(大志 藤井聡太のいる時代)挑戦編:6 まるで家族、「弟」気遣う姉弟子:朝日新聞デジタル

ほぉ・・・・


2019年3月24日05時00分

新年の研究会での藤井七段(左)と室田女流二段(右から2人目)=1月4日、杉本八段提供
新年の研究会での藤井七段(左)と室田女流二段(右から2人目)=1月4日、杉本八段提供

「10秒将棋で負けたのは痛恨でした」。藤井聡太(そうた)七段(16)が冗談交じりに笑顔で漏らしたことがある。その対戦相手は、同じ杉本昌隆八段(50)門下の室田伊緒(むろたいお)女流二段(29)。藤井の姉弟子にあたる。

昨年1月3日。杉本一門の新年初めての研究会が名古屋であった。室田が藤井と1手10秒の練習将棋を指し、角道(かくみち)を止めず、積極的に攻めを狙う「ゴキゲン中飛車(なかびしゃ)」戦法で勝利した。結果が関西将棋界に伝わると、室田の評価はグンと上がった。

2人の初対戦は2011年12月までさかのぼる。プロ棋士養成機関「奨励会(しょうれいかい)」に入る前に、アマチュア有段者が腕を磨く「東海研修会」に通っていた9歳の藤井と、女流初段だった22歳の室田がハンディ無しの平手で対戦。室田が勝った。「私が勝つと、師匠に『よく勝ったね』と言われて。私も女流プロなんだから、って思いました」。室田はそう振り返る。

杉本は毎年、一門で新年の研究会を開いている。「弟子たちにお年玉も渡したいですし」と杉本。昨年に続き、今年も1月4日に室田と藤井は10秒将棋を1局指した。ここまで1勝2敗だった藤井の勝ち。いずれも非公式戦とはいえ、対戦成績は2勝2敗の五分となった。一門ら8人は練習将棋を指し、豚汁をつくって夕食をとった。研究は午後11時ごろまで続いた。室田は「まるで家族みたいな、和やかな感じでした」と話す。

藤井が優勝した昨年の新人王戦三番勝負。大盤解説会に出演した室田は、藤井の普段の姿についてあまり話さなかった。記者がその理由を聞くと、「姉弟子の私が何かしゃべって、藤井君の負担や邪魔になったらいけないと思った」。この話を聞いた藤井は「気を遣(つか)っていただくのはありがたいですし、尊敬します」とうれしそうだった。=敬称略(佐藤圭司)

◆毎週日曜に掲載します。

情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)挑戦編:6 まるで家族、「弟」気遣う姉弟子:朝日新聞デジタル


へぇ・・・