へぇ・・・
2021年6月21日 6:00
(1)37手まで前例を完全コピー
「男子、三日会わざれば刮目して見よ」とはよく言ったもの。日々の鍛錬で進化を続ける天才棋士は、また新たな最年少記録の更新に王手をかけようとしている。将棋という対人競技において、いかに人と会わずして類いまれな強さを身につけたのか。コロナ禍にも動じない独自トレーニングの全貌に迫る。
6月6日、「第92期ヒューリック杯棋聖戦」の第一局で、藤井聡太二冠(18)と前タイトル保持者の渡辺明三冠(37)が激突。昨年のリベンジに燃える渡辺の仕掛けに、真っ向から迎え撃つ藤井の実力が際立つ対局だった。将棋専門誌ライターが戦況を振り返る。
「先手の渡辺さんが選んだ戦型は、互いに居飛車の先の歩を動かす『相掛かり』。玉の周囲をあまり囲わないうちに戦いが始まり、指し手の早い激しい将棋になりました。まさに盤上の殴り合いで、開始から1時間も経たないうちに、両者とも羽織を脱ぐ熱戦になりました」
そして、どこか既視感のある序盤の展開にギャラリーがザワつき始める。現地で解説を務めた屋敷伸之九段(49)が語る。
「二人が最後に対局した『朝日杯将棋オープン戦準決勝』(21年2月11日)と全く同じ進行でした。藤井二冠の大逆転勝利となった対局でしたが、終盤まで渡辺三冠の優勢で進んでいました。事前準備をした上で、雪辱を晴らしたい思いがあったのかもしれません」
結果、37手目までは前例を完全コピーした局面が続いた。先手必勝を試みた渡辺のシナリオに綻びが生じたのは、藤井が繰り出した42手目。常識破りの「8七同香不成」によってペースを乱されることになる。
「この一手には驚きました。セオリーでは敵陣に入った駒は成るものです。確かにこの場面では、成ったところで次の狙いに乏しかったので、あえて成らずに桂馬を取る手を残したのでしょう」(屋敷氏)
さらに、渡辺を思考の迷路へと誘う「神の一手」が炸裂する。
「60手目の手裏剣と呼ばれる『8八歩』です。相手の飛車取りを放置する一手だっただけに、見事でした。みすみす飛車を渡すことになりかねないので、非常に難しい判断を求められたと思います。この手が『利かし』となり、のちの展開を有利に運ぶことになりました」(屋敷氏)
渡辺は、次の手を指すまでに83分間の長考。まさに青天の霹靂だったようで、
「丸っきり考えていなかった」と、対局後の取材に答えたほど。中盤から終盤にかけては、完全に藤井の独壇場だった。屋敷氏が唸る。
「66手目の『3三桂』が決定打になりました。相手の急所の桂馬と自陣の遊んでいる桂馬が交換になり、なおかつ角を活用できる展開にもつながりました。渡辺三冠としても、前手で『4五桂』と跳ねてプレッシャーを与えたばかりだっただけに『やられたぁ!』という一手だったのでしょう」
情報源:藤井聡太「最年少タイトル防衛」へのマル秘特訓(1)37手まで前例を完全コピー | Asagei Biz-アサ芸ビズ
2021年6月21日 6:00
(2)「10秒7億手」の超速AIを用いて…
そんな藤井の強さを語る上で欠かせないのが、コンピュータ将棋ソフトによる「AI研究」だろう。「タヌキの為に鐘は鳴る」などのソフト開発に携わる野田久順氏が解説する。
「パソコンのモニターに映る盤面に局面を入力すると、最善手や先手・後手のどちらが優勢かを『評価値』と呼ばれる数値で示します。一手ごとの全パターンをしらみつぶしに読む『全幅探索』がプログラミングされており、人間の頭脳よりも短い時間でより深く広く読むことが可能になりました。藤井さんも評価値が表示される機能がお気に入りで、プロ入り前の奨励会三段リーグ時代から事前研究の一環として活用してきたようです」
その具体的な活用方法については、コンピュータ将棋ソフト「水匠」開発者の杉村達也氏が続ける。
「大きく2パターンに分けられます。一つ目は、自分の対局を振り返る『復習』。AIに一手ごとに評価させて、形勢が傾いた場面や悪手を指した場面を割り出します。二つ目は、対局前に有利な局面を洗い出す『予習』。対戦相手の棋譜をデータベースから取り寄せてソフトに入力し、序盤の展開を研究します。今回の棋聖戦の棋譜は、途中まで前回の対局を踏襲したものでした。おそらく二人ともAIを用いた事前研究をして対局に臨んだのでしょう」
ともすれば、序盤の形勢は、棋士同士の実力よりもAIの性能で左右されそうである。トップ棋士の中で頭ひとつ抜きん出るためには、AIを扱うハード面の充実も忘れてはならない。「AI将棋の申し子」とまで評される藤井は、自作の「ハイスペックPC」を用意して研究環境を整えているという。ITジャーナリストの西田宗千佳氏によれば、
「PCの脳にあたるCPUに、『Ryzen Threadripper 3990X』という最高クラスのパーツを使用しています。価格は50万円で、研究者や複雑な計算を伴うエンジニアが使う代物です。その他のメモリーなどのパーツを含めると、全体で100万円は下らないと思われます」
さらに、野田氏が補足するには、
「1秒間に7000万手を読むことができると言われています。わずか10秒で7億手の『超速AI研究』が可能なんです」
一般的なノートパソコンと比べても性能は桁違いのようで、
「市販のノートパソコンと藤井先生のPCだと、20〜30倍ぐらい計算速度に差があります。一般的に2倍の差があるだけで、AI同士の勝率は高性能なほうに7割5分〜8割は傾くと言われています。読みの深さとPCの性能は比例するとされ、藤井先生は事前研究の時点で大きくリードしている可能性があります」(杉村氏)
棋聖戦の勝敗は、盤外の時点で決していたのかもしれない。
情報源:藤井聡太「最年少タイトル防衛」へのマル秘特訓(2)「10秒7億手」の超速AIを用いて… | Asagei Biz-アサ芸ビズ
2021年6月21日 10:00
(3)感想戦で「ウフフフ~」
どれだけAIが将棋界を席捲しようが、対人戦を軽んじているわけではない。だが、列島を猛襲するコロナ禍で「密」を避ける行動様式が、棋士同士の研鑽に大きな変化をもたらしたという。
「棋力を上げるために複数人で議論を交わす『研究会』や1対1で対局する『VS』を前ほど頻繁に行えなくなりました。去年あたりから、直接人に会って対局する機会は全くなくなりました。最近の対人戦といえば、月に1〜2回オンラインで対局するぐらいでしょうか」(屋敷氏)
将棋会館のある東京や大阪に拠点を置く棋士でさえ、対人戦の確保には手を焼いている。まして、地元・愛知に拠点を置く藤井の場合は言わずもがな。
対人トレーニングが満足に行えなければ、勝負勘の衰えを招きかねない。それをカバーするのが、対局後の「感想戦」である。その一端は、5月31日の「第6期叡王戦本戦トーナメント」2回戦で垣間見られた。
「かねてから『VS』をともにする研究パートナー、永瀬拓矢王座(28)との対局でした。しばらくご無沙汰だったのか、盤上の積もる話が満載だったようで、対局後の『感想戦』は1時間以上にわたってみっちり行われました。AIでは補えない終盤の局面についても議論を深めたといいます。時には『ウフフフ~』と、笑い声が漏れることも。まるで、アルバム写真のページを一緒にめくるカップルみたいでしたよ」(プロ棋士OB)
盟友との再会で、心の充電も満タンになったようだ。
藤井といえば、対局で一手目を指す前に必ずお茶を飲むことで有名だが、将棋のトレーニングにおいてもルーティンを踏んでいく。
「対局前の控え室で解いている『詰め将棋』ですね。かつて雑誌のインタビューで『詰め将棋は必ず解答があるし、対局と違って負けることがないからどんどん好きになった』と答えていましたが、みずから問題を作成するほどにハマッています。趣味と対局終盤のイメトレが半々といったところでしょうか」(将棋専門誌ライター)
そして、バラエティー色の強い非公式対局でも、早指しに磨きをかける。
「初期の持ち時間が5分で一手ごとに5秒加算される『フィッシャールール』が採用された『ABEMAトーナメント』で、初回の18年と19年に個人で、20年にはチームで優勝しています。トーナメントを勝ち上がることで場数をこなし、終盤の粘り強さを鍛え上げました。今の藤井なら、たとえ1分将棋にもつれ込んでも〝秒〟で正確な手が指せますよ」(プロ棋士OB)
今年のトーナメントからチームリーダーに就任した藤井。四連覇とともに終盤力にも注目したい。
情報源:藤井聡太「最年少タイトル防衛」へのマル秘特訓(3)感想戦で「ウフフフ~」 | Asagei Biz-アサ芸ビズ
2021年6月21日 10:00
(4)高校自主退学の理由とは?
プロデビューから長く両立してきた学業からの〝卒業〟もあった。2月16日、日本将棋連盟を通じて、1月末に高校を自主退学していたことを発表したのだ。
「昨年はタイトル戦が続いたこともあって物理的に学校に通えない時期が続きました。移動日を含めて、棋聖戦で3日間、王位戦で4日間拘束されます。それぞれが5番勝負、7番勝負と対戦が続くのに加えて別の対局もあった。対局以外の予定は絞っていたのかもしれませんが、事前研究の時間を確保したかったようです。昨秋の時点で退学の決意を固めていたとも言われています」(プロ棋士OB)
高校生から社会人になった今年もハードスケジュールは相変わらず。棋聖戦と王位戦の合間に、順位戦と叡王戦が組み込まれる過密日程が控えているが、
「勝者の宿命ですが、夏の暑さも相まって、体力の消耗が激しくなるでしょう」(屋敷氏)
とはいえ、藤井もただ呆然と待ち構えるだけではない。夏バテしない体力づくりに余念がないのだ。
「毎日の腕立て伏せと背筋10回ずつをノルマにしているそうです。実は藤井さんが退学をして最も気にしていたのは、運動機会の減少なんです。在校時も運動と言えるものは徒歩で学校に通うことぐらいでしたしね。通学の代わりに始めた散歩は三日坊主に終わったみたいですが、筋トレをして運動不足を解消しているようですね」(将棋専門誌ライター)
もっとも、こなれ感の出てきた袴姿にも努力の跡が透けて見える。
「今回の防衛戦で着用した藍のぼかしの入った羽織と淡い緑色の着物は、昨年の棋聖戦に勝利した副賞。防衛戦に備えて、都内の呉服店で着付けを教わってきたそうです。昨年の和装デビューでは、トイレに行くにもひと苦労でしたが、今では一人で着付けができるレベルにまで成長しました」(将棋専門誌ライター)
タイトルホルダーとしての自覚が、身だしなみの〝評価値〟を増大させたようだ。第2局は6月18日。舞台となる兵庫県・淡路島で、タイトル防衛を一気に手繰り寄せられるか。
*「週刊アサヒ芸能」6月24日号より
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