夏休みに将棋上達、杉本八段の勧める勉強法は:朝日新聞デジタル

ふむ・・・


2019年8月1日10時27分

将棋の駒のクッションを持つ杉本昌隆八段=2018年5月29日午後、名古屋市中区、吉本美奈子撮影
将棋の駒のクッションを持つ杉本昌隆八段=2018年5月29日午後、名古屋市中区、吉本美奈子撮影

杉本昌隆八段の「棋道愛楽」

夏真っ盛りですね。学生たちも夏休み。外で家族連れをよく見かけるようになりました。

東京や大阪にある将棋会館へ行くと、普段はあまり見かけない学生の奨励会員が記録係を務めている姿を見かけます。まだ慣れていないのでしょう。先輩奨励会員や棋士にアドバイスを受けている光景は初々しく、ほほ笑ましいものです。

目標がある将棋好きのお子さんには棋力アップの絶好の時期です。「夏休みにどんな勉強をしたらよいでしょうか?」と聞かれることがあります。シンプルながら、なかなか奥の深いご質問です。

その子の棋力にもよりますが、指し手と同じく勉強法にも個性が現れるのが将棋。きっと、正解はないのでしょう。でも、せっかくの夏休み。普段できない勉強法も試してみることをお勧めします。

私は小学生のころ「1年で千対局」を目標にしたことがあり、夏休みは何百局も指した記憶があります。中学生のある夏は、人とほとんど指さない代わりに1日5時間以上、棋士の棋譜だけを並べたこともありました。

「必要がなかったのでは?」と思う勉強法は、定跡の丸暗記。将棋は覚えることより自分で考えることが大事だと分かったのは、ある程度強くなってからでした。

アマチュアの方が「忘れないうちに」と、今指した棋譜を急いでつけているのを見かけます。しかし、急所の場面はせいぜい数カ所。棋譜を全部残すより、急所をしっかり分析するほうが役に立ちます。ただ、思い出としては昔の棋譜は素晴らしく、私もいまだに小学生のころの将棋大会の棋譜をたまに見返します。

長時間やれば良いというものではありませんが、強くなる子どもは、やはり将棋が大好き。こちらが止めないと、いつまでも指しています。

いつも午後から夕方まで開いている弟子たちの研究会。朝から始めたらその分、早く終わると思いきや、共同で研究する時間が増えただけで終了時刻はいつもと一緒です。こんな光景もよく見ました。私の教室の生徒も、ほぼ同じ。好奇心を持って取り組んでいる時間が伸びるとき、と私は思いますが、保護者の方は大変かもしれませんね。

高校球児が甲子園で熱い戦いを繰り広げる季節です。1球ごとに状況が変わる野球と同様、一手一手考える将棋も「間の競技」です。相手の指し手を予想し、自分の構想を組み立てる。この考える「間」が、何よりの勉強なのではと思うことがあります。

8月には、棋士をめざす少年少女たちのスタートラインの奨励会試験があります。私の教室の生徒にも棋士志望の子がおりますが、自分の対局も含めて熱い夏にしたいものです。

すぎもと・まさたか 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2019年2月に八段。第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太七段の師匠でもある。

情報源:夏休みに将棋上達、杉本八段の勧める勉強法は:朝日新聞デジタル



ほぉ・・・