今までどおり行動していけばみんなアツ(會澤翼)についていくと思います/新井貴浩コラム

ふむ・・・


2019年10月24日(木) 11:00

アツ[写真左]はみんなで頑張って、みんなで喜ぼうというタイプ[隣は私です]。来年も、攻守に、グラウンド外でも、チームを引っ張っていってくれると思います
アツ[写真左]はみんなで頑張って、みんなで喜ぼうというタイプ[隣は私です]。来年も、攻守に、グラウンド外でも、チームを引っ張っていってくれると思います

どんなときもチームが一番

前回に引き続き、“スーパーアッちゃん”こと會澤翼選手の話です。キャッチャーとして、選手会長として、今年もチームをしっかりまとめてくれました。

私も日本プロ野球選手会会長(選手長)を4年やらせていただいたことがあります。多くの人たちをまとめ、何か成し遂げようとすることは簡単なことではありません。

上に立つ人間として私が大切だと思うのは、“言葉じゃなく行動すること”です。考え出すとどんどん難しくなっていくので、シンプルに考えて、まずは率先して自分がやる。姿で示すことが大切だと思っています。

アツはしっかりと率先してできています。今年も若い選手がどんどんと出てきましたが、行動で示すアツの姿はいい見本になっていたと思います。また、アツを筆頭に優しく接してくれる先輩たちのおかげで、一軍に溶け込むのも早かったのではないでしょうか。

当たり前のことですが、率先するというのは、大きな声を出して、自分の思いばかり伝えることではありません。アツは常に周りのことを考えて行動しています。そして、行動とともに発する言葉にもそれが表れています。だから、言葉にもパワーが宿るのでしょう。

4月19日のDeNA戦(マツダ広島)で延長10回一死満塁からサヨナラ打を放つと、お立ち台で、

「選手は1試合もあきらめていない。必ず巻き返します」

と宣言しました。チームは開幕スタートダッシュに失敗。ファンからも心配の声が聞かれる中、アツの言葉は、チームにも、ファンにもあらためて力を与えました。チームは19日以降も連勝を続けています。チームの雰囲気がガラッと変わった瞬間でした。

どんなときもチームのことを考えて、自分さえよければいい、なんてことはまったくない。みんなで頑張って、みんなで喜ぼうというタイプの選手なんです。

そういえば、3連覇のビールかけでは、いつも大好きなお酒を浴びて人一倍はしゃいでいたなあ(笑)。さすが“スーパーアッちゃん”!

これからも変わることなく

アツとはシーズン中だけでなく、2017年オフシーズンから鹿児島・最福寺での護摩行も一緒に行ってきました。アツのほうから「連れていってください」と頼んできたのですが、実は最初は断ったんです。「お前、キツいからやめとけ」と。でも、根性がありますね、彼は。ひるむことなく言ってきたので、連れて行くことにしました。

石原もそうでしたが、アツも何かを変えたかったんじゃないかと思います。護摩行をしても、体が強くなったり、野球がうまくなるわけではありません。ただ、あれだけキツいことをやり抜いたことで、気持ちが確実に強くなります。だからこそ、その後も続けているのだと思います。

しっかり者のアツですが、実は冗談も好きだし、お酒を飲むのも大好きです。やるときはやる、リラックスするときはリラックスする。いい意味でONとOFFがきっちりしています。ただ、ちょっとOFFが過ぎることもありますがね(笑)。

そんなアツの選手としての魅力の1つが、勝負強い打撃でしょう。今年もですが、3連覇中は特に光りました。打席での“キメ”と言うか、割り切りみたいなものができるんですよね。配球を読んだり、コースを読んだりして、勇気を持って決めることもできるし、張ることもできる。キャッチャーらしいなと思います。

キャッチャーは決して派手なポジションではないと思っています。守備に関しても、二遊間などとは違って、動きも少ない。ですが、どのポジションよりも経験値が重要視されるのがキャッチャーです。

アツの場合は、それに“打てる”という要素が加わっています。打てる捕手の存在というのはチームにとってすごく大きいものです。

なので、今シーズンが終了し、FA権を取得したアツがどんな決断を下すのか、気になるところではありました。私も07年オフ、同じ悩みに直面しました。当時の私は、悩み過ぎて何に悩んでいるか分からなくなるくらいでした。だから、アツの気持ちもすごく分かります。

アツもたくさん悩んだと思います。私としては、行使するにしてもしないにしても、一度きりの野球人生。本人の思うように進んでほしいと思っていました。

10月10日、カープにとってはうれしいニュースが届きましたね。『會澤翼、国内FAの権利を行使せず、広島残留を表明』

会見に臨むアツの表情は、実にすがすがしいものでした。

今のアツに対し、別に何かを変えてほしいとか、そういったことはまったくありません。今までどおり、チームのためを第一に考え、率先して行動していけば、みんなアツについていくと思います。来年も、攻守に、さらにはグラウンド外でも、チームを引っ張っていって、再び優勝、日本一を目指して戦ってほしいなと思います。

ただ、もともとやんちゃでイケイケドンドンの性格ですからね。會澤選手、オフにあまり羽目を外し過ぎないで、来シーズンも頑張ってください!

PROFILE
新井貴浩/あらい・たかひろ●1977年1月30日生まれ。広島県出身。広島工高から駒大を経て99年ドラフト6位で広島入団。4年目の02年に全140試合に出場し、05年は43本塁打で本塁打王のタイトルを獲得。07年オフ、FA権を行使して阪神に移籍した。11年には打点王になるなど活躍するも、14年は出場機会が減少し、オフに自ら申し出る形で自由契約に。15年に8年ぶりに古巣・広島に復帰。16年には四番打者として25年ぶりのリーグ優勝をけん引し、リーグMVPに輝く。17年途中からは代打が多くなったが勝負強さは健在で、球団史上初のリーグ3連覇に貢献した。18年限りで現役を引退。通算成績は2383試合、2203安打、319本塁打、43盗塁、打率.278。

情報源:今までどおり行動していけばみんなアツ(會澤翼)についていくと思います/新井貴浩コラム(週刊ベースボールONLINE) – Yahoo!ニュースコメント

情報源:新井貴浩コラム 今週の感謝人 會澤翼選手(広島)「今までどおり、チームのためを第一に考え、率先して行動していけば、みんなアツについていくと思います」 – 野球:週刊ベースボールONLINE


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