将棋の第61期王位戦7番勝負第3局第2日の対局を終えた藤井聡太棋聖(日本将棋連盟提供)

稲葉陽八段が分析 藤井棋聖は勝負度外視で楽しんでいる印象「ギリギリの寄せを目指すのが好き」― スポニチ Sponichi Annex 芸能

149手 8八玉まで、▲藤井聡棋聖 の勝ち


2020年8月6日 06:15

将棋の第61期王位戦7番勝負第3局第2日の対局を終えた藤井聡太棋聖(日本将棋連盟提供)
将棋の第61期王位戦7番勝負第3局第2日の対局を終えた藤井聡太棋聖(日本将棋連盟提供)

◇第61期王位戦7番勝負第3局(2020年8月5日 神戸市北区)

早くから藤井の存在に注目してきた稲葉陽八段(31)が第3局について5日、スポニチ本紙に解説した。稲葉はトップ棋士10人で名人挑戦権を争うA級順位戦に在籍。藤井が四段昇段時、機関誌に寄せた記事で恩人として挙げたのが、師匠杉本昌隆八段、将棋教室の恩師文本力雄氏、そして奨励会時代に練習将棋を重ねた稲葉の兄、アマ強豪の聡氏。稲葉は「改めて、ギリギリの寄せを目指すのが好き」と藤井将棋を分析した。(聞き手・筒崎 嘉一)

2日目午前、徐々に指しやすくなった藤井棋聖がペースをつかんで押し切った。そう書けば攻防のない将棋のようですが終盤、木村王位に上部脱出の気配が広がった。中段に打った角が馬に成り、逆転がささやかれたあたりは「千駄ケ谷の受け師」の本領発揮でした。

終盤、いくら自分の模様が良くなっても全変化を読み切って勝ちを確信できることはありません。だからある程度行けそうとなったら危険を頭に入れて踏み込むことになる。藤井棋聖はこの踏み込みを好むし、実際に角に金銀4枚の木村陣を突き崩しにいった。

一時互角へ戻ったAIによる評価値は、とても人間には見えない着手も含む数字です。だから有利不利の数値が上下動したとは対局者に分からないことは多く、両者の感想は「藤井快勝」で一致するかもしれません。

戦型は矢倉でした。先手では角換わりが多い藤井棋聖ですが、大一番では矢倉の採用も増えました。昨年11月、王将挑戦権を懸けた広瀬章人八段戦や今年6月、渡辺明王将から第4局で奪取した棋聖戦第1局。大一番になればやり慣れた戦型を用いたいのが人情ですからある意味、勝負を度外視してタイトル戦を楽しまれている印象です。

持ち時間8時間の2日制。自己最長の持ち時間の中で、今までやったことのない戦型を考えて試したいというのはありそうです。そこで用いた土居矢倉。王の堅さよりバランス重視。一方、角交換になったときに自陣に打ち込まれる隙が多い。一手のミスで敗勢に陥りやすく、神経を使う展開になりました。

木村王位のニックネームはもちろん受けの強さを示しますが、ガチガチに王を固めるからではない。王形は薄く、攻めとのバランスを取る棋風。攻めるのが相手の攻め駒というのが特徴です。

つまり守りが強いのは、相手の攻撃力をそぐ戦い方をするからこそ。かなり少数派であることは間違いなく、高勝率を誇る藤井さんも戸惑うのでは…とみていました。その意味でも、木村王位に反撃の余地を与えず、堅陣を打破した指し回しが光りました。

◆稲葉 陽(いなば・あきら)1988年8月8日生まれ、兵庫県西宮市出身の31歳。井上慶太九段門下で2000年、6級で入門。08年、四段昇段。17年、昇級初年度のA級順位戦で羽生善治3冠や渡辺明竜王らを抑え、8勝1敗で佐藤天彦名人に挑戦したが2勝4敗で敗れた。

情報源:稲葉陽八段が分析 藤井棋聖は勝負度外視で楽しんでいる印象「ギリギリの寄せを目指すのが好き」(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュースコメント

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藤井聡太棋聖 vs △木村一基王位(棋譜を見る

149手 8八玉まで、▲藤井聡棋聖 の勝ち


対戦成績



 



これで二冠に王手か・・・