第33期竜王戦決勝トーナメント 丸山忠久九段戦
2021年7月18日 5時00分
史上最年少での初タイトル――。昨夏の藤井聡太(18)の棋聖獲得は、将棋界の新しい時代の到来を強く印象づけた。「今後、他のタイトル戦でも次々と挑戦権をつかむのでは」と見る向きもあったが、行く手に立ちはだかる棋士がいた。
丸山忠久(50)。羽生善治(50)と同学年で、名人2期の実績を持つトップ棋士だ。藤井の快挙達成から8日が経った、昨年7月24日。第33期竜王戦の決勝トーナメントで、藤井と初めて対戦した。
午前10時に始まった対局は、午後3時43分に千日手(引き分け)が成立した。持ち時間は各5時間だが、残りは藤井の1時間34分に対し、丸山は3時間59分。大きな差がついたまま、指し直し局が始まった。
丸山は得意戦法の「一手損角換わり」を選んだ。慣れない戦法での戦いになったことが影響したのか、藤井は苦戦を強いられる。午後11時31分、藤井が投了した。タイトル獲得後、初黒星を喫した藤井は「早い段階で形勢を損ねてしまい、苦しい展開が続いた」と語った。
「もっと時間を残していれば」。少ない持ち時間で指し続ける藤井の姿に、そう感じた人も多かっただろう。だが、序盤からしっかり考える藤井の姿勢を丸山は肯定的に捉える。「若い時は、考えれば考えただけ自分のプラスになる。私たちの世代も、かつてはそうしていた。若手が1分将棋になった時、相手のベテランの棋士が何時間も残していることはよくあった」
丸山は藤井戦の勝利後、竜王挑戦者決定三番勝負に進出。勝てば4年ぶりのタイトル戦だったが羽生に敗れた。過去の例を見ると、多くの名棋士が40代半ば以降に成績を落としているが、丸山は今も第一線で活躍している。「年齢的にどこまで戦えるかわからない。ただ、三番勝負に出られたのは良かった」。戦いの日々は続く。=敬称略
(村瀬信也)
◆次週は「名人戦ニュース」です。次回の「大志」は8月1日に掲載します。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)戴冠編:10 初タイトル直後、立ちはだかったベテラン:朝日新聞デジタル
村)早い段階から持ち時間を惜しみなく使う藤井二冠のスタイルを、丸山忠久九段は肯定的に捉えます→「若い時は、考えれば考えただけ自分のプラスになる」
(大志 藤井聡太のいる時代)戴冠編:10 初タイトル直後、立ちはだかったベテラン:朝日新聞デジタル https://t.co/HV1trn2bEh— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) July 17, 2021
|
叡王戦の本選で借りは返した。
|
|
|
|
|
|
★