師弟でイベントに出演する杉本昌隆八段(左から2人目)と藤井聡太七段(左から3人目)=2019年12月、名古屋市中区、滝沢隆史撮影

藤井七段への「強引な」お年玉  杉本一門の指し初め:朝日新聞デジタル

ほぉ・・・


2020年1月20日 18時00分

師弟でイベントに出演する杉本昌隆八段(左から2人目)と藤井聡太七段(左から3人目)=2019年12月、名古屋市中区、滝沢隆史撮影
師弟でイベントに出演する杉本昌隆八段(左から2人目)と藤井聡太七段(左から3人目)=2019年12月、名古屋市中区、滝沢隆史撮影

杉本昌隆八段の「棋道愛楽」

将棋の世界では、新年初めての対局を指し初めと言います。今年もお正月に一門の弟子を集めて研究会を開きました。

弟子が増えた今年は、藤井聡太七段を筆頭に弟子が12人集合。テレビ局の取材もあり、大にぎわいです。勉強の場ですが、お正月ということもあって少しリラックスムードでした。

来た順番に2人ペアで指す10秒将棋がウォーミングアップ。私は藤井七段と指し、これが私の指し初めでした。反射神経も必要で、熱戦になりましたが、ご想像通り?結果は藤井七段の勝ちでした。室田伊緒女流二段や中澤沙耶女流初段と小学生の弟子の対戦などは普段は見られない新鮮さ。新春らしい気分にもなったものです。

学生の弟子には、お年玉を渡すのが私の一門の恒例です。小学生、中学生と順番に続き、最後は高校2年生の藤井七段。もはや将棋界を代表する棋士ですが、私から見れば未成年の弟子に変わりはありません。「いえいえ」と遠慮する藤井七段と、「まだ学生だから」と半ば強引にお年玉を渡す私。これも毎年の光景です。高校を卒業するまでは続ける予定なので、来年もこのやりとりが続くことでしょう。

勝敗にこだわらず、新しい作戦を試せるのが研究会です。それが成功するかどうかは一種の「運試し」のようなもの。この日、私の選んだ手はことごとく裏目で、5人の弟子と指して1勝4敗でした。おみくじなら凶でしょうが、その分、弟子たちが自信をつけてくれれば「大吉」です。

休憩のおやつタイムには、新しい弟子たちが携帯電話のアプリで通信対局を始めました。そこに輪ができて盛り上がります。年下の弟弟子が5人に増えて、藤井七段もお兄さんの立場。その様子を優しく見守っていました。

その藤井七段と兄弟子たちの対局を見るのは1年ぶりです。彼らは10年前の10歳前後のころからの将棋仲間です。お互いにため口で遠慮なく、楽しそうに感想戦をしていたのが印象的でした。

晩御飯は全員で協力して鍋を2種類作りました。「何か手伝うことはないですか?」と新入会の弟子たち。具材を準備する私と、それを運んだり食器を並べたりする弟子。鍋を見張る担当の弟子もいます。手伝う人数が多すぎて、実質半数の子たちは余っていましたが、みんなでの共同作業は楽しそうでした。これもお正月ならではの光景でしょう。夕食後は自主的に研究会を再開。結局、新年の研究会は夜まで続きました。

数日後の公式戦では、大きい一番をものにして昇段した弟子もいました。室田女流二段も2連勝。私も新年初めの対局は勝ち。一門として幸先の良いスタートが切れました。

今年の藤井七段、そして他の弟子たちはどんな活躍をしてくれるのでしょうか。まずは、18日に開幕した朝日杯将棋オープン戦名古屋対局(朝日新聞社主催)で藤井七段の3連覇に期待しましょう。

〈すぎもと・まさたか〉 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2019年2月に八段。第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太七段の師匠でもある。

情報源:藤井七段への「強引な」お年玉  杉本一門の指し初め:朝日新聞デジタル



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