渡辺明名人が超早指しで検証したい重要事項「脳は年齢で衰えないのか」/将棋・ABEMAトーナメント

渡辺明名人が超早指しで検証したい重要事項「脳は年齢で衰えないのか」/将棋・ABEMAトーナメント 【ABEMA TIMES】

渡辺明名人


2021.03.17 11:59

“現役最強”と呼ばれ、現在最多の三冠を保持する渡辺明名人(棋王、王将、36)には、将棋を用いて検証したい重要事項がある。それは「脳は年齢で衰えないのか」ということだ。将棋において、早指し戦はその瞬発力、判断力に勝ることから、若手有利というのが定説だった。だが、今の渡辺名人はそれに疑問を持っている。前回に続き出場するプロ将棋界の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」で、リーダーとして頂点を目指しながら、将棋界の常識を覆すようなことに目を向けている。

前回もリーダー棋士として参加した渡辺名人。近藤誠也七段(24)、石井健太郎六段(28)と所司一門でチームを組むと、準優勝に輝いた。「決勝まで行かせてもらいましたし、お正月のスピンオフにも呼んでもらって、ABEMAのルールで1年中やらせてもらったという印象に残る大会になりました」と、3人1組の団体戦、持ち時間5分・1手につき5秒加算という超早指しを、堪能しまくった。「第3回は、たぶん僕が一番対局数が多かった。千日手やら持将棋やらもあったし。慣れも見込めると思うので、次はもうちょっとやれる」と、今回に向けて経験値には全く不安がない。

団体戦としてはわかりやすく、同門でチームを組んだことも楽しかった。後輩2人に、最強の背中を見せ、盤外ではエンタメ感たっぷりの応援でファンを楽しませた。「個人にのしかかる責任というか重みというか、そういうところも感じましたし、勝てば喜びも倍、負けるとその個人が責任を感じないといけないところも出てくるんで、いろいろだなっていうのはありましたね」と、タイトル27期の実力者でも知らない、感じたことがないものはまだまだあった。

「個人が3人集まった」ではなく「3人1組」というものを強く意識したリーダーでもあった。予選は先鋒、中堅、大将、本戦は1局ごとに出場させる棋士を考えることになったが、ここにはかなり神経を使った。「やっぱり一門で組んだし、3人ですごく作戦を練ったので、準優勝まで行けたんです。他のチームより戦力的にすごく上回っていたとは思わないけど、作戦的には他のチームよりかなり練っていた。3人で作戦を言い合って、それを使って、みたいなことをしていたんで」。対戦相手に対して、3人で対策を練り、出場する棋士にそれを託す。個の力に頼って戦ってきたチームとは決定的に違う点だ。

満足した前回大会でも、1つ気になることがあった。ベテランの活躍だ。若手が有利と言われていたはずの早指し戦なのに40代、50代の棋士が肝心な対局で若手を下す。ここで渡辺名人は疑問を抱いた。「脳の専門家の方に話を聞く機会があったんですが、脳の衰えというのは、年齢で衰えるっていうのは立証されていないそうなんです」と、声のトーンを1つ上げると「体力には差があるじゃないですか。若い人と40代、50代には。短い持ち時間だと体力は失われない。このルールだと、だいたい1局20分なんですが、そうなった場合に実は『若手有利』というのは、短い持ち時間で当てはまるのか…。その結果も検証の意味で楽しみたいんです」と続けた。体力、つまり披露によって脳の機能が低下することはあっても、脳そのものは年齢で衰えない。もしそうだとすれば、体力の差がそれほど出ない超早指し戦であれば、若手有利の定説は通じないのではないか。これが渡辺名人にとって、今大会最大の関心事だ。

検証事項もありながら、ドラフト会議ではもちろん優勝を目指したチームづくりを心がける。前回大会で、チームとしての連携が重要だと感じただけに「自分の場合は『はじめまして』という人を選ぶことはないですね」と、何かしら縁のある棋士を指名すると断言した。とはいえ、多趣味であることから人脈も広い渡辺名人。選択肢は多い。「1巡目にどういう人を取れるかで、チームのコンセプトも変わってくる。1巡目が終わってみて、臨機応変に考えたいですね。1人目に誰を取れるかで2人目に誰を指名するか変わってきます」と、組み合わせも考えながら臨機応変な指名をするようだ。

新型コロナウイルスによる公式戦の中止、延期があった中で、ファンを楽しませてきた前回大会。今年もさらなる盛り上がりが待っている。「第4回大会も非常に、より反響も大きくなっていきますので、長く楽しめるように、少しでも上に勝ち上がって頑張りたい」と意気込んだ。仲間と優勝を目指して戦い、その上で「年齢と脳」の関係を検証する。今回も、渡辺名人は誰よりも大会を楽しむ。

◆第4回ABEMAトーナメント 前回までは「AbemaTVトーナメント」として開催。第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦になった。チームはドラフト会議により決定。リーダー棋士が2人ずつ順番に指名、重複した場合はくじ引きで決定する。第3回は12チームが参加し永瀬拓矢王座、藤井聡太王位・棋聖、増田康宏六段のチームが優勝、賞金1000万円を獲得した。第4回は全15チームが参加。14チームは前年同様にドラフトで決定。15チーム目はドラフトから漏れた棋士によるトーナメントを開催、上位3人がチームを結成する。対局のルールは持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チーム同士の対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負に変更された。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。

情報源:渡辺明名人が超早指しで検証したい重要事項「脳は年齢で衰えないのか」/将棋・ABEMAトーナメント(ABEMA TIMES) – Yahoo!ニュースコメント

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