佐藤康光九段・谷川浩司九段
2021/7/4 17:00
「現役最強」と呼ばれ、番勝負では比類のない強さを誇る三冠の渡辺明(37)をストレートで破り、「第92期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)を制して棋聖位初防衛を果たした藤井聡太(18)。最高段位の九段に最年少でのぼり詰め、他の棋士の追随を許さない域に達したかにもみえる。藤井の進化は止まらない。
「20代の先輩棋士たちが活躍するためには、藤井さんに勝つことは避けて通れない」。十七世名人の資格を持つ九段の谷川浩司(59)は、藤井の強さをこう表現した。
独走を阻むようなライバルの出現こそが、将棋界のレベルアップとともに、藤井自身の成長につながるとみる。「藤井さんとねじり合いができ、強さを引き出せるようになってもらわねばならない」と若手棋士へ奮起を促す。
極限状況の攻防のなかで
6月18日、兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」での第2局。藤井、渡辺両者ともがっぷり四つに組んだ、まさにねじり合いの将棋だった。持ち時間は各4時間。中盤まで藤井は時間を多く費やし、玉を堅く守っていた渡辺と持ち時間が一時は90分近く差がついた。残り時間が少ない中、渡辺の攻めに耐えられるのか、対局を見守っていた棋士の間では藤井不利との声も上がった。
65手を指した時点で藤井の持ち時間は残り7分まで減ったが、そこから鮮やかな指し回しをみせ171手で制した。一手のミスも許されない極限状況での攻防だった。谷川は「(対局中に)いろんな発見があり、楽しくなっていつの間にか時間が過ぎてしまったのでしょう」と解説。「この状態で最善手に近い手を指し続けることは難しいのに、それをやってのけた。集中力が普通の棋士と違う」
一方、永世棋聖の資格を持つ九段の佐藤康光(51)は、解釈に苦慮するように語った。「どこがよくてどこが悪かったのか…。正直、分からない」とした上で「強さが見えにくいが、そこが藤井さんの強さの本質ではないかという気がする」。
負け引きずらない精神力
藤井の強さとは-。谷川は5月に出版した著書で、自らの経験を振り返りながらメンタル面に着目した。「初タイトルを目前にすると、私を含め多くの棋士は緊張や気持ちの揺れがあるものだ」とし、初のタイトルを獲得した昭和58年の名人戦の際は「息苦しく、手が震えた」という。谷川はこのとき21歳2カ月。最年少での名人で、今も破られていない。
一方で藤井は、さまざまな重圧の中、昨年の棋聖戦を3勝1敗、今期は3連勝で制した。「防衛戦でも心の動きは感じなかった。どのような状況でも百パーセントの力を出せるすべを身に付けている」と解説する。
棋聖戦だけでなく、藤井は王位戦七番勝負で防衛戦、さらに25日開幕の叡王戦五番勝負でも挑戦者として戦う。いずれも、相手は二冠の豊島将之(31)=竜王と叡王=だ。その豊島とは、6月30日の王位戦第1局で完敗といえるほどの黒星を喫した。
しかし、わずか3日後、決着局となった棋聖戦第3局で藤井の指し回しは、負けを引きずった様子などはみられなかった。谷川は「敗因を分析して今回につなげたはず」と推測する。先の王位戦について藤井は、棋聖戦初防衛後の会見で、「持ち時間を長く残して早い終局になってしまった。熱戦にできなかったことがファンに申し訳ない」と話しながら、次を見据えていた。
王位戦、叡王戦で藤井とタイトルを競う豊島。藤井に7勝1敗と大きく勝ち越している。谷川は「大げさに言えば『自分の30代は藤井さんと戦うんだ』と覚悟を決めたんだと思う」という。
いよいよ棋界は「藤井時代」に入った。棋聖戦で苦杯をなめた渡辺も捲土(けんど)重来を期す。藤井に対する「壁」となるべく、トップ棋士たちが全力で臨む。(敬称略)
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史上最年少の18歳11カ月でのタイトル初防衛と、10代初の九段昇段を成し遂げた藤井聡太の強さに迫る。
情報源:【藤井時代(上)】レジェンドも知りたがる強さと熱戦の本質 – 産経ニュース
【藤井時代(上)】レジェンドも知りたがる強さと熱戦の本質https://t.co/0NyDRRz3F5
最高段位の九段に最年少でのぼり詰め、他の棋士の追随を許さない域に達したかにもみえる。
藤井の進化は止まらない。
— 産経ニュース (@Sankei_news) July 4, 2021
【藤井時代(上)】レジェンドも知りたがる強さと熱戦の本質https://t.co/Z2cU8v7TLy
「第92期 #ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)を制して棋聖位初防衛を果たした18歳の #藤井聡太 棋聖。その強さの魅力に迫る。— 産経ニュースWEST (@SankeiNews_WEST) July 4, 2021
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五番勝負の結果
投了までの10分
https://www.youtube.com/watch?v=IHrMb9mjkXM&t=16s&hd=1
終局直後のインタビュー&感想戦
初手からの解説
https://www.youtube.com/watch?v=BqU_YT57aHo&t=18s&hd=1
記者会見
一夜明け会見
村)渡辺明名人がブログを更新しています。有望な局面があったものの、ものにできなかったようです。序盤の研究のぶつかり合いから中終盤の競り合いまで、見応えのある将棋でした。https://t.co/UiKXjxHURI
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) July 3, 2021
対局についてはブログに書きました。https://t.co/Mz6DdoprrF
第2局、第3局は内容は悪くなかったと思いますが、終盤で競り負けました。
対局間隔もあいていて準備としては万全だったと思います。(続く)
— チーム渡辺 (@abT_watanabe) July 3, 2021
敗因を分析して、というのは昨年と同じことを言っていますが、次は競ったスコアに出来るように考えていきたいと思います。
総括するには早いんですが、今年のタイトル戦出場はこれで終わりです。ご声援を頂いた皆さま、ありがとうございました。(渡辺)
— チーム渡辺 (@abT_watanabe) July 3, 2021
▲渡辺明名人-△藤井聡太棋聖(棋譜中継)
96手 「△7一飛」
100手 3六桂打まで、△藤井聡棋聖 の勝ち
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凄八は九段に届くか?
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