153手 4八馬まで、▲渡辺明王将 の勝ち
2020年3月27日 05:30
◇第69期大阪王将杯王将戦 7番勝負第7局第2日(2020年3月26日 新潟県佐渡市・佐渡グリーンホテルきらく)
渡辺明王将(35)が熱闘を制して防衛に成功、シリーズ4勝3敗として2期連続4度目の王将位を獲得した。自らの大駒2枚を挑戦者・広瀬章人八段(33)に差し出すピンチに追い込まれながら底知れない地力の強さを発揮。最後は粘る広瀬を振り切ってゴールにたどり着いた。王将位通算4期は谷川浩司、久保利明両九段に並ぶ4位となった。
上気してほんのりと赤色に染まった渡辺の表情が激戦を物語っていた。勝利の第一声を発するまでに数秒の間が空く。「まあ大変な将棋で…。だいぶ後ろの方(最終盤)まで分からなかった将棋でした…」。疲労感を隠すことなく盤面に視線を落とした。
危機感に襲われたのはこの日の午前中。第1日から角損を選択し、さらに飛車まで放出した。昼食休憩後の69手目▲2二歩(第1図)。なんと盤面には大駒4枚が広瀬側に構えている。うち2枚は成り駒だ。「しょうがないとは思っていたが、基本的には自信がなかった。あのへんは千日手絡みを考えていた」と当時の心境を明かす。
千日手とは同じ手を繰り返すことにより勝負を不成立にするルール。基本的には敗勢に立った棋士が採用する捨て身の戦術だ。
弱気を悟られまいと必死の反撃を開始する。2筋に配置した銀を活用させ、まず飛車の奪還に成功。さらに角まで取り返し、駒割の回復を強引に実現させた。こうなると強気の攻めがよみがえる。気がつけば広瀬王を左右から挟み撃ちの状態に。145手目の▲5二桂成で金取りに成功し勝利を確信したという。
劣勢からの復活が目立った今シリーズだ。第3局は敗勢から豪快にうっちゃり勝ち。2勝3敗と後がない第6局も失冠間近の大苦境から力業でひっくり返した。「カド番に追い込まれた時は正直苦しかった」と遠い目で話す。とんでもない剛腕を、いやというほど見せつけた。
中学時代からプロ野球・ヤクルトの大ファン。「90年代で黄金時代だったので」。当時の野村克也監督は、10年ほど前に自身の特集テレビ番組にゲスト出演してもらった縁でサイン色紙を手にしている。その憧れのスターがこの2月に急逝した。「あのサインは、今も自宅に飾ってあるんですよ」。常勝軍団総帥の魂を受け継ぐような連覇達成だ。
4月からは名人戦初挑戦(対豊島将之名人)も待っている。「少し休んでから、次を考えます」と、赤みの残った丸顔をきりりと引き締めた。
◆渡辺 明(わたなべ・あきら)1984年(昭59)4月23日生まれ、東京都出身の35歳。2000年に四段昇段を果たし、史上4人目の中学生棋士に。04年に竜王の初タイトルを獲得以降、王将戦4期を含む25期の戴冠を誇る。現在は王将のほか棋王、棋聖も保持。
情報源:渡辺王将 4勝3敗で王将位防衛 広瀬八段側に大駒4枚の圧倒的不利から逆転 令和最初の熱戦制す(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:渡辺王将 4勝3敗で王将位防衛 広瀬八段側に大駒4枚の圧倒的不利から逆転 令和最初の熱戦制す― スポニチ Sponichi Annex 芸能
2020年3月27日 05:30
◇第69期大阪王将杯王将戦 7番勝負第7局第2日(2020年3月26日 新潟県佐渡市・佐渡グリーンホテルきらく)
【渡辺王将に聞く】
――本局を振り返って。
「飛車と角を切ったのは他に代案がなかったから。指し掛け(第1日終了時)の時は駒損がちょっと大きいのかなと思っていた」
――良くなったと感じたのは?
「駒損が解消したあたりで良くなったのかと。勝ちと思ったのはだいぶ後だったが」
――シリーズ7局を振り返ると?
「5局目、ちょっといい将棋を落としてしまい、カド番になってかなり厳しいと思った。6局目が結果的に逆転勝ちだったので、そこが一つ大きかった」
――この3カ月について。
「2日制で持ち時間が8時間と長丁場。濃い将棋が多かった。際どい将棋も多かった。凄く大変な番勝負だった」
――体調面で気をつけたことは?
「対局が(棋王戦との並行などで)多く、体調は二の次。研究が追いつかないと話にならない。その時間をなんとかやりくりすることを考えていた。1月から今日まで厳しい時間が長かった」
――タイトル戦のフルセットはこれで8勝2敗。勝負強さの秘けつは?
「王将戦では負けたこともあるので…今日は先手番で先に攻めた良さが残った内容ではあったし、そういった運もあったのでは」
情報源:カド番で苦しかった渡辺王将 6局目の「逆転勝ちが大きかった」(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:カド番で苦しかった渡辺王将 6局目の「逆転勝ちが大きかった」― スポニチ Sponichi Annex 芸能
2020年3月27日 05:30
◇第69期大阪王将杯王将戦 7番勝負第7局第2日(2020年3月26日 新潟県佐渡市・佐渡グリーンホテルきらく)
刀折れ、矢も尽きた。午後7時22分。渡辺の153手目を見て広瀬が静かに頭を下げた。「(渡辺に)角も飛車も切らせたつもりだったが、その後のうまい対応が自分の力では発見できませんでした」と、初挑戦者は素直に敗因を語った。
大駒4枚を手中にしながら、いずれも自陣に密集せざるを得ず、破壊的な攻撃手順につながらない。大事な戦力を1枚1枚剥がされていくうちに自王が薄くなり、最後の頼みは上部脱出しかなくなってしまった。そのかすかな希望も渡辺に打ち砕かれる。「駒得していても、あまり報われない展開でした」と残念がった。
王将戦7番勝負は初出場。シリーズ前は「ワンサイドにならないように」と、強敵を前に謙虚なコメントを残しながら、5局目で3勝目を挙げ、タイトルホルダーをコーナーに追い詰める大健闘を見せた。「チャンスが全くないわけではなかった。でも力及ばず、ということです」と話す表情はむしろすがすがしかった。
情報源:広瀬八段 戴冠ならず「駒得していても報われない展開」(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:広瀬八段 戴冠ならず「駒得していても報われない展開」― スポニチ Sponichi Annex 芸能
2020年3月27日 05:30
◇第69期大阪王将杯王将戦 7番勝負第7局第2日(2020年3月26日 新潟県佐渡市・佐渡グリーンホテルきらく)
【明暗この一手 関口武史】2日目を迎え渡辺の攻め、広瀬の受けという構図がはっきりした。午前早々、渡辺は馬も切り飛ばし、局地戦が繰り広げられる。駒損の渡辺だが、広瀬の大駒を封じて均衡を保つ。
▲2二歩~2三銀成と竜を取り返し、渡辺の駒に勢いが増す。渡辺がこのまま寄せ切るかと思われた中、▲5七銀右といったん緩め、△3六馬に▲7九王(A図)が冷静な判断だった。
この一手で王の安全度が格段に上がり、彼我の差が読みやすくなったのが大きい。激しい戦いの最中、流れに乗って陣形を整備する手順は、まさに百戦錬磨の手腕といえる。
さらに▲5六角成、▲1四馬と手堅い方針を続ける。終盤も▲8二角が非凡な一手で盤石の陣形から着実、堅実に指し続け渡辺が王将を守り切った。(本紙観戦記者)
情報源:渡辺王将 ▲5七銀右で勢い緩める冷静な判断(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:渡辺王将 ▲5七銀右で勢い緩める冷静な判断― スポニチ Sponichi Annex 芸能
2020年3月27日 05:30
◇第69期大阪王将杯王将戦 7番勝負第7局第2日(2020年3月26日 新潟県佐渡市・佐渡グリーンホテルきらく)
《第1日指し手》
【渡辺】 【広瀬】
(1)▲7六歩1 (2)△8四歩1
(3)▲6八銀1 (4)△3四歩1
(5)▲7七銀1 (6)△6二銀1
(7)▲2六歩1 (8)△4二銀1
(9)▲2五歩1 (10)△3三銀
(11)▲4八銀1 (12)△3二金1
(13)▲5八金右1 (14)△4一王2
(15)▲5六歩2 (16)△5二金3
(17)▲6六歩3 (18)△7四歩7
(19)▲6七金3 (20)△6四歩4
(21)▲7八金2 (22)△6三銀1
(23)▲3六歩2 (24)△5四銀2
(25)▲7九角7 (26)△7三桂35
(27)▲3七桂10 (28)△6二飛36
(29)▲5七角13 (30)△1四歩7
(31)▲6九王7 (32)△9四歩7
(33)▲9六歩6 (34)△6一飛1
(35)▲6八銀55 (36)△4二銀53
(37)▲4六角16 (38)△4四歩3
(39)▲2四歩2 (40)△同歩1
(41)▲5五歩 (42)△4五歩21
(43)▲2四角 (44)△5五銀3
(45)▲4二角成18(第1図)
(46)△同王11
(47)▲2二飛成22(48)△同金11
(49)▲7二角1 (50)△3一飛2
(51)▲4五角成4 (52)△3三角1
(53)▲封じ手54 (第1日指了図)
消費時間▲渡辺3時間54分 △広瀬3時間36分
残り時間▲渡辺4時間6分 △広瀬4時間24分
《第2日指し手》
【渡辺】 【広瀬】
(53)▲3五歩54 (54)△4四銀7
(55)▲3四馬3 (56)△2三金11
(57)▲同馬48 (58)△2九飛
(59)▲5九歩 (60)△2三飛成1
(61)▲2五銀 (62)△3六歩50
(63)▲3四金2 (64)△3二龍1
(65)▲3六銀 (66)△6三角
(67)▲2五銀10 (68)△2七角成32
(69)▲2二歩39 (第1図)
(70)△1三桂9
(71)▲1四銀 (72)△3六歩15
(73)▲2三銀成 (74)△3七歩成33
(75)▲3二成銀1 (76)△同王
(77)▲2一飛 (78)△4二銀22
(79)▲5七銀右2 (80)△3六馬8
(81)▲7九王2 (82)△4七と1
(83)▲5六銀8 (84)△4六と22
(85)▲3一飛成24(86)△同王
(87)▲2一飛8 (88)△3二王
(89)▲9一飛成 (90)△5一銀2
(91)▲2四香28 (92)△同角5
(93)▲同金 (94)△5六と1
(95)▲2三角1 (96)△4二王1
(97)▲5六角成2 (98)△4三銀28
(99)▲2三馬15 (100)△3一桂2
(101)▲1四馬2 (102)△同馬1
(103)▲同金 (104)△2八飛2
(105)▲2一歩成2(106)△同飛成
(107)▲2三歩 (108)△3三銀2
(109)▲8二角14(110)△8五桂
(111)▲7三角成(112)△6二香1
(113)▲8六歩8 (114)△3六角
(115)▲4四歩2 (116)△同銀直
(117)▲3四歩 (118)△同 銀
(119)▲2四金1 (120)△2三銀
(121)▲2二歩 (122)△3二龍
(123)▲3三歩1 (124)△同銀1
(125)▲同 金 (126)△同王
(127)▲8五歩 (128)△2五桂3
(129)▲7四馬4 (130)△4三桂
(131)▲2一歩成(132)△2六歩
(133)▲5七金2 (134)△2七角成1
(135)▲1一と4 (136)△1八歩
(137)▲1六銀1 (138)△1七桂成
(139)▲2七銀 (140)△同歩成
(141)▲4六金 (142)△2四王
(143)▲4四桂3 (144)△3九龍
(145)▲5二桂成(146)△1九歩成
(147)▲4七馬 (148)△1五王1
(149)▲4八角1 (150)△同 龍
(151)▲2五金 (152)△1六王
(153)▲4八馬(投了図)
《投了図以降》△2五王▲1五飛△2四王▲2五香△3四王▲2三香成と攻められ、受けがないので投了やむなし。
消費時間▲渡辺7時間52分 △広瀬7時間59分
残り時間▲渡辺8分 △広瀬1分
情報源:王将戦第7局指し手(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:王将戦第7局指し手― スポニチ Sponichi Annex 芸能
▲渡辺明王将 vs △広瀬章人八段(棋譜を見る)
153手 4八馬まで、▲渡辺明王将 の勝ち
耕)王将位を防衛した渡辺明三冠は「先にカド番に追い込まれる苦しい勝負だったので、結果が出せたのはよかった。今日の将棋は先手番で先に攻めていた分のよさが残った内容だったので、運もあったと思う」と話しました。
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) March 26, 2020
耕)王将戦第7局で敗れた広瀬八段。渡辺三冠をカド番に追い込みましたが、決めきれませんでした。「シリーズとしてはいい将棋も悪い将棋もあった。チャンスが全くないわけではなかったが、ちょっと力及ばずだったかなというところですね」と話しました。
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) March 26, 2020
村)先週の棋王戦に続いての防衛達成。自身初の四冠をかけて、4月8日から名人戦七番勝負を戦います。
渡辺三冠が防衛 将棋王将戦:朝日新聞デジタル https://t.co/4GkLdXJxBZ— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) March 26, 2020
一時は大駒を全て手放すことになった渡辺王将は「自信はなく、千日手含みで粘れないかを考えていた。先にカド番に追い込まれる厳しい番勝負で結果を出せて良かった」、広瀬八段は「いい将棋も悪い将棋もあったシリーズだった。チャンスがない訳ではなかったが、力及ばずだった」と振り返りました。 pic.twitter.com/FBt3h4Jcuz
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) March 26, 2020
渡辺王将の王将4期目は歴代4位タイです。
1)大山康晴=20期
2)羽生善治=12期
3)中原誠=7期
4)谷川浩司・久保利明・渡辺明=4期
7)升田幸三・米長邦雄・南芳一=3期— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) March 26, 2020
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) March 26, 2020
「内容の濃いシリーズ、最高の結果」王将戦一夜明け 渡辺王将、笑顔 – 毎日新聞 https://t.co/2xg5Zr09tI
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) March 27, 2020
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防衛おめでとうございます。