Mリーグでの対局。選手はユニホームを着用し、卓には照明があたる=AbemaTVから

麻雀人口、将棋に肉薄 「観る雀」生んだ藤田晋氏の戦略:朝日新聞デジタル

ふむ・・・


2019年12月13日18時00分

Mリーグでの対局。選手はユニホームを着用し、卓には照明があたる=AbemaTVから
Mリーグでの対局。選手はユニホームを着用し、卓には照明があたる=AbemaTVから

一昔前のマージャン(麻雀)といえば、ギャンブル、裏社会、徹夜に酒、たばこ――。こんな悪印象から愛好者は多くても眉をひそめられることが多かった。ところが最近は、麻雀人口がV字回復で、将棋を見て楽しむ「観(み)る将」ならぬ「観る雀(ジャン)」が生まれるなど、頭脳スポーツとしてのエンタメコンテンツに。劇的なイメチェンはいったいなぜ?

「観る将」人気の将棋人口に迫る

今秋、2年目となるシーズンが開幕した麻雀のプロが競う「Mリーグ」。開幕式では、選手が登場する度にファンがバルーンスティックを打ち鳴らして盛り上がる雰囲気の中、サイバーエージェント社長でMリーグチェアマンの藤田晋さんが「今年はこの熱狂を外に広げる」とあいさつした。

会場には、今期からリーグに参戦するKADOKAWAの角川歴彦会長、昨年に自民党内にできた「スポーツ麻雀(マージャン)議連」会長の平井卓也衆院議員ら政財界の大物もそろった。リーグの模様はサイバーエージェント傘下のAbemaTVで配信され、将棋の名人戦、囲碁の本因坊戦に協賛する大和証券がレギュラーシーズンの冠スポンサーとなる。今年からは地上波放送も始まった。

角川会長らが「学生時代は麻雀に熱中した」と語ったように、たしなむ人は数多い。レジャー白書によると、2018年の麻雀人口は580万人で、減少傾向から一転して前年比80万人増。囲碁の210万人を上回り、将棋の680万人とも大差ない。

知的な囲碁、将棋に対して、ギャンブルと結びつく麻雀の印象は雲泥の差だったが、「ゼロギャンブル宣言」を行い大企業が参画するMリーグが風向きを変えつつある。

ギャンブル、徹夜→知的なイメージ

ユニホームを着た選手が勢ぞろいし、多くのファンが詰めかけたMリーグ開幕式。中央は川淵三郎最高顧問
ユニホームを着た選手が勢ぞろいし、多くのファンが詰めかけたMリーグ開幕式。中央は川淵三郎最高顧問

麻雀人口は年に1度以上打った人だが、打たないファンもいる。Mリーグが行ったアンケートによると、見たことがある人は約500万人で、うち半数超の約300万人は麻雀未経験者だ。麻雀に対するイメージは「ギャンブル」「徹夜」「たばこ」といった悪印象が多数を占めるものの、いずれも割合が前年より低下し、「知的」「はやっている」といった好印象が増えた。

藤田さんは「eスポーツが流行している流れに乗れたのが大きい」と話す。藤田さんはプロとアマが競う麻雀最強戦で14年に優勝するほどの腕前で、AbemaTVでは16年の配信開始時から麻雀の専門チャンネルを設けて力を入れてきた。当初は「対局時にスーツを着用するなど、囲碁、将棋の世界を目指していた」が、「見た目がおじさん中心の地味な世界で、コンテンツとして限界があった」という。

そこでeスポーツにならって様々な工夫をMリーグに取り入れ、エンタメ色を強めた。

スポーツ化、アイドル女性雀士も人気

Mリーグチェアマンの藤田晋さん
Mリーグチェアマンの藤田晋さん

選手たちはスーツではなくユニホームを着用し、暗い空間で卓上に照明を当てるなどショーアップ。映像技術を駆使して卓を囲む4人の得点状況や配牌(はいぱい)が可視化される。今年からは参加チームに男女混成を義務づけて、女性雀士が増えた。Mリーグアンケートの選手の知名度を見ると、1位は俳優でもある萩原聖人さんだが、2位以下には二階堂亜樹さん、高宮まりさん、茅森早香さん、黒沢咲さんとアイドル的人気も持つ女性雀士が続く。見た目の変化で「AbemaTVで将棋やニュースを見ていた人が、麻雀を従来とは違う見方で見てくれた」(Mリーグ事務局)という。

Mリーグが若い男性を中心に注目が高まっている一方で、高齢世代の男女から支持が厚いのが「健康麻雀」だ。ギャンブル、酒、たばこの悪印象に対して「賭(か)けない、飲まない、吸わない」を掲げており、07年からねんりんピックの正式種目に、18年から国民文化祭のプログラムの一つになっている。日本健康麻将協会によると「国や自治体とイベントを共催する機会が増え、健康麻雀を開く教室も増えている」という。

サッカーのJリーグ、バスケットボールのBリーグを成功させ、現在はMリーグの最高顧問を務める川淵三郎さんは「麻雀は健全で楽しいと思ってもらえれば、スポーツとして広がっていく」と話す。(加藤勇介)

情報源:麻雀人口、将棋に肉薄 「観る雀」生んだ藤田晋氏の戦略:朝日新聞デジタル


2019年12月13日05時00分

「Mリーグ」をご存じですか?

麻雀(マージャン)のプロがチームに分かれて競い合う競技団体です。私が代表理事となって昨年立ち上げ、今、2年目のシーズンの真っ最中です。Mリーグでめざすのは、麻雀を「ギャンブル」「徹夜、酒、たばこ」といった負のイメージが強い遊びから、健康的な頭脳スポーツとして観戦する競技への「パーセプション・チェンジ(認識を変えること)」。私たちはメディアを通じて実現に挑んでいます。

Mリーグのお手本は、コンピューターゲームやビデオゲームでの対戦をスポーツとみなす「eスポーツ」です。eスポーツは世界的に競技として認められる流れにあります。今秋、茨城県で開かれた国体では、正式な競技にはならなかったものの、「文化プログラム」として「ぷよぷよ」など三つのゲームで全国から集まった若者が技を競いました。

ゲームはもともと自ら遊ぶものでしたが、今ではeスポーツとその観戦が広がっています。麻雀でも同じように、Mリーグとその観戦である「観(み)る雀(ジャン)」を広げていきたいのです。

観る雀の盛り上がりを象徴するできごとがありました。12月3日に東京・六本木の劇場で開いたMリーグ対局のパブリックビューイングの約1千枚ものチケットが完売したのです。1席8500円もするため、言いだした私でさえ、売れ残ることを覚悟していましたが、予想を裏切る人気でした。

もちろん、私も行きました。会場の大スクリーンには、別の場所で対局する4人の選手(Mリーガー)の手牌(てはい)や表情が映し出されます。観客は、選手がリーチすれば、声をそろえて「リーチ」と叫び、ひいきの選手が相手を勝たせてしまう牌を切りそうになると、「危ない、危ない」と悲鳴を上げます。応援するチームが勝つと、立ち上がり、「やったやった」と喜んでいました。そんな様子はスポーツ観戦とまったく変わりません。Mリーグは賭けは一切禁止ですが、観戦だけで十分楽しめるのです。

パブリックビューイングは、将棋や囲碁の大盤解説をヒントに始めました。やってみたら、麻雀をみんなで見ることがこんなにおもしろいのかと気づかされました。私も変わりつつあります。麻雀が大好きで、Mリーグの8チームのひとつ「渋谷ABEMAS」で監督もしていますが、最近では自分で打つより、観る雀の方が楽しくなってきました。

そのためにはメディアの力が欠かせません。私たちが運営するインターネットテレビ「AbemaTV」でMリーグを放送し、すでに主力コンテンツになっています。今シーズンの月あたりの視聴者数は約50万人で、昨シーズンの1・5倍に伸びました。メディアがなければ、スポンサーがつかず、Mリーグを運営することもできません。

課題は、麻雀に関心がない人たちにどう広げるか、です。私が期待しているのは、将棋の藤井聡太さんのような若いスター選手が出てくることです。2年前、中学生だった藤井さんは公式戦で勝ち続け、歴代最多の29連勝を成し遂げました。その間、AbemaTVに限らず、地上波テレビ、新聞などが何度も取り上げ、将棋に関心がない人たちの耳目も引きつけました。絶大な「藤井効果」は、メディアの力も大きかったと思います。

実を言うと、麻雀では藤井さんのような若い選手が勝ち続けるのは難しいとされています。麻雀での勝負では人生経験や精神力がものを言うためで、「40歳代半ばが最も強い」というのが定説となっています。とはいえ、今はテレビゲームやオンラインゲームで経験を積むことができます。実際、強い若者が増えており、様々な方法で弱みを補ったスター選手の登場は夢ではないと思います。

パーセプション・チェンジの一環で、教育現場での麻雀の活用にも可能性を感じています。Mリーグでは、オフシーズンに選手たちが小学生に麻雀を教えていますが、選手を派遣してほしいという引き合いが増えています。

麻雀は配牌で初めから差がつくだけでなく、運や実力にも左右されるのに対し、将棋はともに同じ駒を並べた平等な状態で対戦します。より実際の社会に近いのは、一人一人異なったスタートラインから始める麻雀の方ではないでしょうか。それでも何とか自分なりに打つことは、生き方を学ぶことにも通じると思うのです。

お年寄りが楽しむ「健康麻雀」への協力も求められ、芸能事務所も所属する有名タレントが麻雀番組に出演するのを認めるようになってきました。少しずつ麻雀のイメージは改善していると感じていますが、気は抜けません。道のりはまだ長いのです。

1973年生まれ。24歳で起業したサイバーエージェントの社長。テレビ朝日と設立したAbemaTVの社長も務める。

■「炎上」で地固まる?

私がオーナーを務めるサッカーJ2の「FC町田ゼルビア」の名前を「FC町田トウキョウ」に変えようと、10月にサポーターミーティングを開いて説明しました。会場の模様をユーチューブで配信したら、「炎上」しました。会場の内外から「『ゼルビア』を残して」と反対の声が続々と上がったのです。

これからチームを成長させようと思っているにもかかわらず、サポーターや地元の方々が離れ、スポンサーを増やすことが難しくなっては本末転倒です。改名は見送りました。そもそも私が町田ゼルビアに投資したのは、クラブを強く、大きくしていくプロセスをサポーターと共有しようと考えたからです。そういう意味でも改名でもめたという歴史も大っぴらにできたのは、知名度や関心が高まるきっかけになったと言えるかもしれません。

情報源:(藤田晋のメディア私評)競技としてイメチェン 麻雀、観て楽しむ頭脳スポーツへ:朝日新聞デジタル




役というか、点数計算がどうにも覚えられない。