千田六段ベスト4、心理的余裕が好結果に 朝日杯将棋:朝日新聞デジタル

ほぉ・・・


朝日杯本戦で初の準決勝進出を決めた千田翔太六段=2019年1月28日午後9時1分、東京・千駄ケ谷の将棋会館、村上耕司撮影
朝日杯本戦で初の準決勝進出を決めた千田翔太六段=2019年1月28日午後9時1分、東京・千駄ケ谷の将棋会館、村上耕司撮影

第12回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)の本戦が28日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、千田翔太六段(24)が1回戦で羽生善治九段(48)、2回戦で渡辺大夢(ひろむ)五段(30)に勝って、準決勝に進出した。1次予選から勝ち上がり、初めてのベスト4入り。優勝経験者3人に交じって初の栄冠を目指す。

渡辺五段が同年対決制す

朝日杯本戦2回戦で千田翔太六段に敗れ、惜しくもベスト4入りを逃した渡辺大夢五段=2019年1月28日午後9時1分、東京・千駄ケ谷の将棋会館、村上耕司撮影
朝日杯本戦2回戦で千田翔太六段に敗れ、惜しくもベスト4入りを逃した渡辺大夢五段=2019年1月28日午後9時1分、東京・千駄ケ谷の将棋会館、村上耕司撮影

朝日杯は持ち時間がそれぞれ40分、切れると1手1分の秒読みとなる。前王座の中村太地七段(30)と渡辺大夢五段(30)による1回戦は午前10時に始まった。王座のタイトルを持っていた中村は本戦シード、渡辺は1次予選、2次予選を5連勝して初めての本戦となる。2人は過去に1度、新人王戦トーナメントで対戦したことがあり、そのときは渡辺が勝っている。

A図・渡辺―中村戦・▲5四角まで
A図・渡辺―中村戦・▲5四角まで

本局は渡辺の先手で角換わりの戦型に。渡辺が仕掛け、中村が反撃する展開で激しい攻め合いとなった。終盤、双方1分将棋の中、中村が決め手を逃したあたりから混戦に。A図は、△7六竜からの先手玉の詰めろを防ぎつつ渡辺が▲5四角と攻防に打ったところだ。中村はここで△7四竜と馬を取ったが、これが失着。以下▲同銀成△7六銀▲6六玉で先手玉が寄らなくなった。A図では△4五銀と攻防に打って先手玉を縛っておけば中村の勝ちだった。

勝ちを逃してからも中村はぎりぎりまで迫ったが、打ち歩詰めで先手玉が逃れる筋があって詰めろが続かず、力尽きた。感想戦で中村は「先手玉を上に逃がしたのがひどかった」と後悔しきりだった。

羽生九段に誤算、初戦で敗れる

朝日杯本戦1回戦を戦う羽生善治九段(左)と千田翔太六段=2019年1月28日午後2時1分、東京・千駄ケ谷の将棋会館、村上耕司撮影
朝日杯本戦1回戦を戦う羽生善治九段(左)と千田翔太六段=2019年1月28日午後2時1分、東京・千駄ケ谷の将棋会館、村上耕司撮影

本戦1回戦の羽生善治九段(48)と千田翔太六段(24)の対局は午後2時から行われた。千田も1次予選から5連勝しての本戦初出場で、今年度の勝率は8割を超え、藤井聡太七段に次いで2位につけている。

B図・羽生―千田戦・△8六歩まで
B図・羽生―千田戦・△8六歩まで

羽生の先手で、互いに50手を超えるまでほぼノータイムで指し進めるという、角換わりの最先端の将棋になった。B図は、戦いが始まって千田が△8六歩と飛車先の歩を突いたところだ。玉頭だけに通常は▲同歩と取るところだが、羽生は積極的に▲4四角と出た。以下△6三金▲同銀成△8七歩成▲同金△6三銀▲8六歩△8五歩▲同歩△7六歩と進み、羽生の手が止まった。ここで▲1一角成と香車を取るのが普通だが、△3三桂と跳ねられると8一の飛車で馬取りになる。馬を逃げると△5五角が厳しいのだ。思うような成果が挙げられなかったのが羽生の誤算だった。

朝日杯本戦1回戦で千田翔太六段に敗れた羽生善治九段=2019年1月28日午後3時58分、東京・千駄ケ谷の将棋会館、村上耕司撮影
朝日杯本戦1回戦で千田翔太六段に敗れた羽生善治九段=2019年1月28日午後3時58分、東京・千駄ケ谷の将棋会館、村上耕司撮影

この後、千田は羽生の猛攻に的確に対応し、最後は大差で押し切った。過去5回の優勝を誇る羽生が本戦1回戦で姿を消した。対局後、羽生は「角を出たのは味消しでしたか。△8六歩は取るしかなかった」と話した。

渡辺五段が機を逸す

2回戦の千田翔太六段(24)―渡辺大夢五段(30)戦は、午後7時に始まった。2人は初手合い。いずれも1次予選から勝ち上がって1回戦でシード棋士を破った。昨年の藤井七段の躍進を思わせる快進撃で、互いに初のベスト4入りをかけての対戦だ。

C図・千田―渡辺戦・△2三同銀まで
C図・千田―渡辺戦・△2三同銀まで

渡辺の先手で、互いに飛車先を突き合って相懸かりの戦型に。C図はその中盤だ。渡辺はここで▲4六角と打ったが、機を逸した。ここは▲2五桂と跳ね、△2二角▲3三歩△同桂▲6六角と攻めるべきだった。渡辺はこの直前にも仕掛けを見送っており、受けに定評のある渡辺らしい選択だったが、消極的すぎた。

▲4六角のあとは△7三桂▲6四角△8一飛と進み、千田が渡辺の攻めを完封して快勝した。

今年度好調の理由を千田は「順位戦でB級2組に上がることができて心理的に楽になったことがいい影響を与えている」と分析する。早指しではNHK杯戦で準優勝の実績がある。準決勝で戦う渡辺明棋王には2年前の棋王戦五番勝負で2勝3敗と惜しくも敗れており、「今度は勝ちたい」と抱負を語った。

準決勝の組み合わせは、行方尚史八段―藤井聡太七段、渡辺明棋王―千田翔太六段となった。準決勝と決勝は2月16日、東京・有楽町朝日ホールで公開で行われる。本戦の棋譜は朝日新聞デジタルの将棋ページ(http://www.asahi.com/shougi/)で(有料会員が対象)。(村上耕司)

情報源: 千田六段ベスト4、心理的余裕が好結果に 朝日杯将棋:朝日新聞デジタル



渡辺大夢五段 vs △中村太地七段(棋譜を見る

121手まで、渡部大夢五段の勝ち

https://www.youtube.com/watch?v=AvwvqxiO-RU&hd=1


羽生善治九段 vs △千田翔太六段(棋譜を見る

116手まで、千田翔太六段の勝ち

https://www.youtube.com/watch?v=OND1BX8TwxA


渡辺大夢五段 vs △千田翔太六段(棋譜を見る

108手まで、千田翔太六段の勝ち

https://www.youtube.com/watch?v=csRSvIo-6N0&hd=1



次は準決勝で、渡辺棋王との公開対局。