力をいかんなく発揮して、終盤は圧倒しての勝利となった。これでダブルタイトル戦は藤井2冠が防衛と奪取、新3冠誕生を10代で達成という結果となった。
勝ち将棋はほぼ不利な局面を作らず勝利するという、デビュー以来変わらない安定した内容で、トップ棋士である豊島2冠を圧倒。だが1か月後にはこの両者は竜王戦に舞台を変えて三たびタイトル戦で激突する。豊島竜王は、ここでもし敗退すると無冠に転落してしまう。棋士人生の意地をかけて立ちはだかるだろう。
藤井新3冠は、もし竜王奪取すれば4冠王となり、8大タイトルの過半を手に入れることになる。そうなれば、史上初の8冠王が見えてくる。そんな壮大な夢にもつながる、藤井新3冠の誕生。この夢は果たしていつまで続くのだろうか。
情報源:藤井聡太3冠誕生! 叡王戦第5局は効果実感しにくい中盤の一手が効いた 真田圭一八段解説(ENCOUNT) – Yahoo!ニュース(コメント)
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藤井聡太3冠誕生! 叡王戦第5局は効果実感しにくい中盤の一手が効いた 真田圭一八段解説https://t.co/VhUa4u04Nb#叡王戦 #藤井聡太 #豊島将之 #真田圭一
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五番勝負の結果
投了までの10分
https://www.youtube.com/watch?v=zXwNRnp0C9I&hd=1
初手からの解説
https://www.youtube.com/watch?v=t8OQOvk_YQs&hd=1
61手「2五歩打」の局面から~
1:11:40 103手「▲9七桂」
1:20:00 投了
1:22:00 インタビュー
1:29:46 感想戦
2:48:42 記者会見
▲藤井聡太王位・棋聖-△豊島将之叡王(棋譜中継・棋譜DB)
111手 6一銀打まで、▲藤井聡二冠 の勝ち
https://www.youtube.com/watch?v=cPJcuCIL3WE&hd=1
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- 第6期 叡王戦 | 株式会社不二家
- 【不二家×日本将棋連盟 共同主催】不二家が将棋タイトル戦「叡王戦」を主催!(PDF)
- 将棋タイトル戦「叡王戦」への特別協賛について | ニュースリリース | レオス・キャピタルワークス株式会社
- 将棋タイトル戦「叡王戦(えいおうせん)」への特別協賛について(レオス・キャピタルワークス)- PR情報|SBIホールディングス
これで三冠達成竜王も取れば年内四冠、王将・棋王もとれば年度内に六冠の可能性も・・・
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