ほぉ・・・
2021年5月1日 16時30分
春真っ盛りです。街に出ると「新人」を多く見かけます。ランドセルが歩いているかのような新一年生。学生っぽい雰囲気を残した新社会人。彼らの3月までの姿を想像すると、ちょっとほほ笑ましい気分になります。
4月初め、増田裕司六段が企画する「お花見イベント」に友情出演しました。手作りイベントだけに棋士は私たち二人だけ。会場の確保に始まり、案内チラシの作成やお土産の用意まで、全部二人でこなします。
公園の桜を見渡せるビルの屋上に将棋ファンが集まって開始。トークショーやクイズ大会、将棋盤を見ずに符合を伝えて指す「目隠し将棋」などで大いに盛り上がりました。
手作りのイベントに手作りプレゼントはうれしいものです。一人で参加してくれた小学4年の少年は、割りばしで作ったペン立てをプレゼントしてくれました。
0を1にするためには想像以上の労力が必要です。後援や協賛の企業、仕事をする棋士、イベントに来てくれる将棋ファン。この三つを自力でつなげた増田六段に、私も棋士としての在り方を大いに学んだものです。
その翌週、私の地元の名古屋市内で、「杉本賞」を冠とする新しい子ども将棋大会が行われました。私も学生の弟子4人を連れて駆けつけました。
大会の主催は、障害者支援もされている地元の特定非営利活動法人団体です。共生・共働をめざす理念は、対局相手を敬う将棋の心と通じるものがあります。
有段者の少年もいれば、昨年将棋を覚えた女の子もいる。はさみ将棋を楽しむ子もいました。多種多様さは将棋が広く普及している証しです。
音をたてないように、重なっている駒を取る「山崩し」で遊ぶ小学生2人を見かけました。「少しやらせて」と仲間に入りましたが、一枚も取れません。
「杉本先生、そういうの苦手なんですか?」と横で見ていた小学生。「山崩しのプロじゃないからね」と私。地域密着イベントならではの距離感です。
参加者や地元の人たちとの「共生」を実感できる将棋イベント。今後も増やしていきたいものです。
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すぎもと・まさたか 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2019年2月に八段。第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太二冠の師匠でもある。
※この回は4月に書かれました。
情報源:(杉本昌隆八段の棋道愛楽)地域イベント 地元密着、気さくな距離感:朝日新聞デジタル
へぇ・・・
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