真田家一八段
2021.08.03
中盤には藤井2冠がさすがの手を放つ
豊島将之叡王(竜王=31)に藤井聡太2冠(王位、棋聖=19)が挑戦する第6期叡王戦五番勝負第2局が3日、「常磐ホテル」(山梨県甲府市)で行われ、先手の豊島叡王が161手で勝ち、1勝1敗と並んだ。追い込まれたかと思われた最終盤、大逆転となった叡王戦第2局を振り返る。
藤井2冠の先勝で迎えた第2局。五番勝負なので3勝すればタイトル獲得となるので、もしここで藤井2冠が勝てば、たちまち王手がかかり、藤井2冠が圧倒的優位に立てるという一戦だ。苦手と言われた豊島2冠に対しても、直近で3連勝中。今の流れがそのまま反映されるのか、それとも豊島2冠が踏みとどまれるのか。そんな状況での一戦となった。
まず、序盤は豊島2冠の先手で角換わり相早繰り銀に。この戦型は、昔は激しい戦いになる展開が主だったが、今は違う。歩交換だけしておく、端歩を突いて手を渡す。そんな間合いを計る手がよく出てくる。焦点が分かりにくくなるケースも多く、乱戦、力戦に自信を持っている豊島2冠好みの戦型なのだろう。これまでの対藤井戦でも、中盤までうまく指し回している対局がある。
一方、藤井2冠も対策を用意していた。4筋の歩を伸ばす意欲的な指し回し。難解な中盤となった。その中で先手▲8三角、後手△5四角と角を打ち合ったが、その後、豊島2冠に誤算があったか。盤上の馬が消されてしまい、形勢が一気に藤井2冠に傾く。72手目、△9六歩と戦場から最も遠いところの歩を突いた局面は、いかにも才能を感じさせる手で、このまま藤井快勝で終わっていれば一番目立つ手となったことは間違いない。
追い詰められてからの豊島2冠にすごみ
だが、本局はここからの豊島2冠の追い込みがすごかった。一見すると藤井陣は手付かずで、また豊島2冠の側は歩を使える筋がない。どうやって攻めるかを見ていたら、なんと91手目▲5四銀と歩頭に銀をたたき込んだ。これがいわゆる「人間の手」というやつで、指された側は無理筋と思いつつも、同時に相手の「気迫」というものをひしひしと感じたに違いない。
それでも藤井2冠は冷静さを失ってはいなかった。96手目△5三銀、116手目△7八とと指した辺りは、秒読みの中でも勝利への道筋を見据えた指し回しだ。
だが、本局の豊島2冠の、追い詰められてからの胆力はすごみがあった。たくさん駒を渡して、133手目▲4三歩成と開き直る。「詰ましてみろ」という手だ。不利な側が逆転するにはこうするしかない、という指し方だが、相手は言わずと知れた詰め将棋の名手、藤井2冠。134手目△1六飛、続いて136手目△2六飛打と飛車が2枚横に並んだ形は迫力満点で、詰んでいても全然おかしくなかった。
だが、結果として豊島玉は詰まなかった。こういう場合、プロの世界では「詰まないようにできていた」と言ったりする。つまり、追い込んだ豊島2冠の方に、運が残っていたのだ。
人間同士の勝負として、本局は名局と言っていいと思う。このままズルズル負けるわけにはいかない、という豊島2冠の念が盤上に表現された。そして、相手の気迫に押されながらも、ギリギリ詰むや詰まざるやの局面を作りあげた藤井2冠の強さもよく出た。
叡王戦は1勝1敗で振り出しに戻ったが、これからも両者には、技術の高さと人間ならではの気持ちの入った戦いを期待したい。
情報源:何が起こった? 藤井2冠対豊島2冠の叡王戦第2局は豊島2冠大逆転 真田圭一八段解説(ENCOUNT) – Yahoo!ニュース(コメント)
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投了まで
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初手からの解説
https://www.youtube.com/watch?v=IN92GXzcn6U&pp=sAQA&hd=1
116手 7八と~終局後のインタビュー
0:00 116手を考慮中
44:45 投了
46:45 インタビュー
▲豊島将之叡王-△藤井聡太二冠(棋譜中継)
161手 3七歩打まで、▲豊島叡王 の勝ち
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- 第6期 叡王戦 | 株式会社不二家
- 【不二家×日本将棋連盟 共同主催】不二家が将棋タイトル戦「叡王戦」を主催!(PDF)
- 将棋タイトル戦「叡王戦」への特別協賛について | ニュースリリース | レオス・キャピタルワークス株式会社
- 将棋タイトル戦「叡王戦(えいおうせん)」への特別協賛について(レオス・キャピタルワークス)- PR情報|SBIホールディングス
勝負はタイに
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