おめでとうございます。
2020年3月7日 20時50分
将棋の棋士養成機関「奨励会」第66回三段リーグ最終節が7日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、服部慎一郎三段(20)が優勝、谷合廣紀三段(26)が2位となり、四段(棋士)昇段を決めた。「女性初の棋士」の可能性があった西山朋佳三段(24)は3位で昇段を逸した。3人はいずれも最終成績14勝4敗だったが、前期成績が反映される「順位」で服部は2位、谷合は4位、西山は21位だったため、ギリギリで明暗を分ける結果となった。
対局終了後、新四段2人に対する記者会見が行われた。
過去に14勝しながら昇段を逸した経験を持つ服部新四段は「あと一歩のところで逃して来たので実感が沸かないです」と夢見心地の表情。今後に向け「定跡に囚われない将棋を指したいです。タイトルホルダーになるのが夢です」と思いを語った。
趣味はマラソンで、日課は毎朝6時に起床してからの5キロのランニング。観戦するのも好きとのことで「先週、(東京マラソンで)大迫(傑)選手が日本代表に近づいた走りには刺激を受けました」。お笑いファンでもあり、イチ推しコンビは「NON STYLE」。盤上でもノンスタイルな将棋を志すだけに共鳴する部分があるようだ。
年齢制限となる26歳の誕生日を1月に迎え、勝ち越せなければ退会しなくてはならない状況の中、四段昇段を成し遂げた谷合新四段は、東大大学院情報理工学系研究科電子情報専攻博士後期課程1年生。AIの研究者として「Pythonで理解する統計解析の基礎」の著書もある。今後も研究職と棋士で二足のわらじを履くとし「大学院生という特殊な立場なので、自分にしか出来ないことを探りながら将棋界に貢献したいです」と誓っていた。
情報源:将棋の新人棋士はマラソンランナーと東大院生 服部新四段と谷合新四段が会見(スポーツ報知) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:将棋の新人棋士はマラソンランナーと東大院生 服部新四段と谷合新四段が会見 : スポーツ報知
2020.03.10
共に次点持ちの実力者が四段昇段。個性ある将棋を指したいと意気込み語る
第66回奨励会三段リーグ最終日が3月7日に行われました。三段リーグは将棋の棋士になるための最終関門。10月から半年に渡り、30人の三段が2つの四段昇段枠をめぐって戦いを繰り広げました。
西山朋佳三段が女性初の四段昇段を達成するかが注目された今期でしたが、昇級枠を射止めたのは、服部慎一郎三段と谷合廣紀三段でした。
最終日を13勝3敗で迎えた谷合三段は最終戦に敗れて14勝4敗。12勝4敗だった服部三段は2連勝で同じく14勝4敗の成績でゴール。リーグ順位が上の服部三段が棋士番号322、谷合三段が棋士番号323で4月1日からプロデビューを果たします。
服部三段は富山県出身の20歳。2013年に奨励会に入会しました。昨年の10月には奨励会員枠で出場した、第9期加古川青流戦で決勝に進出。三番勝負で1勝2敗と健闘しました。
谷合三段は東京都出身の26歳。2006年に奨励会入会です。奨励会員として出場したプロ棋戦では14勝14敗と、互角の成績を残しています。
全対局終了後には昇段を決めた両者の記者会見が行われました。
【服部三段へのインタビュー】
──今の気持ちは?
三段リーグではあと1歩のところで昇段を逃してきたので、実感がまだわきません。
(服部三段は初参加の第61期でいきなり14勝4敗の成績をあげるも次点。その後も11勝、10勝、12勝と安定した成績を残していた)──2番手で最終日を迎えた心境は?また、どんな戦いができたか
いつも昇段しようとすると、力が入ってしまうので、いい将棋を指そうと思っていました。2局とも苦しくなったが、持ち味の粘りでなんとか勝つことができました。──4月からプロになる。目標は?
定跡にはとらわれない、個性あふれる将棋を指したいです。タイトルホルダーになるのが夢。
AIが示す手を指す人が多いと思うが、自分は自分の考えた手で、その場で思いついた手をどんどんやっていきたいです。──目標・対局したい棋士は?
山崎先生と対局してみたいです。自分と似ているわけではないが、山崎先生も個性豊かな将棋を指される。僕も山崎先生と自由な将棋を指したい。(自身と棋風が似ている?)そうですね、そういうと山崎先生に多分怒られると思うんですけど(笑)【谷合三段へのインタビュー】
──今の気持ちは?
嬉しいです。──最終日対局前で次点は確定していた。どんな気持ちで迎えたか?
フリークラス入りは確定していたので、気は楽だったが、いつもと変わらない将棋を指そうと心がけてやりました。いつも通りの将棋が指せました。(2戦目は残念な結果だったが?)緩んだつもりはなかったが、負けてしまいました。最後は勝って決めたかったので、そこは残念です。──プロになってからの目標は?
大学院に通っている特殊な立場なので、自分にしかできないことで将棋界に貢献していければと思っています。
(谷合三段は東京大学大学院の博士後期課程1年生。著書に『Pythonで理解する統計解析の基礎』(辻真吾監修、技術評論社、2018年)がある)──得意戦法の振り飛車について
居飛車だと相居飛車の研究勝負になりやすいですが、自分はそういうのが好きではない。対抗形で力の出る将棋が指したい。自分は振り飛車に可能性を感じていて、振り飛車の可能性を探っていきたいです。自分の力で勝ちたいという思いがあります。──大学院ではどんな勉強をしている?
自動車の運転支援についてです。ドライバーの不注意による事故をAIを使って防ぐ運転支援の研究をしています。──大学院を卒業したら研究関係を続けるのか、棋士に専念するのか?
大学院を卒業しても、プログラミングが好きなので続けていきたいと思っています。趣味か仕事かはまだ決めていないです。三段リーグ、そしてこれまで出場した公式戦で好成績をあげている二人。四段としてついにスタートラインに立った両棋士の活躍に期待しましょう。
情報源:服部慎一郎三段、谷合廣紀三段の四段昇段インタビュー! 第66回奨励会三段リーグ|将棋情報局
3月7日(土)に行われました第66回奨励会三段リーグ戦(2019年10月~2020年3月)17回戦18回戦において、服部慎一郎三段と谷合廣紀三段が四段昇段を決めました。最終成績は服部三段、谷合三段ともに14勝4敗です。四段昇段日は2020年4月1日付となります。次点は14勝4敗で、西山朋佳三段です。
服部慎一郎(はっとり・しんいちろう)
棋士番号 322
- 生年月日
- 1999年8月2日生まれ(20歳)
- 出身
- 富山県富山市
- 師匠
- 中田章道七段
- 奨励会入会
- 2013年4月
- 三段リーグ入り
- 2017年10月(第62回奨励会三段リーグ戦から)
- 得意戦法
- 居飛車乱戦
- 将棋を始めたきっかけ
- 小学生3年生の夏、担任の先生にJTこども大会の案内をもらいその大会で負けてくやしかったので強くなろうと思った。
- 本人のコメント
- いつも昇段しようと思うと力が入ってしまっていました。今日は2局ともいい将棋を指そうと思って望みました。今後は個性あふれる将棋を指していきたいです。
谷合廣紀(たにあい・ひろき)
棋士番号 323
- 生年月日
- 1994年1月6日生まれ(26歳)
- 出身
- 東京都中央区
- 師匠
- 中座真七段
- 奨励会入会
- 2006年9月
- 三段リーグ入り
- 2011年10月(第50回奨励会三段リーグ戦から)
- 得意戦法
- 振り飛車
- 将棋を始めたきっかけ
- 祖父に教わった。
- 学歴
- 東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報専攻博士後期課程1年生
- 本人のコメント
- 昇段が決まりうれしいです。いつもと変わらず指せましたが勝って終わりたかったです。4月から学業と棋士との二足のわらじ生活になりますが、自分にしかできないことを探っていきたいです。
2020-03-07 第66回三段リーグ
服部慎一郎新四段インタビュー――四段昇段を決めた気持ちを教えてください。
服部 三段リーグでは昇段をあと一歩のところで逃してきたので、まだプロになったという実感が湧かないです。
――今日は2番手で最終日を迎えました。その心境、どんな将棋が指せたか。
服部 昇段しようと思うと力が入ってしまうので、今日は2局ともよい将棋を指そうと思ってきました。2局とも序盤から苦しい将棋になったんですけど、持ち味の粘りで勝つことができました。
――プロの目標を教えてください。
服部 定跡にはとらわれない、個性あふれる将棋を指していって。もちろん、目指すはタイトルホルダーになるのが夢です。
――電話でご報告されていましたが、どなたに?
服部 家族と師匠にしました。親はすごく喜んでいて、師匠は「これからがスタートラインだから、気を引き締めて頑張りなさい」と激励の言葉をいただきました。
――初の女性棋士が懸かっていた、西山さんが競争相手でした。どんなふうにご覧になっていましたか。
服部 女性という意識はなかったです。同じ三段として、最終日を迎えました。
――1局目に勝利して、次点以上が確定していました。意識は変わりましたか。
服部 やっぱり、すごく気持ちが楽になりました。連敗したら、もしかしたらフリークラスにすらいけない可能性があったので。今日の目標は連勝することだったので、まだ終わってないと気を引き締めて、2局目を指しました。
――初参加の第62回奨励会三段リーグ戦では、14勝4敗で次点を獲得されました。
服部 1期目は悔しかったので、それに負けないようにと5期、ずっとそれを忘れないようにやっていました。1勝の重みを三段リーグで学ぶことができたので、自分にとってこの2年間は成長できた2年間だったと思います。
――今回は頭ハネする結果になりましたが、それについて。
服部 いやぁ……。ちょっと、答えにくいです。すみません。
――改めて、1局と2局目の心構えを教えてください。
服部 今日は昇段しようというよりも、相手とよい将棋を指そうとと思ってきました。
――プレッシャーを感じましたか。
服部 プレッシャーはそこまで感じていなかったです。11勝2敗になってから2連敗してしまって、逆に吹っ切れたというか。そこからはプレッシャーを感じずに、3局とも伸び伸びと指すことができました。
――目標の棋士を教えてください。
服部 山崎先生と対局してみたいです。自分と似ているわけじゃないですけど、山崎先生も個性豊かな将棋を指されるので、僕も自由な将棋を指したいなと思います。
――棋風が似ているんでしょうか。
服部 そういうと、山崎先生に怒られると思うんですけど。
――前節が終わってから、西山さんの昇段が注目されました。そのあたりはご覧になっていて、どう思われましたか。
服部 特に感じなかったです。最終日、とにかく自分の将棋を指そうと決めていたので。
――前節と変わらずに臨めた?
服部 ええ、そうですね。
――個性的な将棋をということですが、定跡の将棋が多いなかで、自分の個性的な将棋を指すというのはどんな気持ちでしたか。
服部 いまAIが出てきていて、AIが示した手を指す人も多いと思うんですけど、自分は自分の考えた手で、その場で思いついた手をやっていきたいです。
――プライベートな話を伺います。趣味は何ですか。
服部 趣味はマラソンが好きで、よくジムや家の周りの公園を走ったりしています。漫才を見るのが好きで、吉本に見にいきますね。
――一押しの芸人は?
服部 ノンスタイルが好きです。
――東京オリンピック・パラリンピックを控えていますが、マラソンもご覧になっています。
服部 観たりもします。大迫選手が日本代表に近づいたを見て、すごいなと思いました。
(紋蛇)
2020-03-07 第66回三段リーグ
谷合廣紀新四段インタビュー――四段昇段を決めた、いまの気持ちを教えてください。
谷合 うれしいという感じでした。
――次点が確定した状態で今日を迎えましたが、どんな気持ちで、どんな将棋を指しましたか。
谷合 フリークラス入りは確定していたので、気は楽だったんですけど、いつもと変わらない将棋を指そうと心がけていました。
――実際はどんな将棋でしたか。
谷合 はい、その通りに将棋が指せたと思います。
――2戦目は残念でしたが、内容的には?
谷合 そうですね。緩んだつもりはなかったんですけど、2局目は負けてしまいました。最後は勝って締めたかったんですけど、そこは残念に思います。
――プロになってからの目標は?
谷合 大学院に通っているということで、特殊な立場ということもあり、自分にしかできないことで将棋界に貢献していきたいと思います。
――大学院ではどのような研究を?
谷合 いまは自動車の運転支援です。自動車のドライバーの注意による事故を、人工知能のAIを使って防ぐ研究しています。
――棋士と研究者を二足の草鞋で続けるつもりですか。
谷合 はい、その予定です。
――将棋界もAIが使われるようになりましたが、共通点を感じるところは?
谷合 人工知能のことをやってはいるんですけど、将棋のプログラミングはやっていないので、生かしていないです。これから、将棋プログラミングをやってみたいと思っています。
――大学にはこのまま残りますか?
谷合 はい、大学院に残るつもりです。
――奨励会は26歳で年齢制限ギリギリでしたが、奨励会の思い出は?
谷合 三段リーグに8年半いて、人生の3分の1を過ごしたので、やっとかという思い出ですね。あまり、楽しかった感じではなく、苦しみの時間が圧倒的です。
――年齢制限を迎えることで、変えたことはありますか。
谷合 平均的には勝ち星を挙げていったので、普段と変わらずにいつも通りに指そうと思っていました。
――1勝3敗のスタートでした。
谷合 もちろん三段はみんな強いんですけど、私が負けた人は特に強いと思っている人たちだったので、負けてもそこまでやばいなという思いではなかったです。残りも頑張ろうと思いました。
――師匠も年齢制限ギリギリでした。
谷合 中座先生はいつも「君なら上がれる」と声をかけていただいたので、中座先生が年齢制限ギリギリで上がったこともあって、その言葉はすごく心に留めました。
――行方尚史九段と親しいと聞いていますが、行方九段は「谷合がもし上がれなかったら、将棋界の損失である」とおっしゃっていました。
谷合 そういった言葉をかけていただけるのは、ありがたい限りです。期待に応えて、将棋界に貢献できればなと思います。
――得意戦法は振り飛車とありますが、その戦法を採用している理由を教えてください。
谷合 居飛車党が多いので、相居飛車の将棋がとても多いです。でも、研究勝負というのが自分は好きじゃないので、対抗形で力が出る将棋を指したいというのがあります。振り飛車は倦厭されていますが、自分としてはまだ振り飛車に可能性を感じていて、振り飛車の可能性を探っていきたいなと思っています。
――研究者なのに、研究勝負が嫌?
谷合 将棋ソフトにかけた人が勝ちみたいな将棋になってしまうこともあるので、そういうのは避けて、自分の力で戦いたいという気持ちがあります。
――次点になった西山さんに向けて、一言をお願いします。
谷合 西山さんは強くて、指し分けか負け越しで、私は西山さんなら昇段できると信じています。
――東大入学とプロ棋士になるのは、どちらが難しい?
谷合 そんな単純に比べられるものではないと思うんですけど、私がプロになるまで長かったので、私としては将棋のプロ棋士ですね。
――中座先生には、いつ言葉をいただいたんでしょうか。
谷合 奨励会に入ってから毎回、奨励会の成績をメールで送っていて、その結果にコメントをいただいています。今期、最初は連敗だったんですけど、中座先生は信じてくれて、「君ならできるよ」といってくれたのが大きかったと思います
――最終日前にフリークラス編入が決まっていたが、どんな言葉をいただきましたか
谷合 フリークラスは決まっていましたけど、「最終日も緩まないように」と。
――大学院を抜けたあとは、棋士に専念される予定ですか。
谷合 あまり決めていないですけど、プログラミングは好きなので、プログラミングは続けていきたいです。趣味かもしれないですし、仕事してやるかもしれないですし。そこは決めていません。
――趣味は何ですか。
谷合 前はピアノを弾くのが好きだったんですけど、最近はなかなか時間がとれなくて。将棋が疲れたらプログラミング、プログラミングが疲れたら将棋をやる生活でした。
――そのふたつは、どういう面白さの共通点がありますか。
谷合 あまり似ているところはないかなと思います。
(紋蛇)
三段リーグ最終18回戦は、谷合三段は敗れました。14勝4敗で3人が並び、前回成績による順位が明暗を分けました。
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) March 7, 2020
谷合新四段は「三段リーグは苦しみの時間で、やっとかという思いです。西山さんとは指し分けか負け越しくらい。西山さんなら昇段できると信じています」と、次点の西山三段にエール。年齢制限となる今回は連敗スタートでしたが、師匠の中座真七段は「君なら上がれる」と励まし続けたそうです。
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) March 7, 2020
村)服部三段と谷合三段の記者会見がありました。服部三段は「定跡にとらわれない個性的な将棋を指して、タイトルを取りたい」。山崎八段と対局したいそうです。谷合三段は東京大学大学院の博士後期課程でAIを活用した自動車の運転支援を研究。「自分にしかできないことを探って、将棋界に貢献したい」 pic.twitter.com/FffGNS7pW4
— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) March 7, 2020
服部新四段「その場で思いついた手をどんどんやっていきたい」
谷合新四段「振り飛車の可能性を探っていきたい」服部慎一郎三段、谷合廣紀三段の四段昇段インタビュー! 第66回奨励会三段リーグ|将棋情報局 #将棋情報局 https://t.co/WTQWmbkMzS
— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) March 10, 2020
さぁ、どんな活躍を見せてくれるかな?