西山朋佳女流三冠

西山朋佳女流三冠、棋聖戦第1局で自身初の新聞解説「重圧を感じなかった藤井先生の一手」 : スポーツ報知

ほぉ・・・


2021年6月7日 14時28分

西山朋佳女流三冠
西山朋佳女流三冠

将棋の西山朋佳女流三冠(25)=女王、女流王座、女流王将=は6日、藤井聡太棋聖(18)=王位=が挑戦者の渡辺明名人(37)=棋王、王将=に先勝した第92期棋聖戦五番勝負第1局を対局モバイル中継で観戦し、本紙で自身初の新聞解説を行った。タイトル獲得通算8期、防衛戦5戦5勝と大舞台を知る女流三冠ならではの視点で注目の頂上決戦第1ラウンドを振り返った。(構成・北野 新太)

藤井先生と渡辺先生のタイトル戦を私がお話しさせていただくなんて、本当におこがましすぎることなのですが…少しだけお許しいただけたら幸いです。

私は振り飛車党ですので相居飛車戦は詳しくないのですが、ずっと両者の研究範囲のまま進行する非常にクオリティーの高い将棋だと感じました。

お二人ともあまりに研究が深く、本当に全ての指し手の可能性を正確に網羅し、詰む・詰まないの局面まで研究していないと指せない手をたくさん指しておられました。その深さは、おそらく他の戦型でも同じような展開と対応がなされていたのだろうな、という印象を受けるような深さで、やはりタイトルホルダーは凄まじいな…と改めて思いました。

先勝された藤井先生の指し手で特に印象に残るものはふたつあります。

中盤で形勢を手繰り寄せた△3四歩は「藤井先生は初防衛戦なのにプレッシャーを感じておられないんだな」ということが表れている一手でした。私は防衛戦の時、いつも「頂いた肩書はなんとか…」という気持ちが芽生えてプレッシャーになったり、気持ち的に守りに入ってしまう部分があるんですけど、全然違うのでしょうね…。

直前の渡辺先生の▲8三香はとても意味深な手でしたので、飛車取りを受ける△8二歩の一手(が必然)だと思っていましたけど、私は一秒も読まなかった△3四歩だったので、ビックリしました。飛車取りを受けず、銀を取るのでもなく、角道を開ける堂々とした一手。飛車を取られても意外と横からの攻め筋は難しいという本譜の進行を深く読んでおり、本当に素晴らしい判断の一手だったと思います。終盤、巧みに桂交換を迫って△3三桂も素晴らしい決め手だと思いました。

私も五番勝負を7回経験させていただきました(注・6回制している)が、4度は開幕局を落としています。「あと2回負けるまでに3回勝たないといけないのか…」と突然、道のりが長く感じられる一方で、1局目を指すことで「この方とのタイトル戦ってこんな感じだったなあ」と感じられて、どこか「こなれる」感覚があるんです。渡辺先生は39回もタイトル戦に出ておられ、29期ものタイトルを重ねて来られた百戦錬磨の先生ですが、おそらく第1局を指して「藤井棋聖とのタイトル戦はこんな感覚だったな」と思い出されたようなところもはあるのでは、と想像します。後手番としての戦い方を確立されておられる先生ですので、第2局が本当に楽しみです。

将棋を指す上での常識、セオリーのようなものはそれぞれに異なると思いますが、渡辺先生の「常識」は将棋の全てを網羅するほど広範囲にわたり、なおかつ常に正しい印象があります。局面を見た瞬間に形勢判断ができること、持ち時間の使い方などの全てを含めて一切の隙がない先生だと思います。

藤井先生は…本当に遠い遠い場所まで行ってしまった先生です。勝ち将棋は、ひとつの詰将棋を創っているのではと思える瞬間もあるくらい、ものすごい印象を受けます。私も刹那的に擦れ違った(注・2016年、奨励会三段リーグ最終戦で藤井三段は西山三段に勝利して四段昇段を決め、史上最年少棋士となった)ことがあるのですが、あれは本当に現実だったのでしょうか…。

僭越ながら、少しお話しさせていただきました。ありがとうございました。

◆西山 朋佳(にしやま・ともか)1995年6月27日、大阪府大阪狭山市生まれ。25歳。伊藤博文七段門下。5歳で将棋を始める。2010年、関西奨励会入会。14年1月に初段、同9月に二段、15年12月に三段昇段。18年、マイナビ女子オープンで初タイトルの女王を獲得。19年はいずれも里見香奈を相手に女王防衛、女流王座と女流王将を連続奪取。豪快な攻めを持ち味とする振り飛車党。4月に奨励会を退会して女流棋士に転向。姉の静佳さん(28)は囲碁棋士初段。

情報源:西山朋佳女流三冠、棋聖戦第1局で自身初の新聞解説「重圧を感じなかった藤井先生の一手」(スポーツ報知) – Yahoo!ニュースコメント

情報源:西山朋佳女流三冠、棋聖戦第1局で自身初の新聞解説「重圧を感じなかった藤井先生の一手」 : スポーツ報知



渡辺明名人-△藤井聡太棋聖(棋譜中継棋譜DB

90手 6四桂打まで、△藤井聡棋聖 の勝ち


 


 

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