新井貴浩コラム 今週の応援人 野間峻祥選手(広島)「野間には結果で、周囲を見返してほしいと思っています」 – 野球:週刊ベースボールONLINE

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2020年3月17日(火) 11:00

野間本来のバッティングが戻ってきているようで、今季は楽しみです
野間本来のバッティングが戻ってきているようで、今季は楽しみです

苦しみを乗り越えて

今年のカープで私が注目している選手の一人が、野間峻祥選手です。2015年にドラフト1位で入ってきて、ファンの皆さんからの期待も大きい。私自身、初めて彼を見たときに「すごいポテンシャルの高い選手だな」と思いました。走る姿を見て、そのスピードに、まずはびっくり。バッティングに関しても、しっかり飛ばす力もあると感じていました。

ただ、ここ数年は少し「こじんまりし過ぎて、もったいないな」という印象を持っていたのも事実です。彼にはホームランを15~20本くらい打つ力があると思っています。足が速いからと言って、当てにいくようなバッティングはしてほしくない。もっと大きく構えてゆったりタイミングを取って、強いライナーを右中間、左中間へはじき返す。その打ち損じが時に内野安打になっていくようなイメージです。

もともとはそういうバッティングだったんですが、結果が出ないことで、だんだんと小さくなっていってしまったのでしょう。野間自身、カベに当たって苦しんでいるのは感じていたでしょうし、私としては、あとは本人がどう感じて、どういうふうに周りのアドバイスを聞きながら、消化しながらやっていくのかなと思って見守っていました。

特に昨年は、丸(丸佳浩)がいなくなって、「中堅・野間」に期待が高まる中で、なかなか大変だったと思います。2018年に116安打、5本塁打、打率.286と結果を残した野間ですが、成績を落としてしまいました。プロの世界で1、2年だけ活躍する選手は結構いますが、大事なのは、ある程度、連続して結果を残すこと。相手が研究していろいろな攻め方をしてきても、対応できるかどうか。それがプロ野球の厳しいところであり、難しいところです。

そういう意味でも、野間にとって、すごくいい経験になったのではないかと思っています。バッティングに正解はありませんからね。考え方の基本はあっても、「つかんだ! これがバッティングだ」というのはない。ましてや10割打者なんていなくて、3割でも一流と言われる。100回打席に立ったら70回失敗しているわけです。ピッチャーが投げて始まる、相手主導の難しさもあります。

野間も苦しみながら、それでも昨秋のキャンプからは、しっかりとしたスイングでボールをとらえられています。一軍打撃コーチになった朝山(朝山東洋)も、お世辞抜きで「野間が良くなっている」と言っていました。野間自身も手応えを感じているようで、今季が楽しみです。そう言えば、オフには「20年はオリンピックもあるんで、侍ジャパンの『一番・中堅』も僕です!」なんて宣言していたなあ(笑)。

天性のいじられ役

野間は、少し私と似ていて、不器用なところがあります。プラスして、彼の場合には、一生懸命やっていても一生懸命に見られないという問題が……。彼自身は一生懸命プレーしているのに、周りに伝わらない“表情”(笑)。私もいつも「お前、それ損してるぞ」とは言っているんですが、でもこれは今さら直しようがありませんからね(苦笑)。だからこそ、野間には結果で、周囲を見返してほしいと思っています。

真面目で練習も熱心にやるし、性格もいい子です。後輩たちからもよくいじられていますし、私自身も特に18年は、たくさんいじらせてもらいました。その年、私はケガで出遅れて5月に初めて一軍に合流したのですが、そのときに野間の調子が良かったんです。チームメートを前に「新聞で野間選手の高打率を見るたびに下痢が止まりません」と発言したのは、よく覚えています。野間は、私がいじる数少ない選手のうちの一人ですね。彼の持って生まれたもの、常に笑いの中心には彼がいる、と言ったところでしょうか。試合でも、野間が打ったらチームは大盛り上がり。チームに与えるいい影響も大きいです。

今のカープにとって、「一番・野間」は理想のパターンの一つです。足が速いので、相手からしたら、やはり塁に出したくない。だから、もし一番に定着するようなら、目指すべきは『出塁率4割超』。そうなったら、カープは上位争いを繰り広げているでしょう。ダイヤモンドを駆け回る姿を、みんな待っています。

今年のカープの外野は激戦です。ルーキーで、宇草孔基という、野間と同じタイプの、足が武器の左打ちの選手も入ってきた。野間としてはすごく意識していると思います。競争の中で、野間には自分を高めていってほしい。競争はチーム力の底上げにもつながりますしね。周りを気にせずというのもありだとは思いますが、野間には、あえて周りをガンガンに意識してもらって。すべてを、自分を高めるためのエネルギーに変えて頑張ってほしいです。

PROFILE
新井貴浩/あらい・たかひろ●1977年1月30日生まれ。広島県出身。広島工高から駒大を経て99年ドラフト6位で広島入団。4年目の02年に全140試合に出場し、05年は43本塁打で本塁打王のタイトルを獲得。07年オフ、FA権を行使して阪神に移籍した。11年には打点王になるなど活躍するも、14年は出場機会が減少し、オフに自ら申し出る形で自由契約に。15年に8年ぶりに古巣・広島に復帰。16年には四番打者として25年ぶりのリーグ優勝をけん引し、リーグMVPに輝く。17年途中からは代打が多くなったが勝負強さは健在で、球団史上初のリーグ3連覇に貢献した。18年限りで現役を引退。通算成績は2383試合、2203安打、319本塁打、43盗塁、打率.278。

情報源:広島・野間峻祥は、私に似た“天性のいじられ役”/新井貴浩コラム(週刊ベースボールONLINE) – Yahoo!ニュースコメント

情報源:新井貴浩コラム 今週の応援人 野間峻祥選手(広島)「野間には結果で、周囲を見返してほしいと思っています」 – 野球:週刊ベースボールONLINE


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