棋聖戦決勝トーナメント1回戦で斎藤慎太郎八段(左)を破った藤井聡太七段(2月29日、大阪市)

藤井七段、最年少タイトルへ「勝負の1年」:日本経済新聞

今日は竜王戦 3組ランキング戦 高橋道雄九段戦


2020/3/12 2:00

棋聖戦決勝トーナメント1回戦で斎藤慎太郎八段(左)を破った藤井聡太七段(2月29日、大阪市)
棋聖戦決勝トーナメント1回戦で斎藤慎太郎八段(左)を破った藤井聡太七段(2月29日、大阪市)

将棋の史上最年少棋士、藤井聡太七段(17)が「勝負の一年」を迎えている。高校3年生となる今年は最年少タイトル記録へのラストチャンスの年。将棋界で最も重要とされるタイトルの記録を塗り替えられるか。

藤井七段は加藤一二三九段(80)、羽生善治九段(49)らの最年少記録を次々更新してきた。だが、ひのき舞台のタイトル戦にはまだ登場できていない。

「全然(タイトルを)意識するような段階ではない。盤上に集中することを一番にやっていきたい」。先月、棋聖戦の決勝トーナメント1回戦で斎藤慎太郎八段(26)を破ってベスト8入りを決め、抱負を問われると冷静に語った。挑戦にはまだ3勝が必要だ。

デビュー直後の29連勝のような派手な記録はないが、棋界での評価は着実に固めている。棋聖戦で破った斎藤八段は前王座で今期順位戦でA級昇級を決めた実力者。藤井七段はデビュー直後と違い、トップ棋士との対戦が増えたが、今年度も8割近い勝率を維持し、全棋士中トップに立つ。練習将棋を指す間柄の永瀬拓矢二冠(27、王座・叡王)は「年下だが、”下”とは思っていない。尊敬しています」と明かす。

4棋戦に最年少記録の更新がかかる
4棋戦に最年少記録の更新がかかる

タイトル挑戦の最年少記録は屋敷伸之九段(48)が1989年の棋聖戦で記録した17歳10カ月(挑戦時)。それまでの記録は、羽生九段が史上初の10代タイトル保持者となる竜王戦に挑んだ際の19歳0カ月(同)で、屋敷九段は1歳以上も記録を更新した。

7月で18歳になる藤井七段がタイトル挑戦の最年少記録を更新できる機会は棋聖戦だけだ。獲得の最年少記録(屋敷九段の18歳6カ月)は年末に番勝負が決着する竜王戦まで更新の可能性がある。16日に今期の初戦(2次予選の阿部隆八段戦)を迎える王座戦、挑戦者決定リーグに入り初戦で羽生九段を破った王位戦と注目の対局が続く。

周囲の高まる期待にどう向き合うか。藤井七段は「ありがたいことだが、プレーヤーとしてはあまり意識する必要はないのかな」と語る。口癖のように繰り返すのが「実力を上げることが一番大事」。目先の結果にはこだわらず、実力があれば結果は後からついてくる、との考え方を貫く。

屋敷九段や羽生九段と競い合ってきた森下卓九段(53、日本将棋連盟常務理事)は「羽生さんは若い頃から”勝負の鬼”だった」と振り返る。「幼い頃、負けて盤に覆いかぶさるように号泣したという藤井さんも『とにかく勝ちたい』が本性のはず。タイトルをガツガツ取りに行く姿が見たい」と期待を寄せる。

2019年11月、勝てば最年少タイトル挑戦となる王将戦挑戦者決定リーグの最終局。勝勢を築きながら最終盤、応手を誤って敗れた藤井七段は「最後に間違えたのは残念。結果としてそれが実力かなと。実力を高めてまた頑張りたい」と声を絞り出した。悔しさもバネに、どれだけ実力を高められるか。高校卒業後は大学に進まず将棋に専念するという藤井七段にとって、学生最後の年は負けられない戦いが続く。

情報源:藤井七段、最年少タイトルへ「勝負の1年」  :日本経済新聞


年内のタイトル挑戦&奪取なるか?