(大志 藤井聡太のいる時代)修業編:8 師匠が配慮、有力棋士との他流試合へ:朝日新聞デジタル

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豊島七段(当時)と練習対局をする藤井初段(同、右)。師匠の杉本七段が見守る=2014年12月29日、佐藤圭司撮影
豊島七段(当時)と練習対局をする藤井初段(同、右)。師匠の杉本七段が見守る=2014年12月29日、佐藤圭司撮影

藤井聡太(そうた)七段(16)と同じ愛知県出身の豊島(とよしま)将之八段(28)が7月、羽生善治(はぶよしはる)棋聖(47)を破って初タイトルに輝いた。東海3県出身の棋士のタイトル奪取は、ほぼ半世紀ぶりだった。

聡太は2014年12月末、豊島と練習将棋を指したことがある。「奨励会(しょうれいかい)」初段の小学6年生とタイトル戦にも出るトップ棋士。格の違う二人の出会いをつくったのが、聡太の師匠の杉本昌隆七段(49)だった。

名古屋市で愛知県出身の棋士を囲む懇親会があり、杉本は関西在住の豊島を翌日の練習対局に誘った。豊島は「自分もまだ弱かったころ杉本先生に教わりましたし、藤井さんがどんな将棋を指すのか興味もありました」と振りかえる。

対局は、名古屋市内のビル内にある「杉本昌隆将棋研究室」で行われた。杉本―豊島戦に続き、豊島―藤井戦。後手番の豊島が攻める展開だった。豊島は「藤井さんが私に攻めさせているという感じ。若い人は攻めるのが好きな人が多いですが、受ける展開を苦にしない。割と渋い棋風かなという印象でした」と話す。対局は矢倉(やぐら)の戦型となり、豊島が勝った。

杉本が、聡太の指導で心がけたことがある。自身の将棋の癖をつけさせない方が良いと考え、直接教えることを控え目にしたのだ。代わりに幅広い人脈を生かし、有力棋士たちとの練習将棋という実戦を通じて学ばせた。聡太が強くなった理由を豊島は「終盤で正確に読んでいく力はもともとトップレベル。それに加え、局面を正しく判断する能力を、一気に身につけたのかな、と思います」と話す。

杉本は翌年夏、聡太を連れて群馬県高崎市の三浦弘行(ひろゆき)九段(44)の自宅を訪ね、一泊二日の合宿をした。三浦九段は「練習対局で私が勝ちましたが、藤井さんはまだ粗削りな感じ。そのとき杉本さんが『もうちょっと強いはず』とフォローしたのです。藤井さんを可愛がっているなあ、と思いました」と振り返った。=敬称略(佐藤圭司)

◆毎週日曜に掲載します。

情報源:(大志 藤井聡太のいる時代)修業編:8 師匠が配慮、有力棋士との他流試合へ:朝日新聞デジタル


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