今日から始まる王位戦第2局はどうなるか?
2021.7.11
先週はまさに、藤井週間だった。藤井聡太二冠が、豊島将之竜王を迎えての「お~いお茶杯王位戦」、渡辺明名人相手の「ヒューリック杯棋聖戦」(産経新聞社主催)と、続けて防衛戦が行われたからだ。
この両方に立ち会いで同行した私だから、立会人のプロ棋士の視点で両方を振り返ってみたい。
最初に戦われたのは王位戦第1局で、名古屋能楽堂で行われた。私は前日のWEB前夜祭で「藤井はタイトルを取られたくないという、守りの気持ちが必要ない年齢が強み」。「豊島は藤井に大きく勝ち越しているだけに、藤井に対して恐怖心がなく、嫌な経験もないため、平常心で戦える強みがある」と、両方の長所を挙げた。
対局は相掛かり戦の序盤から、居合抜きですれ違う展開となった。私は漫画に出てくる「すでにお前は死んでいる」となるかもと控室で言ったが、まさにその通り、2日目が始まった瞬間、藤井が切られている展開となった。
藤井はよほどその部分に触れたくなかったのか、感想戦は1日目の指し手を振り返っただけで、突然終わってしまった。
そして棋聖戦は沼津御用邸で行われた。この日は大雨で、静岡に大災害のあった日だったが、ないかもしれない記者会見のために、30社ほどの記者がホテルに詰めかけていた。
渡辺はこれまで、藤井に対して苦手意識があったような負け方を続け、2連敗でカド番に追い込まれていたが、居直りを見せ、矢倉戦から終始攻勢を取った。これに対し藤井も強気で応じ、丁々発止の戦いとなった。
終盤までは一進一退だったが、最後にきてAIが渡辺勝ちを示したようで、控室は「渡辺が意地を見せたか」と騒然となったが、藤井の終盤力は渡辺に簡単に勝つ手を発見させず、「具体的な手がわからなかった」と渡辺が力尽きた形で敗れた。
藤井はこれでタイトル初防衛。屋敷伸之九段の持つ19歳と10日を破る18歳11カ月の最年少防衛。タイトル3回(防衛含む)で渡辺の持つ21歳7カ月を大幅に破る、最年少九段昇段を果たした。
特にタイトルは1回では九段になれない(名人を除く)だけに、10代での九段はほとんどあり得ない記録である。これに関しては、インタビューで藤井が言った「とにかく強くなりたい」の言葉と共に、来週もう一度検証してみたい。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】新記録連発の藤井二冠 あり得ない快挙18歳で九段昇進 (1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
快挙の藤井二冠について、立会人を務めた青野九段だからこそみえる視点から振り返っていただいています。詳しくは9日の夕刊フジをご覧ください。コンビニ・駅売店でご購入いただけます。#夕刊フジ#藤井聡太#青野照市#渡辺明#豊島将之 #将棋#棋聖戦 pic.twitter.com/vx84yVDVng
— こちら夕刊フジ編集局 (@yukanfuji_hodo) July 9, 2021
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— zakzak (@zakdesk) July 11, 2021
2つ目の防衛なるか?
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