中原誠十六世名人(永世棋聖)
2021/7/3 20:11
将棋の藤井聡太棋聖(18)=王位=に渡辺明三冠(37)=名人・棋王・王将=が挑戦した戦「第92期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)の第3局が3日、静岡県沼津市の沼津御用邸で指され、後手の藤井棋聖が勝ち、シリーズ3勝0敗で最年少でのタイトル初防衛と九段昇段を決めた。快進撃を続ける藤井棋聖について、獲得タイトルが棋聖16期など計64期(歴代3位)を誇る中原誠永世棋聖(73)が、その強さや魅力などについて産経新聞に寄稿した。
第92期ヒューリック杯棋聖戦は藤井聡太棋聖に渡辺明三冠がリターンマッチを挑むという注目の一戦となった。私も期待をもってネット中継を見守った。最近テレビを替えたので、大きな画面で楽に見られるようになったのはうれしい。
それにしても藤井聡太の活躍は常に意表をつく。デビューからの29連勝。期待されながらなかなかタイトル戦に登場できなかったが、昨年、初挑戦したと思ったら棋聖・王位を矢継ぎ早に取るという快挙だ。
B級1組へ昇級するまでの順位戦は39勝1敗という圧倒的な成績である。
藤井さんの戦いぶりを見ていると、私にも思い出すことがある。初めて獲得した棋聖に、初防衛の相手は大山康晴名人だった。当時は五冠の時代で、大山先生は四冠王である。
私は21歳、六段で風前の灯(ともしび)ともいえるところだが、あまり気にしていなかった。とにかく体調を整えて全力を尽くす-。それしか考えていなかった。
対局室の検分が終わったあと、関係者が私の部屋に来て「(第1局の)明日はどちらに座るつもりですか」と聞き、私は「上座に座ります」と答えた。タイトル保持者が上座に座るのが当たり前だが、大山名人全盛時代だけに周囲が気を使っていたといえる。
第1局は大熱戦を私が制した。当時としては珍しい「相穴熊」の名局といわれた。結局、3勝1敗で初防衛に成功したことは大いに自信となった。
引退してから12年がたち、最近の将棋は変容が著しい。簡単な日記をつけているので、その中から私なりの感想を引用したい。
6月6日(日)雨模様で散歩できず。午後、棋聖戦第一局、藤井-渡辺を断続的にみる。むずかしくてわからず。夕刻、藤井優勢となる。NHKの碁と島崎藤村「夜明け前」を少しずつ見たり読んだり。競馬(安田記念)は惜しくもハズレ。これで秋までお休みだ。
6月18日(金)はれ 午後、近くの碁の同好会へ。(中略)4時すぎ帰。棋聖戦第二局をみる。難戦を藤井が勝つ。渡辺優勢のときもあったと思うが、むずかしい将棋だった。
注目されたカードは藤井棋聖の3連勝であっけなく終わった。五番勝負は意外に先が短い。おそらく第1局が大きなポイントになるだろうと予想したが、それが当たった感じがする。
私はクラシック音楽を聴くのを趣味としていて、コンサートへも随分いったものである。
残念ながら過去の名指揮者の生の演奏には少ししか接していない。時代が違えばそれも当然のことである。
読者は藤井聡太と同時代に生きる幸せを感じるべきかもしれない。藤井将棋は次にどうなるかわからない、ハラハラさせるところが魅力のひとつである。藤井聡太の時代はまだ始まったばかりである。(寄稿)
■なかはら・まこと
昭和22年、宮城県出身。高柳敏夫名誉九段門下。40年に18歳でプロ四段。43年、第12期棋聖戦で初タイトル獲得。大山康晴十五世名人の後継者として「中原時代」を築いた。獲得タイトルは棋聖16期など計64期(歴代3位)。永世棋聖、十六世名人、永世十段、永世王位、名誉王座の永世・名誉称号を持つ。42年度に記録した勝率8割5分5厘は歴代1位。平成15年から2年間、日本将棋連盟会長。
情報源:【第92期ヒューリック杯棋聖戦】「藤井聡太と同時代に生きる幸せ」 中原誠永世棋聖が寄稿(産経新聞) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:【第92期ヒューリック杯棋聖戦】「藤井聡太と同時代に生きる幸せ」 中原誠永世棋聖が寄稿(1/2ページ) – 産経ニュース
中原誠永世棋聖が寄稿…第92期ヒューリック杯棋聖戦https://t.co/QX720WayNZ
「藤井聡太と同時代に生きる幸せを感じるべきかもしれない。藤井将棋は次にどうなるかわからない、ハラハラさせるところが魅力のひとつである」 pic.twitter.com/BEE3VUlw69
— 産経ニュース (@Sankei_news) July 3, 2021
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五番勝負の結果
投了までの10分
https://www.youtube.com/watch?v=IHrMb9mjkXM&t=16s&hd=1
終局直後のインタビュー&感想戦
初手からの解説
https://www.youtube.com/watch?v=BqU_YT57aHo&t=18s&hd=1
記者会見
一夜明け会見
村)渡辺明名人がブログを更新しています。有望な局面があったものの、ものにできなかったようです。序盤の研究のぶつかり合いから中終盤の競り合いまで、見応えのある将棋でした。https://t.co/UiKXjxHURI
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) July 3, 2021
対局についてはブログに書きました。https://t.co/Mz6DdoprrF
第2局、第3局は内容は悪くなかったと思いますが、終盤で競り負けました。
対局間隔もあいていて準備としては万全だったと思います。(続く)
— チーム渡辺 (@abT_watanabe) July 3, 2021
敗因を分析して、というのは昨年と同じことを言っていますが、次は競ったスコアに出来るように考えていきたいと思います。
総括するには早いんですが、今年のタイトル戦出場はこれで終わりです。ご声援を頂いた皆さま、ありがとうございました。(渡辺)
— チーム渡辺 (@abT_watanabe) July 3, 2021
▲渡辺明名人-△藤井聡太棋聖(棋譜中継)
96手 「△7一飛」
100手 3六桂打まで、△藤井聡棋聖 の勝ち
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凄八は九段に届くか?
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