こんどこそ初戴冠を・・・
2019年6月21日05時00分
将棋の木村一基九段(45)が6日、第60期王位戦の挑戦者決定戦で羽生善治九段(48)を破り、豊島(とよしま)将之王位(29)=名人・棋聖=への挑戦権を獲得した。その2日前に歴代最多の1434勝を達成し、節目の記録であるタイトル通算100期獲得が期待されていた羽生九段は、目前で挑戦を阻まれた。しかしSNS上では、羽生九段の敗退を残念がる声よりも、木村九段の挑戦を喜ぶ声が目立った。
木村九段は、分かりやすい解説やユーモアあふれる話術で人気だ。技術面では粘り強く強靱(きょうじん)な受けに定評があり、「千駄ケ谷の受け師」の異名を持つ。ネット上では親しみを込めて「将棋の強いおじさん」などとも呼ばれている。
23歳でプロ入りと、トップ棋士では遅咲きながら、2001年度には勝率1位、最多勝利、最多対局の記録三冠に輝くなど活躍した。しかしタイトルには縁がなく、過去6回の挑戦はすべて失敗した。
09年の棋聖戦五番勝負では、羽生九段を2勝1敗と追い詰めながらそこから2連敗。並行して挑戦した王位戦七番勝負では深浦康市九段(47)に3連勝から4連敗を喫した。16年の王位戦でも羽生九段を相手に3勝2敗から2連敗。これまで、この一局を勝てば初タイトルという一番を実に8回も逃している。
羽生九段が獲得したタイトル99期のうち、4期は木村九段が献上したものだ。羽生九段の栄光の陰には、本来タイトルを取ってもおかしくない実力を持った棋士たちの敗戦がある。木村九段もその一人だ。一度はタイトルを取ってほしいと願うファンは多い。
挑戦権を得る過程では前王位の菅井竜也七段(27)との2度にわたる長手数の激闘を制した。「若い人と戦うのはつらい。ただ、精いっぱい頑張るだけと開き直るようになりました」。今度の相手は名人戦で圧倒的な強さを見せた豊島王位だ。「期待や楽しみよりも不安の方が大きい。情けないけれどストレートで負けないようにというのが正直なところ。一局一局大事に戦いたい」と話している。(村上耕司)
■木村九段のタイトル戦
2005年 竜王戦 0―4
08年 王座戦 0―3
09年 棋聖戦 2―3
09年 王位戦 3―4
14年 王位戦 2―4
16年 王位戦 3―4
情報源:無冠の木村九段、7回目の挑戦 「千駄ケ谷の受け師」の異名 将棋:朝日新聞デジタル
村)菅井七段とは300手超え、200手超えの激闘を繰り広げ、挑決では羽生九段を破りました→「若い人と戦うのはつらい。ただ、精いっぱい頑張るだけと開き直るようになりました」
無冠の木村九段、7回目の挑戦 「千駄ケ谷の受け師」の異名 将棋:朝日新聞デジタル https://t.co/L5Yq2IFj5G— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) June 21, 2019
7月3日に七番勝負が開幕