99手 6四馬まで、▲渡辺明二 の勝ち
2020年8月16日 11時06分
第78期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)を制して、初めて名人を獲得した渡辺明・新名人(36)が、名人のタイトル奪取から一夜明けた16日、大阪市福島区の関西将棋会館で記者会見した。さわやかな笑顔で登場した渡辺新名人は、快活な口調で主催紙記者らの質問に答えた。届いた祝福のメールの多さから「名人位の反響の大きさを感じました」と笑顔を見せた。(佐藤圭司)
――新名人おめでとうございます。昨夜は早い終局だった。昨日の夜はどう過ごしましたか。
食事を取って部屋に戻ってからは、メールの返信をしながら朝方まで起きていました。いつも対局日はあまり眠れないので。4時ぐらいに寝て、8時ぐらいに起きた。
――昨日は「まだ(名人になった)実感がない」と繰り返し言っていた。一夜明けてどうか。
連絡をもらったり返事を出したりしている間に少しずつ、そういう実感も出てきたかなと。これから名人として対局したり仕事したりして、より感じる機会は多くなるのかな。
――あわせて三冠。世間から「将棋界の第一人者」と表現される点について。
「第一人者」という定義づけがあいまいなところはある。タイトル戦に常時出ている人たちのことをそう言うと思う。そういう意味ではずいぶん前から第一人者だったかな(笑)。
タイトルの数を三つに戻すことができたのは満足している。6月からタイトル戦が二つ始まって、二つとも負けてしまうようだと、これから厳しくなるんだろうなと思っていた。そういう状況を避けられてほっとしている。
――「現役最強」と言われることも多い。
言われて悪い気持ちはしないですけど、ニュアンスが微妙なところもあって。タイトルの数とか総合的に見てそう言われることが多い。
競争が厳しい世界なので、いま言われていても1年後どうなっているかわからない。競争が常にあるということを感じながら日々やっている。
――昨夜はプロ野球のヤクルト、小川泰弘投手がノーヒットノーランを達成した夜でもある。
あまり期待をせずに、すごく遅い時間にニュースを見たら達成していてびっくりした。
――自分と重ね合わせた?
自分と重ねあわせることはなかった。普段であれば録画してあたまから見たりするので、自分の対局と当たってしまって、逆に興奮を感じ損ねた。
――お祝いのメールやLINEで、印象に残っている内容は。
メールや報道で「悲願の」という言葉をよく使われる。自分ではそもそも名人戦に出るのも初めてだったので、あまり悲願と意識することがなかった。挑戦を何度もしてだったら「悲願の」となると思うんですけど。他のタイトル戦に結構出てきた分、名人戦にもということは以前から期待してもらっていたところなんですけど、自分ではほとんど意識することがなかったので。
先週5局目があって、あと1勝というかたちになってから都合1週間くらいでタイトルが取れたというところでも、この1週間でばたばたっという感じだったので。悲願といえば悲願だし……。なんだろう。意識する場面がなかったので、違うような気もするし。
――東京に戻って最初に何をしたい。
最初というか、6月に(対局が)始まってから何もしない時間というのが少なかったので。次の対局、次の研究に追われているという時間がずっと続いていたので、一息入れたいかな。
ただぼーっと休むというよりは、趣味の時間に充てる。競馬やサッカー、野球を見たりということにより多く時間を費やしたい。
――永世名人らの掛け軸を背景にしての会見。永世名人への思いは。
永世名人について、今まで1秒も考えたことがなかった。名人自体も意識したことがほとんどなかったので。いまも永世名人については全く考えてない。
この年齢からだと正直厳しいかな、客観的に見たときに。とりあえず2回、3回防衛したいというところ。
――藤井聡太棋聖が名人挑戦者になることも考えられる。迎えうちたいか。
反響は大きいので、やりがいはある勝負。自分の結果を求めるという点では厳しい強敵だし、やりがいはあるし、という両面があると棋聖戦でも思いました。
――今年は新型コロナウイルスの年。将棋界の第一人者として、コロナに苦しむ人たちへのメッセージを。
将棋界は比較的影響を受けていなかった。世の中の皆さんの方がもっと大変だろうなと。
いままで将棋には娯楽という位置づけで意義があったと思う。こういう状況で、将棋界がどういった意義があって存在しているのかということは3月からよく考えさせられる。すごく複雑な思い。
こういう状況で将棋を見て、それがみなさんの楽しみになるのかな?という疑問もある。世の中が平和で平常だからこそ、娯楽産業というのは成り立つところがある。時間はかかるんでしょうけど、少しでも早く多くの方が将棋を心から楽しめる日々が戻ってくればと思う。
――AIが強くなり、棋士が(AIを)研究する時代。5年前、10年前とどうちがうか。
5年前はまだAIの研究がそこまで入ってなかった。いまはとにかく対局前にやることが多くて。棋士がますます研究者肌になった。普段研究することがすごく多い。
以前は対局日に行ってその場で、というのでも何とかなったと思うんですけど、対局が立て込んだときに、5年前と今ではきつさがちがう。以前ならとりあえず体を休めればよかったが、いまは次の対局へのプランをつくらなきゃいけない。そこが明らかに違うところ。
――そんな現状で今回、6月以降にタイトル戦が続いた。
中1日などタイトになってくると、休んでくる時間もない。気が張っているので終わるまではなんとかなるが、終わったあとにがたっと疲れが出る。20代だったらもうちょっと元気にやれたかなと思うんですけど。30代後半、これから40代になるというところで、そのあたりが課題になる。
かなりの研究度が求められるというのはこれから先ずっと変わらない。
――今回の名人戦での、豊島竜王の研究について。昨日「序盤からプレッシャーをかけられた」という言葉もあった。
豊島さんも研究家なので、こちらも序盤からノープランというわけにはいかない。毎回作戦を持って行くんですけど、だいたい読まれていて。逆に対策を持ってこられているということが多かった。
七番勝負となると同じ先後で何局も指すので、作戦もなくなってくる。相手の序盤作戦が巧みであればあるほど余計に準備も必要になり、余計きつくなってくるところはある。
――第5局の後手番での作戦は、大胆だった。一発勝負ではない、番勝負ならではの作戦なのか。
あれは作戦としては、どこかで1回出るかな、と思っていたもの。雁木(がんぎ)模様みたいなのは3局目もやってますけど、5局目はちょっと大胆なところもあった。
番勝負だと、出す順番も考えてやってますね。5局目はまだ決着局じゃないので、大胆なこともやりやすい。そういったところも含めて戦法を選んでいる。
――四冠をねらうという考えは、現実に視野に入っているか。
スケジュール的には1月からの防衛戦が先。四冠をねらうには全部防衛しなきゃいけない。三つ防衛戦をやると、確率的に全部勝てる確率はかなり低いので。何個残せるかと考えますね。(尾崎希海)
情報源:一夜明けて渡辺明新名人「朝までメール返信」(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:渡辺明新名人、現役最強と言われて「悪い気はしない」:朝日新聞デジタル
村)永世名人の資格獲得については問われると→「この年齢からだと正直厳しいかな、客観的に見たときに。とりあえず2回、3回防衛したいというところ」
渡辺明新名人、現役最強と言われて「悪い気はしない」:朝日新聞デジタル https://t.co/BVwvsuho9h— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) August 16, 2020
渡辺明新名人、現役最強と言われて「悪い気はしない」https://t.co/8D4eYwTfeT
将棋名人戦七番勝負を制し、初めて名人を獲得した #渡辺明 ・新名人が関西将棋会館で記者会見しました。届いた祝福のメールの多さから「名人位の反響の大きさを感じました」と話しました。(く)#名人 #将棋 pic.twitter.com/2gvkKvZWrK
— 朝日新聞 映像報道部 (@asahi_photo) August 16, 2020
村)渡辺明名人の一夜明けての取材がありました。お祝いのメールやLINEの返信をして午前4時ごろまで起きていたそうです。ヤクルトファンで、普段は試合の録画を見ることもあるそうですが、昨日の小川投手のノーヒットノーランはニュースで知ったとのこと。「興奮を感じ損ねたところはあります」 pic.twitter.com/4IGOcMw9S2
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) August 16, 2020
渡辺明新名人が、名人獲得から一夜明けた本日朝、関西将棋会館で会見し、「お祝いのメールやラインを多くいただき、名人位への反響の大きさを感じました。悲願という言葉が多くあり、自分は意識していなかったが、そういうイメージなのかな」と笑顔で語りました。 (つづく) pic.twitter.com/636hO9CKFq
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) August 16, 2020
15日の対局直後には「名人になった実感はない」と話していましたが、「これから名人として対局したり、仕事をしたりして、より感じる機会が多くなってくるのかな」と、じわじわ実感してくるようでした。 (つづく)
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) August 16, 2020
王将、棋王と合わせて現役最多の3冠にも復帰。「三つに戻すことができたのは満足しています。競争が厳しい世界なので、1年後はどうなっているか分からない。そういう競争を常に感じながら日々やっています」と、トップを維持する覚悟もにじませました。 (つづく)
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) August 16, 2020
年内はタイトル戦出場はありませんが、年明けの王将戦から防衛戦が続きます。「休みつつ、タイトル戦の準備もしつつ、9月から12月までを過ごそうと思っています」と、早くも来年の防衛戦を見つめていました。 (つづく)
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) August 16, 2020
会見の場には歴代永世名人の掛け軸が掛かっていますが、「永世名人は1秒も考えたことがない」と笑わせ、藤井聡太棋聖を挑戦者として迎えたいかとの質問には「やりがいがある勝負だが、厳しい勝負になるんで、半々ですかね。棋聖戦でも、その両面を思っていました」と素直な心情を語りました。 (了)
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) August 16, 2020
▲渡辺明二冠 vs △豊島将之名人(棋譜DB)
99手 6四馬まで
▲渡辺明二 の勝ち
- 名人戦・順位戦 |棋戦|日本将棋連盟
- 第79期名人戦・順位戦 七番勝負/A級
- 名人戦棋譜速報│将棋・名人戦順位戦棋譜速報サイト
- 名人戦棋譜速報(@meijinsen)さん | Twitter
- 第78期将棋名人戦七番勝負 ライブ中継:朝日新聞デジタル
- 名人戦・順位戦 – 毎日新聞
- ABEMA(1日目・解説なし)
- ABEMA(2日目・解説あり)
渡辺二冠が名人奪取成功、4人目の中学生棋士名人誕生。