本文中のプロフィールはちゃんと「女流三段」ってなってるのに、記事のタイトルは三段なのか・・・。編集はちゃんと確認してるのかね?
2020/12/30 06:00
香川愛生(女流三段・27歳)
2020年は未曽有の年でしたが、私にとっては周囲への“感謝”をつくづく実感できた一年でした。
将棋は「世界一、平和な戦争ゲーム」とも呼ばれ、世の中が平和であってこそ続けられる娯楽のひとつです。こうしたご時世に不要不急なものはいらないとお叱りを受けて当然ですが、日本将棋連盟など周囲の方々にも助けられ、平素と変わらずに対局ができました。当たり前でない日常で、誰かのおかげで当たり前に将棋が指せる喜びです。
そんな中にあって、藤井聡太先生の2冠達成(王位・棋聖)は将棋界にとっても明るい話題でした。羽生善治先生もそうですが、スターというのはまとっているオーラの種類が違います。藤井先生に関しては、特に史上5人目の中学生プロになられた頃からの私の印象ですが、発する言葉に力がありました。しかも、あれほどの偉業を成し遂げられながら、決して見えを張りません。本当に将棋が好きで、将棋のことばかり考えているのがわかります。
私も将棋が好きということにかけては負けていないと思っていますが、15歳でプロ入りした頃、もっと将棋に集中したいという思いから、アニメやゲームを我慢していた時期がありました。ところが、成績は思ったほどに伸びなかった。いわゆるスランプに陥ってしまい、環境を変えようと思い、京都の立命館大学に進学しました。
幼い頃から母子2人っきりの生活で、母は内心では近場の大学に通ってもらいたかったかもしれませんが、思い切って母の元から離れたのです。
立命館の将棋研究会には実力のある先輩が大勢集まっておられました。プロである私がアマチュアの彼らにまったく歯が立たない。ところが、講義と講義の空き時間に将棋を指し、東京で対局して夜行バスで大急ぎで大学に戻ってまた講義を受けていた20歳の時、初めてのタイトルである「女流王将」を獲得できたのです。コスプレに興味を持ち始めたのも同じ頃でしたが、人とは不思議なもので、ひとつのことに夢中になればうまくいくとは限らないのです。
大学では「言語コミュニケーション論」を学びました。私自身、誰かに相談したりするのが苦手な性格なのですが、コミュニケーションは受ける側と伝える側の両方の視点に立つことが重要。将棋の対局では言葉こそ発しませんが、話さなくても伝わるものがあります。卒論に選んだテーマも「将棋の指し手でわかる人間らしさ」でした。
不遇の女流棋士に初めての順位戦が創設された
棋士には通常言われる棋士と、女流棋士の2つがあります。これまでに女性で棋士(四段以上)になった人はおらず、なかなか待遇面でも不遇だと言われてきました。20年の自粛期間はイベントや指導対局などの仕事も減り、収入面に関しては厳しかったかもしれません。ただ、私らの世代は随分と恵まれた環境にあります。私自身、10年くらい前からニコニコ生放送中継などに〈聞き手〉として呼んでいただいたりもしていますし、20年は女流で初めての順位戦となる「ヒューリック杯白玲戦」(優勝賞金1500万円)も創設していただきました。こんな環境下でも定期的に対局が行える(収入がある)のは感謝でしかありません。
もちろん、女流棋士がイベントなどに呼ばれるのは、彩りや華の意味もあることは承知していますが、例えば藤井先生のように実力で将棋を発信する人もいれば、このような形で将棋界の普及に貢献できることもある。むしろ私はそれはそれで結構だと思っています。
YouTubeの「女流棋士・香川愛生チャンネル」を開設し、オンライン将棋サロンを始めたのも子供たちなど将棋ファンの裾野を広げたい思いから。
私は9歳の時、学童で将棋を初めて指したのですが、住んでいたアパートの真下の階に地域で一番将棋の強いおじいちゃんが住んでいて、そのおじいちゃんから学んだことも大きかった。残念ながら私が17歳の時に亡くなられましたが、プロ入りの際はとても喜んでいただきました。
私も今、当時の私くらいの女の子に指導することもあって、その純粋さに心を打たれます。
衣装はすべて母の手作り
YouTubeではコスプレも披露しますが、このコスプレは自分がアニメ好きだということもある一方、〈コスプレをする棋士〉として将棋を知らない人にも興味を持ってもらおうという思いもあります。コロナでコスプレイベントは軒並み中止になっていますが、いずれ必ずイベントに参加できる日は来る。私にとって将棋は日本の伝統文化であり、コスプレは現在の日本の伝統文化という位置づけです。同じ日本を代表する文化であり、その両方を同時に盛り上げられたらと思っています。
このコスプレの衣装はすべて母の手作りです。今は一緒に暮らしていませんが、いつも感謝しています。
(取材・文=加藤広栄/日刊ゲンダイ)
▽かがわ・まなお 1993年4月、東京生まれ。女流三段。中村修九段門下。9歳で将棋を始め、15歳でプロ入り。立命館大学在学中に女流王将で初タイトル(2期)。2019年4月からYouTubeの「女流棋士・香川愛生チャンネル」開設。さらに20年1月から将棋の普及を目的に「香川愛生オンライン将棋サロン」(月額3000円)をスタート。
情報源:香川愛生三段が激白 コロナ禍と「コスプレをする女流棋士」の矜持(日刊ゲンダイDIGITAL) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:香川愛生三段 コロナ禍と「コスプレする女流棋士」の矜持|日刊ゲンダイDIGITAL
『りゅうおうのおしごと!』
姉弟子こと、空銀子さん。。。衣装は母の手作りです🙇♂️ pic.twitter.com/3jyrzdPjAo
— 香川愛生 Manao Kagawa ☗ (@MNO_shogi) April 28, 2018
【インタビュー】香川愛生三段 コロナ禍と「コスプレする女流棋士」の矜持 https://t.co/nG1YLCCmAi #日刊ゲンダイDIGITAL #女流棋士 #香川愛生
— 日刊ゲンダイDIGITAL (@nikkan_gendai) December 29, 2020
- 香川愛生|女流棋士データベース|日本将棋連盟
- 女流棋士・香川愛生チャンネル – YouTube
- 香川愛生 Manao Kagawaさん (@MNO_shogi) / Twitter
- 企画・プロデュース | 株式会社AKALI
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