藤井聡太棋聖としてはここで決めておきたいところ。
2021/07/03 07:30
将棋の藤井聡太棋聖(18)=王位=が、史上最年少のタイトル初防衛に王手をかけている「第92期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)」第3局は3日に静岡県沼津市で指される。対局を前日に控えた2日は、挑戦者の渡辺明三冠(37)=名人・棋王・王将=と対局室の検分などに臨んだ。注目の大一番について、史上最年少名人の記録を誇り十七世名人の永世資格を持つ棋界の第一人者、谷川浩司九段(59)が本紙に展望を語った。
「光速の寄せ」で棋界を席巻した谷川九段。このほど新著「藤井聡太論 将棋の未来」(講談社+α新書)を発表。自身と同様に中学2年でプロ入りした藤井棋聖の成長ぶりと強さについて言及しているが、第3局へ向けて、改めて分析した。
2人の初対面は2010年。名古屋市内でのイベントで、当時小学2年だった藤井少年に指導対局を行い、引き分けを提案して大泣きされた。
「当時を思い返せば、こんなに成長する子供がいるのかなと。まだ10年ぐらいしかたっていないですから」と感慨深げ。「今の藤井さんを例えるなら、球速160キロを超え、コントロール抜群で球種も多彩になった投手」と表現した。
藤井棋聖は棋聖戦五番勝負で、棋聖位の奪還を狙う渡辺三冠に2連勝。初防衛に王手をかけた。谷川九段は第1局について「渡辺さんが研究してきた通りの形に誘導したはずですが、藤井さんの、盤面を大きく見る視野や局面を柔軟に考える良さが出た」と指摘。
第2局については「藤井さんは玉をあまり囲わなかった。令和の将棋と思いました。平成時代は玉の固さがポイントだったが、令和は金銀の配置のバランスを重視する。持ち時間が10分ほどになっても疑問手はなく、集中力と読みの速さが際立った」とたたえた。
追い込まれた最強挑戦者についても言及。「渡辺さんの番勝負の強さは、戦略を立てて臨むことにある。AIの力を借りれば、終盤の入り口ぐらいまでは想定することも可能。2連敗していても第3局は五分五分の戦いなんです」と見る。
谷川九段は、第3局の勝敗が両者の今後を大きく左右すると指摘する。
「渡辺さんが藤井さんをどう見ているか。18歳差で、将棋界では15歳以上離れた相手とタイトル戦で長く戦い続けたケースはほとんどない。そういう相手と今後もタイトル戦で戦い続ける覚悟を持って臨んでいるか。3連敗で決着すれば苦手意識が出てしまう。渡辺さんは一つずつ返すしかない」とエールを送った。(丸山汎)
谷川 浩司(たにがわ・こうじ)
1962(昭和37)年4月6日生まれ、59歳。神戸市出身。九段。76年、14歳で史上2人目の中学生棋士に。83年、名人戦でタイトル初挑戦し21歳で史上最年少名人。タイトル獲得は通算27期。92年、史上4人目の四冠(竜王・棋聖・王位・王将)。97年、十七世名人の資格獲得。2012年12月から17年1月まで日本将棋連盟会長。18年、史上5人目の公式戦通算1300勝。14年、紫綬褒章。
情報源:【谷川浩司九段が分析】藤井聡太棋聖は球種多彩な160キロ投手 棋聖戦第3局は「五分五分」 – サンスポ
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— サンスポ (@SANSPOCOM) July 2, 2021
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▲渡辺明名人-△藤井聡太棋聖(棋譜中継)
渡辺明名人の先手
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棋聖戦をここで終わらせれば、6日の順位戦(vs久保利明九段)、13日の王位戦第2局、21日の王位戦第3局、25日の叡王戦第1局、といくらかスケジュールが楽になる。
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