真田圭一八段
2021.07.03
将棋のヒューリック杯棋聖戦5番勝負第3局が7月3日、静岡・沼津市の「沼津御用邸東附属邸第1学問所」で行われ、藤井聡太棋聖(王位、18)が渡辺明名人(棋王、王将、37)に藤井2冠が100手で勝利。3連勝で初防衛となった。この藤井2冠が2連勝でタイトル戦初防衛に王手をかけて迎えた第3局を振り返ってみたい。苦しくなっても相手に分かりやすい勝ち筋を与えない
将棋のヒューリック杯棋聖戦5番勝負第3局が7月3日、静岡・沼津市の「沼津御用邸東附属邸第1学問所」で行われ、藤井聡太棋聖(王位、18)が渡辺明名人(棋王、王将、37)に藤井2冠が100手で勝利。3連勝で初防衛となった。この藤井2冠が2連勝でタイトル戦初防衛に王手をかけて迎えた第3局を振り返ってみたい。
状況的には、藤井2冠にとってここから3局のうち1つ勝てばいいという圧倒的優位な状況。だが勝負に絶対はないし、藤井2冠はタイトル戦番勝負を同時進行で3つ抱えている。勝てるものなら早く勝った方がいい。
一方、挑戦者の渡辺3冠は、実はタイトル戦でストレート負けをしたことがない。1つも勝てずにタイトル戦敗退することは許せないという、一流棋士としてのプライドを感じさせる。
さて、第3局は矢倉の出だし。急戦矢倉を志向する藤井2冠に対し、研究範囲とばかり超ハイペースで指し手を進める渡辺3冠。第1局でも見られた展開だ。
最初のポイントは42手目。王手に対して逃げずに△4二金右と金寄りで防いだ手だ。ちょっと指しにくい手で、渡辺3冠は熟考して▲同角成とその金を取る。これで藤井2冠の玉が薄く、不安定な形になった。玉の防御力が下がると、技を掛けられ易くなり気の抜けない展開となる。
ここから難解な展開となるが、持ち時間を投入せざるを得ない局面が続き、藤井2冠は第2局に続き、少ない残り時間で終盤を乗り切らなくてはならなくなった。形勢は難解のまま終盤に。
だが渡辺3冠が良くできそうな局面もいくつかあったと思う。一番腰を入れて勝利を模索したのは73手目。43分の残り時間の大部分の40分を投入して勝ちを読み切ろうとした。
だが結果的に、はっきりとした勝ち筋を見極めるには至らなかったようだ。この辺りが藤井2冠の凄さで、難解か或いは少し苦しい位の局面になっても、相手に分かりやすい勝ち筋を与えない。形勢のバランスが決定的に崩れることが殆どない。
ギリギリの展開をものにする凄みを感じた棋聖戦だった
最終盤は藤井2冠の強さばかりが際立った。87手目▲5三角成以下藤井玉が詰んでもおかしくないが開き直った。或いは秒読みの中、長手数王手が続いても詰まないことを読み切っていたのか。
渡辺3冠もここは踏み込めなかった。そして藤井2冠が猛攻をしのぎながらの96手目△7一飛と飛車のタダ捨て。飛車を取らせて渡辺玉が詰むことを、ここは完全に読み切っていた。
華麗な手を繰り出しての決着。本当に見事という他なく、3連勝でストレート勝ち。史上最年少タイトル防衛と、史上最年少九段昇段を決めた。また新たな新記録が歴史に刻まれることとなった。
今回の棋聖戦は、3局共に藤井2冠の強さが出た展開となった。内容的には第2局と第3局は渡辺3冠が勝っていてもおかしくなかった。だが、やや追い込まれ気味になってからの藤井2冠の強さは、快勝の展開より凄味を感じさせた。ギリギリの展開で少し良くなっても、そこから勝ち切るのはなお大変。打倒藤井の難しさを実感させるし、だがそれを乗り越えなければ倒せない。
情報源:藤井2冠がストレートで棋聖戦防衛した強みはどこに? 真田圭一八段解説 藤井将棋の強さ(ENCOUNT) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:藤井2冠がストレートで棋聖戦防衛した強みはどこに? 真田圭一八段解説 藤井将棋の強さ | ENCOUNT
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五番勝負の結果
投了までの10分
https://www.youtube.com/watch?v=IHrMb9mjkXM&t=16s&hd=1
終局直後のインタビュー&感想戦
初手からの解説
https://www.youtube.com/watch?v=BqU_YT57aHo&t=18s&hd=1
記者会見
一夜明け会見
村)渡辺明名人がブログを更新しています。有望な局面があったものの、ものにできなかったようです。序盤の研究のぶつかり合いから中終盤の競り合いまで、見応えのある将棋でした。https://t.co/UiKXjxHURI
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) July 3, 2021
対局についてはブログに書きました。https://t.co/Mz6DdoprrF
第2局、第3局は内容は悪くなかったと思いますが、終盤で競り負けました。
対局間隔もあいていて準備としては万全だったと思います。(続く)
— チーム渡辺 (@abT_watanabe) July 3, 2021
敗因を分析して、というのは昨年と同じことを言っていますが、次は競ったスコアに出来るように考えていきたいと思います。
総括するには早いんですが、今年のタイトル戦出場はこれで終わりです。ご声援を頂いた皆さま、ありがとうございました。(渡辺)
— チーム渡辺 (@abT_watanabe) July 3, 2021
▲渡辺明名人-△藤井聡太棋聖(棋譜中継)
96手 「△7一飛」
100手 3六桂打まで、△藤井聡棋聖 の勝ち
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凄八は九段に届くか?
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