新人王戦
2019年10月13日05時00分
2018年秋。藤井聡太七段(17)が初めて番勝負に登場した第49期新人王戦の決勝三番勝負は関西勢同士の対局となった。舞台は大阪市福島区の関西将棋会館。タイトル戦と同じように高段棋士が立会人を務め、対局者におやつも提供された。
対戦相手は、プロ棋士養成機関「奨励会(しょうれいかい)」の三段だった出口若武(わかむ)四段(24)。年少でも、すでに棋士だった藤井の方が格上で、負けられない戦いだった。
出口が井上慶太九段(55)の弟子ということも話題を呼んだ。井上一門の棋士たちは藤井との対局で好成績を残し、「藤井キラー」と称されていたからだ。井上は出口を「鋭い攻めを秘めた、井上一門の隠し玉」と評し、好勝負を期待していた。
第1局は10月10日。午前8時すぎ、すでに関西将棋会館の前に人だかりができた。藤井の初めての番勝負とあって、福崎(ふくさき)文吾九段(59)による大盤解説会が特別に企画され、午後2時の開会をファンが待っていた。急きょ、整理券が配られた。
第1局は「相懸(あいが)かり」という戦型になった。先手の出口が積極的に仕掛け、終局後に藤井も「途中は苦しい場面もありました」と振り返るほどだった。だが、結果は午後5時、112手で藤井が先勝した。
第2局は1週間後の17日。戦型は藤井得意の「角換(かくが)わり」。出口は「公式戦で角換わりを指したのは初めて」。大勝負で新しいことに挑戦する度胸の良さを見せたが、中盤で「すごい失敗をしてしまった」。午後3時、105手で藤井が制した。16歳2カ月での新人王戦の優勝。1987年に森内俊之九段(49)が17歳0カ月で達成した最年少記録を31年ぶりに塗り替えた。「新人王戦は最後のチャンスでしたので、優勝という形で卒業できたことをうれしく思います」。終局後、藤井は初々しく語った。一方、敗れた出口は翌春、プロ四段に昇った。「新人王戦という大舞台を経験できたのは大きかった」と感謝する。=敬称略(佐藤圭司)
◆毎週日曜に掲載します。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)激闘編:13 初めての番勝負で最年少優勝:朝日新聞デジタル
ふむ・・・