ほぉ・・・
2019年1月20日05時00分
2017年6月2日、大阪市福島区の関西将棋会館。当時四段だった藤井聡太(そうた)七段(16)は棋王戦の予選で、澤田真吾六段(27)と向き合っていた。藤井が勝てば、デビューから無傷の20連勝を達成する。50人近くの報道陣が集まった。師匠の杉本昌隆七段(50)は「この一戦が最難関。澤田六段の方が総合力は上」と見ていた。
対局は、最初から波乱含みだった。午前10時に始まると、同一局面が4度出現する「千日手」が成立。午後0時40分から指し直しになった。
午後6時すぎ。劣勢の藤井について、日本将棋連盟の常務理事を務める脇謙二(わきけんじ)八段(58)は報道陣に「今までで最大のピンチです」と解説した。
自玉が窮地に追い込まれた藤井は、澤田の玉に王手を連発し始めた。▲7六桂と、持ち駒の桂馬を放って王手をかけると「すごい手が出た」と脇。
澤田は玉を逃がすか、盤上の金で桂馬を取るかの二者択一を迫られた。持ち時間を使い切り、1手を1分未満で指さなければならなくなっていた。澤田は「桂馬が3枚、自玉の近くにあって、読みづらかった」と言う。読みにくい局面に藤井が誘導したのかもしれない。
結局、澤田は桂を金で取り、藤井の玉の危機が緩和され、逆転劇へとつながることに。脇は思わずこうつぶやいた。「神に選ばれている」。あまりの勝負強さに感服した様子だった。
午後8時27分、155手で藤井は勝った。局後に藤井は「(20連勝は)自分の実力からすると僥倖(ぎょうこう)としか言いようがない」と述べた。
記録係として対局を見ていた冨田誠也三段(22)はこう話した。「藤井さんは桂打ちの勝負手をかなり早い段階でみつけ、その局面に誘導したと思います。すごい勝負術に驚きました」
=敬称略
(佐藤圭司)
◆毎週日曜に掲載します。
情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)飛躍編:7 窮地で放った桂馬、「神に選ばれた」20連勝:朝日新聞デジタル
へぇ・・・