ふむ・・・
杉本昌隆七段の「棋道愛楽」
最近は将棋のイベントが多いおかげでしょうか。棋士が将棋を「指す」のではなく、将棋の魅力を「話す」機会が増えています。私も講演を頼まれる機会があります。
多い月だと3、4回、時間は平均で約1時間。時間が余ったことはありませんが、足りなくなったことは何度もあります。私の将棋は長期戦が特徴ですが、どうやらこちらも同じスタイルのようです。
地方での講演は、新しい人との出会いや訪れたことがない土地に行く楽しさがあります。11月は岩手や石川で、12月は熊本へ。鉄道ファンの弟子(藤井聡太七段)も連れて行きたいなぁ……などと思いながら長距離を移動します。
依頼先で多いのが企業です。社員の方の勉強会でもあり、事前に下調べをして臨みます。将棋界は組織でありながら、個人事業主の集団。依頼先の企業の活動や社風と共通点がないものか……。いつも頭を悩ませますが、全く違う業界の方との交流はこちらも勉強になります。
講演後の質疑応答では思わぬ質問を受けることがあります。
「弟子が師匠を追い越したら2人の関係は逆転しますか?」
出世して上司を追い越し、部下が上司の上に立つ……。そんなイメージなのかも知れませんが、将棋の世界では幸い?そんなことはありません。
小学生からは「藤井七段とけんかをしたことはありますか?」と。
子どもらしい素朴な質問ですが、なかなか奥が深い。さすがに口げんかや取っ組み合いはありませんが、盤上では常に戦っています。また、感想戦では口論ならぬ議論を交わします。その意味では、いつもけんかをしているのかも知れませんね。
将棋は情操教育にも大変良いとされています。塾や学校などの教育関係の場に、棋士が呼ばれる機会が増えたことは喜ばしい傾向です。
11月末には、愛知県の知多地域の公立小中学校の校長先生約100人を集めた研修会で講演します。将棋の魅力を知ってもらうことで、学校の部活動やクラブ活動に将棋を取り入れてもらえるかも知れません。
スポーツ選手はオフシーズンにイベント活動をすると聞きますが、棋士に休みの時期はありません。対局の翌日が講演の場合は「明日気持ちよく話すためにも、この勝負は頑張らなくては」という気持ちになることもあります。どんなに良いテーマでも、それを話す人が充実していないと魅力は伝わりません。本業を忘れずに、将棋の普及に努めたいものです。
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すぎもと・まさたか 1968年、名古屋市生まれ。90年に四段に昇段し、2006年に七段。01年、第20回朝日オープン将棋選手権準優勝。藤井聡太七段の師匠でもある。
情報源:「藤井七段とけんかは?」 講演で思わぬ奥深い質問:朝日新聞デジタル
村)杉本昌隆七段のコラムです。多い時には月に3、4回講演するようになった杉本七段。小学生からは「藤井七段とけんかをしたことはありますか?」という質問を受けたことがあるそうです。
「藤井七段とけんかは?」 講演で思わぬ奥深い質問:朝日新聞デジタル https://t.co/Q9DFuaHYrH— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) November 27, 2018
ほぉ・・・