朝日杯将棋オープン戦名古屋対局で大盤解説する杉本昌隆八段(右)=2020年1月19日午前10時53分、名古屋市中区の朝日新聞名古屋本社、上田潤撮影

新型肺炎で「ネット対局」、小学生棋士に意外な変化が… [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

ほぉ・・・


2020年3月14日 10時00分

朝日杯将棋オープン戦名古屋対局で大盤解説する杉本昌隆八段(右)=2020年1月19日午前10時53分、名古屋市中区の朝日新聞名古屋本社、上田潤撮影
朝日杯将棋オープン戦名古屋対局で大盤解説する杉本昌隆八段(右)=2020年1月19日午前10時53分、名古屋市中区の朝日新聞名古屋本社、上田潤撮影

杉本昌隆八段の「棋道愛楽」

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で不要な外出を避け、自粛が続く日々です。日本将棋連盟も感染予防に努めています。

将棋大会や大勢の人が集まるイベントは延期や中止。将棋会館でも道場、売店の営業を当面自粛しています。子どもたちが集まる研修会も休会です。ある将棋イベントでは出演する解説者の棋士が皆マスク姿、ということもありました。

対局室入り口の手を消毒する薬品容器には、将棋駒のキーホルダーがぶら下げてありました。日本の非常事態、そして厳しい対局の前だけに少し心が和みます。

スポーツの世界では無観客試合が行われていますが、将棋は公開対局が少ないので、ほぼ通常通りでしょうか。ただ、対局中にマスクをしている棋士は以前より増えた気がします。

なお、藤井聡太七段は移動中のマスク姿が多く、これは防寒のためとのこと。対局中はあまりしないようです。

自宅で棋士の対局を観戦して楽しめる時代。ネットで中継される対局は「良い将棋を指さねば」と、平常時よりさらに気合が入ります。外出自粛の今だからこそ、私たち棋士にできる社会への恩返しと考えるからです。

テレワークが注目されていますが、私の教室も短期的にオンライン指導に切り替えました。全員が曜日、時間を合わせる必要がなく、会社や学校帰りに通っていた会員の方には自由度が高くなったのが良いところです。

私はパソコンを2台用意し、同時に3人を相手にします。複数の盤面を見比べながら、駒音がすると画面を切り替えて対応します。しかし、感想戦での同時チャットはちょっと大変です。

「ここでは〇〇角とすれば良かったね」「え?角は持っていません」「すみません、隣の将棋のことでした」

これは冗談ですが、隣の将棋の感想を打ち間違えそうになることもしばしば。同時に10人の話を聞けたという聖徳太子は偉大だなあ、と思ったりもしました。

当たり前ですが、ネット対局は相手の駒を持つ手の動きが見えません。ふいに駒が動き、とっさに判断。集中力と反射神経が要求される指導は私自身も感性が鍛えられる気がします。

会って話さなければ分からないこともあれば、文字だからこそ分かることもあります。普段は寡黙な小学生。感想戦のチャットでは、多弁で自己主張もしっかりしています。面と向かっているときは遠慮していたのだと初めて分かりました。

「これは良い手だったねえ」「ありがとうございます(笑)」。普段見ている相手の子の笑顔が思い浮かびます。苦肉の策のオンライン指導でしたが、私自身が色々と新しい発見をもらいました。

今は皆が辛抱の時。しかしそんな状況だからこそ、日常で顔がほころぶきっかけを見いだせれば、心が前向きになれる気がします。

〈すぎもと・まさたか〉 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2019年2月に八段。第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太七段の師匠でもある。

情報源:新型肺炎で「ネット対局」、小学生棋士に意外な変化が… [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル



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