ふむ・・・
2019年1月29日13時29分
杉本昌隆七段の「棋道愛楽」
昨年、当時中学3年生の藤井聡太七段が優勝して大きな話題になった朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)。今年も本戦の公開対局が1月19、20の両日、名古屋市で指されました。
シードの藤井七段は20日に登場。対局室や大盤解説会には450人ものファンが駆け付けました。1回戦の相手は強敵の稲葉陽(あきら)八段です。初対局のNHK杯では負かされています。振り駒でやや不利とされる後手番になりましたが、果敢に主導権を取りにいきます。端攻めの研究手順がさく裂し、見事にリードを奪いました。
実はこの手順、新年の杉本一門の研究会で、藤井七段が他の兄弟子に話していた形。万全の準備が実現した将棋でもありました。リードを奪ってからは圧巻です。稲葉八段に粘る隙を与えない瞬時の寄せ。体が触れたと同時に、相手を一刀両断にするかのような切れ味でした。
午後の2回戦(準々決勝)は佐藤天彦名人を破った糸谷哲郎八段との対局です。昨年に続く佐藤名人との対戦は、実現しませんでしたが、糸谷八段は早指しにめっぽう強い棋士。時間で追い込まれないよう注意が必要です。
昼休憩では、糸谷八段が同門の女流棋士らと談笑して気分転換。対照的に藤井七段は昼食を終えると、座ったままジッと目をつぶって集中力を高めます。師匠の私や仲の良い奨励会員もいましたが、こんなときは話しかけないのが礼儀です。
序盤、糸谷八段の早指しに藤井七段の持ち時間がみるみるなくなっていきました。しかし心配はいりません。中盤で藤井七段が選んだ攻めはあまりにシンプルで、単調と紙一重。棋士なら「さすがにこれはやりすぎ」とためらうほどの一直線の手順でしたが、先入観にとらわれないのが藤井七段の将棋です。数手進むと、またもやはっきりと形勢でリードしています。控室では佐藤名人や稲葉八段も加わり、検討も熱をおびてきました。
糸谷八段も粘り、残り時間がない藤井七段が指したらすぐに指す得意の「時間攻め」で追い込みますが、藤井七段の指し回しは完璧無比。まったく付け入る隙を与えません。名人戦の挑戦者を争う順位戦最上位のA級八段2人を相手に、堂々の2連勝でベスト4を決めました。
対局後、インターネット番組の中継に師弟で出演。中継前に「〇手目(の自分の指し手)は変でしたか?」と藤井七段に聞かれましたが、勝利直後にもかかわらず、あくなき追究心の姿勢はさすがでした。
準決勝の相手は、19日の名古屋対局を勝ち上がった行方(なめかた)尚史(ひさし)八段です。反対のブロックでは渡辺明棋王、千田翔太六段が勝ち残りました。準決勝と決勝は2月16日、東京で指されます。
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すぎもと・まさたか 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2006年に七段。01年、第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太七段の師匠でもある。
情報源:兄弟子に明かした「端攻め」さく裂 藤井七段の追求心:朝日新聞デジタル
村)杉本七段のコラムです。先日の朝日杯・名古屋対局を取り上げています→「稲葉八段に粘る隙を与えない瞬時の寄せ。体が触れたと同時に、相手を一刀両断にするかのような切れ味でした」
兄弟子に明かした「端攻め」さく裂 藤井七段の追求心:朝日新聞デジタル https://t.co/bJw4SJW1Mw— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) January 29, 2019
ほぉ・・・