ふむ・・・
2019年12月3日 16時0分
あの1分間、天才少年の思考回路で何が起きていたのか―。11月19日、藤井聡太七段(17)が第69期王将戦挑戦者決定リーグ最終局で広瀬章人竜王(32)に敗れ、史上最年少でのタイトル挑戦を逸した。激闘の最終盤、勝勢の藤井は自玉の詰みを見落とす「頓死(とんし)」を犯して敗れ去った。各メディアが報じた「大逆転負け」の内実、真相とは。主催社に棋譜・図面使用の許諾を得た上で、あの局面における思考を追体験したい。
11月19日午後7時27分、東京・将棋会館「特別対局室」で藤井聡太は図の局面を見つめ、考えていた。
午前10時の対局開始から9時間超。4時間の持ち時間を使い果たし、一分将棋(59秒以内に着手しないと反則負け)に入っている。△6九飛成で王手を掛けられているが、藤井の勝勢である。
広瀬が王手を継続できず受けに回り、藤井に攻めのターンが回れば先手が勝つ展開になっている。
ルール上、許された選択肢は5つしかない。初心者の方も自宅の盤駒を並べ、考えていただきたい。
竜と自玉の間に合駒(相手の駒の利きを自らの駒で遮断すること)をする〈1〉▲6八飛〈2〉▲6八歩。あるいは王将を逃がす〈3〉▲7六玉〈4〉▲7七玉〈5〉▲5七玉の5通りだが、当然ながら、棋士と棋士が指す将棋の最終盤に正解は一つしかない。
〈1〉▲6八飛なら、以下△6八同竜▲同玉△7八金▲同玉△8八飛▲6七玉△7六銀▲同金△5六金▲7七玉△8七香成の11手詰めで広瀬勝ち。
〈2〉▲6八歩なら、以下△7六金▲5七玉△5九竜▲5八歩△6六金▲同玉△5六金▲7七玉△8七金▲7六玉△8五銀の11手詰めで広瀬勝ち。
〈3〉▲7六玉なら、以下△8五銀▲7七玉△8七金まで3手詰めで広瀬勝ち。
〈4〉▲7七玉なら、以下△8七金▲7六玉△8五金まで3手詰めで広瀬勝ち。
唯一の正解は〈5〉▲5七玉と逃げる一手だった。次に△5九竜あるいは△5六金と指されても間一髪で詰みを逃れており、広瀬は△3三銀など受けに回らざるを得なくなる。
ところが、50数秒の思考の後、藤井は駒台に置かれた歩を手にして〈2〉▲6八歩を着手。控室は騒然となった。局面を検討していた棋士たちは藤井玉に詰みが生じていることを口々に指摘した。自玉が詰むことを見落とす「頓死」が土壇場で生じてしまったのだ。
広瀬は持ち時間の残り20分のうち4分を投入し、△7六金を着手した。その後、なんと広瀬も最短の11手詰めを見落とす一幕もあったが、一瞬で発見した25手詰めの順で逆転勝利を飾った。
局後の藤井は「時間がなくて分からなかったです。最後、間違えてしまいました。残念ですが、実力かなと思います」と語り、広瀬は「▲6八歩で詰んでいる気がして、読み抜けがなければ勝ちになると思いました。ギリギリで詰みの変化があり、最後は運が良かったです」と振り返った。ある棋士は「藤井さんの頓死は一度も見たことがないので驚きました」と信じ難い場面を目撃した顔で言った。「詰将棋解答選手権」5連覇中の藤井が11手詰めを発見するには通常、数秒しか要さない。失敗の呼び水となった可能性があるのは過去1時間の流れ。午後6時35分時点の87手目で一分将棋に突入した藤井は▲6八歩を指す同7時27分までの52分間、難解な11手を全て59秒以内に指さなくてはならなかった。
劣勢ながら最善手を指し続けて勝勢を引き寄せたが、最後にミスが生まれてしまった。極限下で戦う重圧、疲労が指し手に影響した可能性は否定できないだろう。
史上最年少のタイトル挑戦を実現するには現在2次予選進行中の棋聖戦で6連勝するしかないが、藤井は瀬戸際に立ってこそ真の強さを発揮する。史上最年少四段、史上最多連勝も、敗れれば新記録樹立が消える勝負を制してきた。最後の機会で究極の力を見せてくれる予感と期待感を抱く。(北野 新太)
情報源:藤井聡太七段、天才の頓死…初のタイトル挑戦目前で痛恨ミス、何が起きたのか(スポーツ報知) – Yahoo!ニュース(コメント)
情報源:藤井聡太七段、天才の頓死…初のタイトル挑戦目前で痛恨ミス、何が起きたのか : スポーツ報知
- 王将戦 |棋戦|日本将棋連盟
- 王将戦中継ブログ
- 大阪王将杯王将戦 ー スポニチ Sponichi Annex
- 王将戦 – 毎日新聞
- 将棋プレミアム – 将棋プレミアム 第68期王将戦リーグ特設ページ
- 将棋プレミアム 配信ページ
- 棋譜中継(毎日新聞)
これなぁ、藤井七段も人間だったって事だよな。