船江恒平六段、高見泰地七段は共に敗戦
その結果、高見七段の昇級決定。
夕食休憩明けからの中継アーカイブ
高見七段のインタビューは4:47:22頃から
村)昇級を決めた高見七段のインタビュー、先ほど終了しました。録画で見られるようになるまで、少々お待ちください。中継が中断する時間帯が生じてしまい、失礼しました。ご視聴、ありがとうございました。
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) March 9, 2021
4:50:58ごろから、高見七段の昇級インタビューです。取材しながら、もうグッときてました。プレッシャーとの戦い、命を削るほどの思い、どうか本人の言葉を聴いてみてください。
【対局中継】高崎一生七段―高見泰地七段 昇級かけた1局【第79期将棋名人戦・C級1組順位戦】 https://t.co/CT9R6ynLB8
— 高津祐典 (@yusuketakatsu) March 9, 2021
2021年3月10日 13時00分
第79期将棋名人戦・C級1組順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終11回戦が9日、東京と大阪の将棋会館で指された。昇級のかかった高見泰地七段(27)は、自身の対局では痛恨の黒星を喫したものの、競争相手の敗戦で昇級が決定。順位戦ならではの劇的な結末だった。
順位戦は、名人挑戦権を争うA級からC級2組まで五つのクラスがある。下から二つ目のC級1組には今期37人が参加。それぞれ10局戦い、成績上位3人がB級2組に昇級できる。
10回戦を終えた時点で、9勝0敗の高崎一生七段(34)と8勝1敗の増田康宏六段(23)の昇級が決定。残り1枠を、8勝1敗の高見七段と7勝2敗の船江恒平六段(33)の2人が争うことになった。前期の成績に基づく順位が高見七段より上の船江六段は、自身が勝ち、高見七段が敗れた場合、昇級できる状況だった。
高見七段は東京都渋谷区の将棋会館で高崎七段と対戦した。高崎七段の三間飛車に高見七段が居飛車穴熊で対抗。熱戦になったが、全勝がかかる高崎七段が好機をつかみ、リードを広げていく。高見七段は逆転を狙うが、形勢は好転しない。午後11時29分、高見七段が投了を告げ、高崎七段の勝利が決まった。
敗れた高見七段は無言で将棋盤を見つめ、無念そうな表情を浮かべた。しかし、決着の3分前、大阪で対局していた船江六段が敗れており、高見七段の昇級は既に決まっていた。高見七段は結果的に命拾いすることとなった。順位戦で、「勝てば昇級決定」の一局で敗れたのに昇級するケースは珍しい。
高見七段は叡王のタイトル獲得経験があり、NHKの将棋番組「将棋フォーカス」で司会を務めている人気棋士。「まだ実感がない」と語りつつ、「もっと上を目指していきたい」と抱負を述べた。
◇
対局後のインタビューで高見七段は、昇級の喜びと共に、タイトル獲得後のプレッシャーや同世代から受けた刺激について語った。一問一答は次の通り。
――昇級、おめでとうございます。
「ありがとうございます。実感がないですけど」
――高崎七段との将棋は負けたが、昇級となった。
「今日は昇級するつもりで来た。最初、リーグ表を見た時から、高崎先生との将棋は『もしかしたら大きい一番になるかも』と思っていた。そこまで上がり目があるように、と思っていた。何とか星をつないできた。前局が終わってから、この将棋に勝つことだけを考えていた」
夢にまで追いかけてきた順位戦
「プレッシャーがすごかった」「この一番は3、4年分の価値が…」。高見七段は終局後、思いを率直に語りました。「勝って昇級する以外はないと思って、やっていた。全勝者が高崎七段しかいなかったので、ここで自分が勝ちたいなと。自分が止めれば周りも納得してくれるのでは、と思った」
――本局の内容は。
「序盤から想定した局面になって、準備はうまくいったと思った。夕食休憩の時も、そんなに差がついていないと思った。相手が1分将棋になって△6六銀から△8四歩と突かれた手が読みになくて、動揺してしまった」
――読みにない手をやられた後は。
「(87手目に)9三の銀を取って△同飛に玉を(7八に)早逃げして脱走するという手の方が良かった。手番を渡すので勇気がいるが。▲3八飛(87手目)で悩ませようと思ったら、本譜は負け筋に入っていた」
――終盤はどんな心境だったか。
「全部いい手が来た。公式戦で当たっている相手だが、1分将棋になってから非常に強いなと思っていた。順位戦の6時間の中でも最後、1分将棋で強い先生なので、次にリベンジするには、鍛えないと厳しい相手だと思う」
――投了の時の気持ちは。
「(15秒沈黙)奨励会6級で入ってから、昇級、昇段の一番は逃したことがなかった。自力で負けたことは多分なかった。チャンスに強い、と言い聞かせてやっていたが、投了の瞬間は申し訳ないと思った。師匠にも申し訳ないと思った」
――記者から昇級を伝えられた。
「部屋に入ってきた瞬間、『もしかしたら』と思った。終わったばかりだったので、局面で頭の中がいっぱいだった」
――今期の10局で印象に残る将棋は。
「昨年の春から日常が変わってしまって、4月、5月が全然ダメな状態だった。このまま突入すると厳しくなると思った。初戦の西尾先生(=西尾明七段)との将棋からギリギリの戦いだった。(2回戦の)高橋(道雄)九段との将棋は力負けで、一流棋士だなと思った。それで吹っ切れたというか、『上がらなきゃ』という思いがなくなって、『1勝でも多く勝てれば』という気持ちに変わった。後半は1月からプレッシャーがすごかった。12月まではそんなに意識せず指せていた。この1カ月間はよく順位戦が夢に出てきた。今までにない感覚だった」
――2期連続の昇級となる。
「前期はそれこそ命がけというか、大所帯のC級2組は地獄のような感じだった。今回は順位が悪いので上がれるとは思っていなかったが、昇級枠が3に増えたので、9勝1敗なら、もしかしたら上がれるかなと思った。多分、新参加の3人はそう臨んでいたと思う。一緒に上がった関東の三枚堂さん(=三枚堂達也七段)には、研究会がオンラインになってもすごく教えてもらって、隣で対局することも多かったのですごく励みになった。『負けてられないな』という気持ちが出たので、感謝している。あと、B級2組になるとシードが多い。他の棋戦でも『もっといい場所を狙えるかもしれない』というところからスタートできる。この一番は3、4年分の価値があるかなと思って臨んでいた。今回上がれなかったら、来期は上がれなかったと思う」
――来期の抱負は。
「C級2組で上がるまでに8期ぐらいかかって大変だった。その時に順位戦の重みを学んだ。最後、周りの対局の結果によってという昇級になったが、でも非常にうれしい。上を目指していきたいという気持ちになれた。上がれなかったら、またしばらくダメだったと思う」
――前期の昇級の一番の前夜は眠れなかったと聞いた。昨夜は。
「昨日は10時半ぐらいには寝た。前期よりは前日はリラックスして、しかも詰め込んできたので、序盤はうまく乗り切れたが、力が足りなかった」
――C級2組在籍時にタイトル(叡王)を取った。
「タイトルを取ったが、もっと力をつけないといけないと思っていた。C級で戦っていると結構厳しい言葉を浴びせられたので、C級1組は初参加だったが、C級を脱出することができてうれしく思う」
――活躍する棋士が多い世代。今回の昇級が持つ意味は。
「同い年の斎藤さん(=斎藤慎太郎八段)はもう名人に挑戦されて(渡辺明名人に挑む第79期将棋名人戦七番勝負は4月に開幕)、同い年で一番輝いている。同い年は7人いると思うがみんな強い。人数が多い世代にいるのは偶然だけど幸せなことだと思っている。同じ世代があまりいなかったら、将棋へのモチベーションを維持するのが難しい。ライバルと思っている人が何人もいる。今回B級2組に上がったが、一緒に勉強している同年代の棋士も上がってくる。お互い切磋琢磨(せっさたくま)して頑張っていきたい」
――またタイトル戦の舞台に立つことをファンから期待されている。
「実力的に足りなかったことはあるが、C級にいたことがすごく負い目になっていて、精神的になかなか大変だったんで。もしかしたらB級に上がれることで、将棋が楽しくできるかもしれない。ここ数年は本当につらかったので、上がりたいなと思っていた」
――師匠(石田和雄九段)も応援の言葉をかけていたと思う。
「実は今期は、ほとんど電話をかけてこなかった。前期はすごく応援してくれたが、今期は見守る姿勢を貫いていたのだと思う。(師匠の)ユーチューブチャンネルで『勝てば上がれるから、勝負強いから頑張れ』という番組は見ていた。数年前に(タイトルを取って)喜ばせることはできて、恩返しはできたが、それ以上に心配をかけることが多かったので。まずはB級まで来られたので、上を目指していきたいと報告したい。見守ってくれているおかげだと思う」
――技術的なこと、それ以外のことで強くなったという手応えは。
「(タイトル戦の)大勝負を経験したことが大きくて。今日も、緊張していたが、番勝負を経験していたので、比較的対局が始まってからはリラックスして指すことができた。最後の方は緊迫感が増してきたが。将棋が強くなっているという感覚は正直ない。勝負強さ、順位戦の指し方、勝ち方はこの2年ぐらいでどうやったら勝率が上がるかな、ということは実はつかんだということはある」
――メンタル面での進歩の手応えがあるということか。
「元々精神的にそんなに強くないので、注目されすぎると人目を避けていきたくなる。C2にいた時は、このまま上がれなかったらどうしようという気持ちがずっとあった。C級1組に上がってうれしかったが、何年いるかわからないなと思っていた。今回(昇級が)3枠になって、制度のはざまでつかみ取ることが多いので、そういう意味ではチャンスがあるのでうれしいなと思っていた」(村瀬信也)
情報源:敗戦3分前、劇的な昇級 高見七段「C級負い目だった」:朝日新聞デジタル
第79期順位戦C級1組、3月9日(火)は、高崎一生七段VS高見泰地七段 戦が東京・将棋会館にて行われ、高崎七段が118手で高見七段に勝ちました。
高崎七段は前節で昇級を決めており、今期のC級1組順位戦は10勝0敗となりました。
高見七段は今期のC級1組順位戦は8勝2敗となり、他局の結果によりB級2組への昇級が決まりました。
情報源:高崎一生七段VS高見泰地七段 第79期順位戦C級1組 高崎一生七段の勝利|棋戦トピックス|日本将棋連盟
C級1組11回戦
現在進行中の第79期C級1組順位戦3月9日(火)は11回戦、18対局が行われました。
対局の結果は以下の通りです
【東京・将棋会館】
▲高見泰地七段● vs △高崎一生七段○(Y・DB)
▲増田康宏六段○ vs △先崎学九段●(Y・DB)
▲片上大輔七段● vs △日浦市郎八段○(Y・DB)
▲飯島栄治八段○ vs △門倉啓太五段●(Y・DB)
▲北島忠雄七段○ vs △青嶋未来六段●(Y・DB)
▲宮田敦史七段○ vs △高野秀行六段●(Y・DB)
▲佐藤秀司八段● vs △及川拓馬六段○(Y・DB)
▲島朗九段● vs △千葉幸生七段○(Y・DB)
▲三枚堂達也七段○ vs △阿部健治郎七段●(Y・DB)
▲佐藤和俊七段● vs △真田圭一八段○(Y・DB)
▲小林裕士七段● vs △西尾明七段○(Y・DB)
▲森下卓九段○ vs △田村康介七段●(Y・DB)
【関西将棋会館】
▲村田顕弘六段○ vs △船江恒平六段●(Y・DB)
▲金井恒太六段● vs △古森悠太五段○(Y・DB)
▲阪口悟六段○ vs △青野照市九段●(Y・DB)
▲平藤真吾七段○ vs △高橋道雄九段●(Y・DB)
▲都成竜馬六段● vs △石井健太郎六段○(Y・DB)
▲安用寺孝功七● vs △豊川孝弘八段○(Y・DB)
これらの対局の模様は、名人戦棋譜速報と日本将棋連盟ライブ中継でご覧いただくことができます。(ライブ中継は※の対局のみ)。宮本広志五段は抜け番です。
情報源:第79期名人戦・順位戦 C級1組
順位戦のドラマだ……。高見さん投了ですが、昇級です。 pic.twitter.com/Uaz6GsBzbf
— 高津祐典 (@yusuketakatsu) March 9, 2021
村)C級1組順位戦、2敗の船江恒平六段が村田顕弘六段に敗れました。1敗の高見泰地七段は敗れましたが、昇級です。劇的な結末でした。
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) March 9, 2021
https://twitter.com/katsumata/status/1369294964111335427
石井六段との順位戦。
長考の末強引に動いていきましたが、少し無理気味でした。もう一手早く仕掛ける手はあったかもしれません。
終盤は綺麗に見切られてしまいました。これで今期は指し分けとなりました。課題の残るリーグでしたが、修正して来期また頑張ります。
— 都成 竜馬 (@tonabou_shogi) March 9, 2021
船江先生投了で、終局を待たず髙見先生のB級2組昇級が決定…!
公認会計士試験合格と順位戦昇級のダブルは果たせませんでしたが、今期の好成績や試験合格は必ず未来に繋がると思います。
船江先生に勇気をもらった人は多いはず。お疲れ様でした。— 白鳥士郎 (@nankagun) March 9, 2021
#高崎一生 七段が勝利
【 第79期 #順位戦 C級1組】
○高崎一生七段 VS ●高見泰地七段
第79期順位戦C級1組、3月9日(火)は、高崎一生七段VS高見泰地七段戦が東京・将棋会館にて行われ、高崎七段が118手で高見七段に勝ちました。https://t.co/6lsO4OgPrQ
— 日本将棋連盟【公式】 (@shogi_jsa) March 9, 2021
▲高見泰地七段 vs △高崎一生七段
118手 5八歩打まで、△高崎七段 の勝ち
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▲増田康宏六段 vs △先崎学九段
125手 4四香打まで、▲増田康六段 の勝ち
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▲飯島栄治八段 vs △門倉啓太五段
125手 6二銀打まで、▲飯島八段 の勝ち
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▲村田顕弘六段 vs △船江恒平六段
159手 3五桂打まで、▲村田六段 の勝ち
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▲金井恒太六段 vs △古森悠太五段
122手 8一玉まで、△古森五段 の勝ち
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- 第79期名人戦・順位戦 C級1組
- 名人戦棋譜速報│将棋・名人戦順位戦棋譜速報サイト
- 名人戦棋譜速報(@meijinsen)さん | Twitter
- 第78期将棋名人戦七番勝負 ライブ中継:朝日新聞デジタル
昇級おめでとうございます。
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村)昇級を決めた高見七段のインタビュー、先ほど終了しました。録画で見られるようになるまで、少々お待ちください。中継が中断する時間帯が生じてしまい、失礼しました。ご視聴、ありがとうございました。
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) March 9, 2021