第91期棋聖戦
2021年5月2日 5時00分
2020年春。藤井聡太(18)は、棋聖戦と王位戦で挑戦権争いを演じていた。そんな折、前代未聞の事態が起きる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出だ。宣言に伴い、日本将棋連盟は長距離移動を伴う対局を延期する。愛知県在住の藤井は、東京や大阪への移動が必要な公式戦を消化できなくなった。
5月27日。連盟が発表した、宣言解除後の新たな対局予定は驚くべきものだった。「棋聖戦準決勝(6月2日) 棋聖戦挑戦者決定戦(同4日) 棋聖戦五番勝負第1局(同8日)」。「挑戦者決定から4日後にタイトル戦開幕」という異例の強行日程になったのは、なぜか。
「当初は『日程が組めない』と思った。パズルみたいだった」。連盟常務理事の鈴木大介(46)は、そう振り返る。
当時、棋聖を持っていた渡辺明(37)は、棋聖の防衛戦と開幕が遅れた名人戦七番勝負を並行して戦うことになった。主催者は対局場への移動などに配慮しつつ、複数の日程が重ならないようにする必要があった。
他にカギとなった棋士が豊島将之(31)と永瀬拓矢(28)だ。豊島は名人の防衛戦だけでなく、永瀬に挑戦する叡王戦七番勝負を控えていた。そして、藤井と永瀬は共に棋聖戦で挑戦者になる可能性があった。「誰がどこで勝ち、どこで負けるか」のパターンを全て想定するのは至難の業と言えた。鈴木は「棋聖戦の決着が7月ではなく8月になる案も検討した。ようやく調整がついたのが、あの日程だった」と明かす。
藤井は結局、棋聖戦と王位戦の両方で挑戦権を獲得する。棋聖戦では、タイトル挑戦の史上最年少記録をわずか4日の差で更新した。鈴木は言う。「記録に配慮して日程を決めたわけではありません。藤井さんが『持っている』ということでしょう。それにしても、こんなに勝つとは思いませんでした」=敬称略(村瀬信也)
◆今回から「戴冠編」です。毎週日曜に掲載します。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)戴冠編:1 コロナ下のタイトル挑戦、異例の強行日程:朝日新聞デジタル
あ
へぇ・・・
|
|
|
|
★