他方、お隣の囲碁界では基本的に引退がない。
2021.5.2
年度末は一部の棋士にとって進退、すなわち引退に関わる時期でもある。
棋士の引退はいくつかのケースがあるが、一番多いのはフリークラス規定による引退だ。
規定とはC級2組から降級するとフリークラスとなり、60歳までか10年間の在籍。
また降級前に自らフリー宣言すれば、15年在籍で65歳まで。ただしこちらは、C2復帰の道はない。
今回、この規定で引退したのが、東和男八段と金沢孝史五段だ。東はこの規定での最高齢となる、65歳での引退である。彼は棋士として活躍の他、関西本部の理事を長く務め、連盟の運営に大きく寄与した。
また規定でなく、自ら引退を宣言する棋士もいる。特に第1人者となった棋士には、クラスが落ちたことを機に、宣言するケースがよくある。
古くは木村義雄14世名人が、若き大山康晴15世名人に敗れ、名人の座を失った時に「よき後継者を得た」と言って引退したのは有名だ。
升田幸三実力制第四代名人も体調不良で2期休場の後、出場するかどうか(当時、3期休場は降級の制度)を、若手と非公式戦3番勝負を指して決めると提案があった。
初戦を勝ったものの、2局目の私に敗れたら突然、即引退を申し出て、A級在籍のまま引退したのだった。最終で指すはずの谷川浩司九段が「升田先生と指す機会を失った」と残念がっていたのを思い出す。
しかし今回の橋本崇載八段(38)のように家庭の事情、特に社会問題となっている、子供の連れ去りという事象での引退は、将棋界初である。
将棋より家庭、特に子供のことの方が大切、という気持ちは分からなくはない。しかし我々は子供の頃から将棋を強くなることだけに人生を賭けてきた。
人に(社会に)対して誇れるものは、将棋が強いということだけなのである。
かつて森●二九段や郷田真隆九段の師匠である、大友昇八段(40、当時)は、B級1組の順位戦を戦っている最中に突然引退を申し出た。
当時は事情があったのだろうが、数年後に「現役に戻してくれないか」と申し出て、将棋連盟に拒否されたということがあった。やはり棋士は現役で指したいのだ。
今後橋本がどういう人生を歩むのか、気になるのは私だけではないであろう。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
情報源:【勝負師たちの系譜】棋士の引退理由…最多は規定による在籍期間切れ 過去には現役復帰を懇願するケースも (1/2ページ) – zakzak:夕刊フジ公式サイト
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— zakzak (@zakdesk) May 2, 2021
将棋界も以前は厚生年金に加入していたとか・・・
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