広瀬章人竜王に敗れ、感想戦に臨む藤井聡太七段=2019年11月19日午後7時46分、東京都渋谷区、田辺拓也撮影

藤井聡太七段、痛恨の選択ミス 負けの悔しさから逃げず:朝日新聞デジタル

ふむ・・・


2019年12月5日11時00分

広瀬章人竜王に敗れ、感想戦に臨む藤井聡太七段=2019年11月19日午後7時46分、東京都渋谷区、田辺拓也撮影
広瀬章人竜王に敗れ、感想戦に臨む藤井聡太七段=2019年11月19日午後7時46分、東京都渋谷区、田辺拓也撮影

杉本昌隆八段の「棋道愛楽」

藤井聡太七段が初のタイトル挑戦まで、あと1勝と迫った第69期王将戦。挑戦者決定リーグ戦で4勝1敗同士、広瀬章人竜王との決戦は最高の盛り上がりを見せました。

棋士にとって、タイトルは永遠の憧れ。挑戦者はその第一歩です。いままで数々の新記録を打ち立ててきた藤井七段。今回は歴代最年少挑戦者の記録更新がかかっていました。私も現地の東京に駆け付け、インターネットの将棋番組に出演。その後、控室で他の棋士らと検討に加わりました。

将棋会館前の玄関先には、王将戦の協賛会社のキッチンカーが止まっています。対局者に出来立ての中華料理を届けるためです。テレビカメラが回り、リポーターの女性がそれを紹介する。ちょっとしたお祭り会場のように華やかで、静粛の中で行われる対局室とは対照的でした。

ちなみに、この日の藤井七段の勝負めしは「覚醒のネギあんかけ炒飯(チャーハン)」と「復刻創業餃子(ギョーザ)」。結構なボリュームですが、さすがの若さです。

別会場では大盤解説もあり、やはり現場で応援のエール(念?)を送りたいのでしょうか。たくさんのファンが訪れていました。

戦形は藤井七段が得意の「角換わり」ではなく、意表の「矢倉」。藤井七段の作戦だったとのことですが、この大一番に大した度胸です。

しかし、広瀬竜王の巧みな指しまわしに迷わされ、長考を余儀なくされる藤井七段。夕方になり、苦戦がはっきりしてきました。「うーん、苦しいねえ」。中立の立場の控室とはいえ、やはり新記録への期待があります。深浦康市九段や中川大輔八段らと一緒に検討しますが、重たい空気でした。

そんな中、秒読みのさなかで繰り出した藤井七段の勝負手が成功。よもやの逆転です。「杉本さん、これは逆転しましたよ」。深浦九段の言葉が神様のお告げのように聞こえました。

ところが、ここから広瀬竜王の猛烈な追い込みが始まります。マラソンの残り30メートルでトップが入れ替わり、デッドヒートを繰り広げている構図。藤井七段の逃げ切りを祈る気持ちで見ていたファンも多かったことでしょう。

1分将棋に追い込まれていた藤井七段に、最終盤で痛恨の選択ミスが出ました。これを広瀬竜王がとがめ、鮮やかに即詰みに討ち取って勝利。藤井七段の新記録はかないませんでした。

敗者の弁はつらいですが、藤井七段は決して負けの悔しさから逃げません。「間違えたのは自分の実力です」

挑戦こそ逃がしたものの、リーグ戦は羽生善治九段をはじめ、そうそうたる顔ぶれの中で4勝2敗。トッププロの広瀬竜王をあと一歩のところまで追い詰めた実力は評価されるべきでしょう。今期は大きな経験を積みました。

数日後、師弟で「将棋の日」のイベントに出演しました。敗戦のダメージなど全く感じられず、切り替えの早さに感心したものです。藤井七段のタイトル挑戦は次回の楽しみに取っておくことにしましょう。

すぎもと・まさたか 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2019年2月に八段。第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太七段の師匠でもある。

情報源:藤井聡太七段、痛恨の選択ミス 負けの悔しさから逃げず:朝日新聞デジタル



ほぉ・・・