ふむ・・・
2019年8月4日05時00分
「ホームランを打たれたピッチャーのような気持ちでした」
藤井聡太七段(17)に「あの手」を指された時の心境を、対戦相手の石田直裕五段(30)はそう振り返る。
2018年6月5日。大阪市の関西将棋会館で、竜王戦ランキング戦5組決勝が行われた。勝者が決勝トーナメントに進出する大一番。互いに一歩も譲らない激しい攻め合いになった。
終盤、石田は7七の地点に歩を打って自陣を守った。7六にいる相手の飛車を取る狙いがあるが、藤井は飛車を逃げない。「7七同飛成」。打たれたばかりの歩をもぎ取って、果敢に攻め込む絶妙手だった。
将棋の8枚の駒のうち、飛車は攻めの主力となる最も強い駒だ。それを、最も価値が低い歩と交換する手はめったに現れない。「勝ちを確信したわけではないが、いけると思った」。藤井は十数手前からこの手を読み、手応えを感じていた。
石田も、指される前に気づいていた。だが、時すでに遅し。体から変な汗が噴き出すのを感じた。追い詰められた玉将を助ける策は見つからない。その後20手で石田が投了を告げた。
「7七同飛成」は、多くの人の度肝を抜いた。今春には、2018年度の「升田幸三賞」に選ばれた。数々の独創的な戦法を編み出した名棋士の名を冠した賞だが、戦法ではなく、一つの手が対象となるのは異例。史上最年少での受賞だった。
藤井自身は、こう述懐する。
「あの局面になれば、そう指すよりない。自分自身は、それほどインパクトのある手とは思っていなかったが、こういった賞をいただくと歴史に残る。評価されてうれしい」
中原誠十六世名人(71)の「5七銀」、羽生善治九段(48)の「5二銀」。名棋士は、符号と共に記憶に残る妙手を残してきた。当時、まだ15歳だった藤井の「7七同飛成」も、それらに劣らない輝きを放っている。=敬称略(村瀬信也)
◆来週は休みます。次回は18日です。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)激闘編:6 7七同飛成、歴史に残る「ホームラン」:朝日新聞デジタル
村)今日の朝刊の記事です。藤井七段の「あの手」を指された石田五段は「ホームランを打たれたピッチャーのような気持ちでした」。一方藤井七段は「あの局面になれば…」。
(大志 藤井聡太のいる時代)激闘編:6 7七同飛成、歴史に残る「ホームラン」:朝日新聞デジタル https://t.co/MoFZmRm1yv— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) August 4, 2019
▲石田直裕五段 vs △藤井聡太七段(棋譜DB)
https://www.youtube.com/watch?v=RnMPtrnsdeE
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