「ドラフト会議」に臨んだ棋士たち＝ＡＢＥＭＡ提供
AbemaTVトーナメント

番組の魅力でファン増やせ　将棋・「ドラフト会議」で団体戦　囲碁・台湾の人気棋士がレッスン：朝日新聞デジタル

ほぉ・・・

2020年5月11日 16時30分

ネット配信やテレビ放送される将棋や囲碁の番組がこの春相次いでリニューアルされ、話題を集めている。「ドラフト会議」による団体戦や、人気の海外棋士の起用など新たな試みで、さらなるファン層の拡大を目指す。

■将棋　「ドラフト会議」で団体戦　佐藤・森内・谷川、永世チーム誕生

「ドラフト会議」に臨んだ棋士たち＝ＡＢＥＭＡ提供
「ドラフト会議」に臨んだ棋士たち＝ＡＢＥＭＡ提供

緊張の一瞬。将棋の永瀬拓矢二冠が封筒に入っていたくじを見る。藤井聡太七段への交渉権獲得を確認すると、笑顔を浮かべた。一方、羽生善治九段をリーダーとする「ＡＢＥＭＡドリームチーム」総監督の藤田晋・ＡｂｅｍａＴＶ社長ははずれくじを手に、苦笑い。プロ野球のドラフト会議さながらの様相を見せた。

インターネットテレビ局「ＡＢＥＭＡ」が配信する「ＡｂｅｍａＴＶトーナメント」は、羽生九段の着想をもとにした早指しの非公式戦だ。第２回までは個人戦だったが、第３回の今大会は３人１組１２チームによる団体戦となった。

ＡＢＥＭＡの塚本泰隆プロデューサーによると、同チャンネルで人気を博しているマージャンのチーム戦「Ｍリーグ」の成功が背景にある。仲の良い棋士たちのやりとりや、言い合う様子などを見せ、その内面や思考を視聴者に楽しんでもらう狙いも。「ツイッターやＡＢＥＭＡのコメント欄への反応もこれまでと段違い。今まで以上に将棋に前のめりに反応して頂けている」と自信を見せる。

棋士たちの新たな魅力を見られる機会にもなっているようだ。ドラフトの結果、佐藤康光九段、森内俊之九段、谷川浩司九段という永世称号の資格を持つ３人が同じチームとなったことが話題を呼んだ。さらにこの３人は「チーム康光」名でツイッターアカウントを開設。自局を解説したり、詰将棋の出題をしたり、裏話をつぶやいたり。「奇跡のアカウント」などと将棋ファンたちを驚かせた。塚本プロデューサーも「将棋界を引っ張ってきたレジェンドたちが仲むつまじくツイッターをやっている。今までは盤を挟んで頂上決戦をされていた方々が、一堂に会するのは魅力的。将棋界の歴史を考えても画期的なことだ」と喜ぶ。

毎週土曜日に最新局を配信する。６月末までは収録済みの予選リーグを配信し、７月からは決勝トーナメントを生配信予定。８月中旬には決勝戦を迎える見通しだ。佐藤光輔プロデューサーは「棋士たちを応援しながら、スポーツ中継のように楽しんでもらいたい」と話す。

■囲碁　台湾の人気棋士がレッスン

黒嘉嘉七段＝ＮＨＫ提供
黒嘉嘉七段＝ＮＨＫ提供

ＮＨＫ・Ｅテレの「囲碁フォーカス」（日曜正午）ではこの春から、台湾の人気女性棋士・黒嘉嘉（ヘイジャアジャア）七段による「ミニレッスン」コーナーが始まった。同局によると、海外組織のプロがレギュラー出演するのは初めてという。

黒七段は１９９４年生まれ。６歳で囲碁のルールを覚え、２００８年に中国棋院のプロ試験に合格。１０年に台湾棋院に移籍した。これまでに台湾の女子最強戦で３連覇したほか、１８年のワールド碁女流最強戦で準優勝。モデルとしても活躍している。

ミニレッスンでは「美しい形」について、中国語に時折日本語を交えながら解説していく。決めぜりふは振り付きの「ｂｅａｕｔｉｆｕｌ　ｓｈａｐｅ！」。番組担当者によると、「中国語の声がかわいらしい」「決めぜりふに意外性があって面白い」「早速、囲碁を覚えたい」――などの反響が寄せられているという。黒七段は「収録は最初、本当に緊張しました。やっていくうちにだんだん慣れて、最後は楽しんでできた。内容は難しくなく、美しい形を楽しく学べます。この番組をきっかけに、日本の皆さんに囲碁を好きになってもらいたい」などとコメントしている。

また、講座「布石は自由で楽しい！」の講師には平田智也七段を起用。歴代最年少の２６歳という。

担当者は「囲碁は今、世界的人気のゲームとして定着しつつあるが、日本では人気がやや停滞気味。将棋と比べてニュースや話題などで取り上げられる機会も少ないと感じている」。今回のリニューアルを通して、「囲碁の魅力、頭脳ゲームとしての奥深さ、棋士の魅力などをわかりやすく提示し、ファンを増やしたい」としている。（黒田健朗）

情報源：番組の魅力でファン増やせ　将棋・「ドラフト会議」で団体戦　囲碁・台湾の人気棋士がレッスン：朝日新聞デジタル

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