11月7日の記事
2020年11月7日 16時30分
早いものでもう11月。2020年も残すところ後2カ月を切りました。
6月から始まった第79期順位戦も着々と進んでいます。私と藤井聡太二冠のいるB級2組は5局が終わり、ちょうど折り返し地点。藤井二冠は5連勝で、タイトルホルダーの格を見せつけています。
肩書や立場、生活が変わることにより若いタイトル保持者が一時的に不調になるケースはままあるもの。しかし、順位戦の藤井二冠には当てはまりません。いつも勝っている姿しか見たことがないな……と思うのも当然で、ここまで通算34勝1敗。強いわけです。
代わりに……というわけではありませんが、私は初戦で勝った後は4連敗の1勝4敗。「二冠の師匠」の肩書?で取材の時間も増えましたが、弟子の活躍で師匠の負けが込んでいるようでは、だらしないことこの上ありません。でも、私が負けた分、藤井二冠がたくさん勝っている……そう思えば悔しさも半減します。「もっと負けてもいいんだ」というのは冗談ですが、ポジティブになれるきっかけは身近にあるもの。後半戦に全力を尽くします。
王将リーグも終盤戦に突入です。三冠の期待がかかっていた藤井二冠ですが、こちらは出だしからまさかの3連敗。挑戦者の可能性が完全に消えてしまいました。
もっともこのリーグ、全員がタイトル保持者か経験者。藤井二冠の将棋うんぬんというより、トップ棋士の先輩たちが若き二冠に厳しい洗礼を浴びせている、といったところでしょうか。4戦目は佐藤天彦九段、5戦目は広瀬章人八段に勝った藤井二冠。残留に向けての明るい材料です。
予選を抜けた猛者が集まるリーグ戦は華やか。一方、A級からC級2組まで五つのクラスがある順位戦には棋士の人生が凝縮されています。真っすぐ上だけを見つめる若手。今の地位を死守しようとするベテラン。棋士生活30年の私は後者でしょう。しかし、棋士人生は折り返し地点をとうに過ぎていても、学べることはまだ山のようにある。そう思えば目標もやる気も尽きることはありません。
月日を重ねるごとに人付き合いが増え、弟子も増えている今、スタート時とは違う充実感があります。
*
すぎもと・まさたか 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2019年2月に八段。第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太二冠の師匠でもある。
情報源:(杉本昌隆八段の棋道愛楽)折り返し地点 棋士の人生凝縮の順位戦:朝日新聞デジタル
ほぉ・・・
|
|
|
★