6月6日開幕
2021.5.23 10:00
6月6日開幕の将棋タイトル戦「第92期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)で、藤井聡太棋聖(18)=王位=に挑戦するのは、渡辺明三冠(37)=名人・棋王・王将=に決まった。前期と立場が違えど、同じ顔ぶれとなった。藤井棋聖にとって棋聖は初のタイトルで今回、初の防衛戦だ。渡辺三冠は棋聖を奪還し、自身初の4冠を目指す。今年の将棋界で最も注目される戦いが始まる。
第一人者の試金石
「今回の五番勝負は、これからの(将棋界での)立ち位置を考える上での試金石となる」。今月7日、東京都内で行われた第70期王将就位式で、棋聖戦への意気込みを記者団から尋ねられた渡辺三冠。棋界の第一人者として、藤井棋聖と対決する覚悟がにじんだ。
昨年の五番勝負の際は、渡辺三冠は当時棋聖、棋王、王将を保持し、名人戦に挑戦中。そんな充実ぶりを示す第一人者に最年少記録を塗り替え続ける若き天才が挑むという構図だった。挑戦者だった藤井七段(当時)が16連続王手をかわし、妙手を放つ様子はお茶の間でも話題を集めた。
結果は渡辺三冠からみて1勝3敗。タイトルを失った棋聖戦第4局翌日の自身のブログでこう書き込んだ。「負け方がどれも想像を超えてるので、もうなんなんだろうね、という感じです」。
安定の戦略家
渡辺三冠は棋聖を失冠したとはいえ、その後は充実。挑戦中だった名人戦で豊島将之二冠(31)からタイトル奪取を果たした。王将戦では、現在の4強の一人である永瀬拓矢王座(28)から、棋王戦はトップ棋士の一人、糸谷哲郎八段(32)からそれぞれ防衛に成功した。
現在は、名人戦で斎藤慎太郎八段(28)の挑戦を受けた七番勝負を戦い、3勝1敗とリードしている。
大阪商業大学アミューズメント産業研究所の主任研究員、古(こ)作(さく)登さんは名人戦の戦いぶりから渡辺三冠について「懐が深く、安定感がすごい」とみる。「第1局の負け方は後に引いてもおかしくない。だがその後、相手のやりたいようにやらせつつ、攻めを見切っている戦いぶり。例えれば横綱相撲」とたたえた。
4月30日の棋聖戦挑戦者決定戦の相手は、永瀬王座だった。渡辺三冠がリードされる場面が多く、「アマ高段者がみれば永瀬王座が挑戦者になりそうと考えたはず」と古作さん。だが、終盤で形勢が傾く。古作さんは「永瀬王座がミスをするよう、戦略家の渡辺三冠が仕向けた」と分析。そのまま渡辺三冠が押し切り、挑戦権を勝ち取った。
ベストの着手
一方の藤井棋聖も好調だ。昨年の棋聖獲得後は2つ目のタイトル、王位も手にし、今年2月には朝日杯将棋オープン戦で3度目の優勝を飾った。今月6日の王座戦挑戦者決定トーナメントで黒星を喫するまで、昨年10月からの連勝が19となっていた。
古作さんは「序盤に死角は少ないし、読み切る能力もすごい」と藤井棋聖の総合的な完成度の高さを挙げる。「淡々と盤上に向かっているが、ベストの着手を目指す意欲やスタンスはぶれていない」と話した。
今回の両者の戦いについて「藤井棋聖にとって渡辺三冠は一番手ごわい挑戦者でしょうが、気にしていないと思います。そこがすごいところ」と指摘。一方で「渡辺三冠はこの五番勝負を棋界の第一人者としての峠ととらえているかもしれない。戦術や作戦を吟味してぶつけてくるでしょう」と予想する。
王将就位式で渡辺三冠は藤井棋聖との対戦について「昨年の棋聖戦は藤井さんと初めてのタイトル戦で、それ以前は公式戦で1局しかやったことがない状況だった。藤井さんの実力や特徴、長所などいろいろなところが分からなかった」と振り返った。
その上で「昨年経験したことで、今持っている情報は昨年とは全然違う。(タイトル戦)1回目と2回目とではこちらが得られる情報量は大違いだが、2回目と3回目ではそんなに大差がない」と、2回目となる藤井棋聖との五番勝負の重みを語り、こう続けた。
「今回の番勝負は、自分にとっても今後に向けての大きな番勝負になる」。将棋界の歴史に残る名勝負となりそうだ。
(中島高幸)
情報源:藤井棋聖に挑む渡辺三冠「棋界の立ち位置」決める棋聖戦(1/2ページ) – 産経ニュース
藤井聡太棋聖に挑む“戦略家”渡辺明三冠 「棋界の立ち位置」決める #棋聖戦 https://t.co/vbmN2t9lON
— 産経ニュースWEST (@SankeiNews_WEST) May 23, 2021
6月6日 (日)9時から対局開始
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第1局の先手は?
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