ふむ・・・
飛車や角が乱舞する将棋の戦法「横歩取り」で「青野流」と呼ばれる新戦術を開拓した青野照市九段が、棋士らが選考する升田幸三賞を受賞した。一時は下火になっていたが、研究が進んで再び指されるようになった。今期の名人戦の舞台でも登場するなど、改めて注目されている。
升田賞は、「新手一生」を掲げて独創的な将棋を指し続けた升田幸三・実力制第四代名人の名を冠した賞で、毎春、新しい構想を編み出した人に贈られる。
青野流は、横歩取りの先手番が使う攻撃的な作戦。A図で▲5八玉と中住まいに構え、▲3六歩~▲3七桂として▲4五桂などの攻めを狙うのが骨子となる。▲5八玉では、飛車を3六~2六と立て直すのが通常だが、それを省略して攻撃の形を築く狙いだ。
青野はこの作戦を2002年から指し始め、A級順位戦で谷川浩司九段を破るなどの実績をあげた。だが、後手番の対策が進み、一時はほとんど指されなくなった。
2012年。王将戦の飯島栄治七段―森内俊之名人(当時)戦で、先手の飯島七段が指した新手で風向きが変わった。従来はB図で、▲3五飛に△4四角とされ、先手が不利だと思われていた。しかし、▲3五飛ではなく▲8三歩が好手。△同飛▲8四歩△8二飛▲3五飛△8四飛▲6六角と進み、先手が勝った。この発見で、青野流の復権が進み、今年の名人戦第1局、第4局でも登場するほど流行するようになった。
65歳の青野は、対振り飛車急戦の「鷺宮定跡」の開発でも升田賞を受賞した経験がある。今回の受賞は4月に決まった。「うれしいと同時に、今になって賞をもらえることにびっくりした。この作戦は、奨励会をやめた弟子が指しているのを見て、一緒に研究した。共同でもらった賞だと思っている」
■「勇気流、貢献うれしい」 佐々木六段も受賞
今春の升田賞は、佐々木勇気六段が創案した「勇気流」も同時受賞となった。A図から▲6八玉と上がるのが勇気流。▲5八玉と構える青野流と似ているが、別の狙いを秘めている。
先手は5八玉型の場合、後手が△7六飛と歩を取った時に、△8八角成(▲同銀なら△7八飛成、▲同金なら△7九飛成が厳しい)を受ける必要がある。佐々木は「6八玉型なら、△7六飛に対して受けなくて良い」という点に着目。受ける手を省略した分、攻撃態勢を一足早く築ける利点があり、事前の研究が比較的生きにくい展開になりやすいという。佐々木はA図での▲6八玉を3年前に初めて指した。この局面の先手番で16勝1敗と大幅に勝ち越している。
23歳の佐々木は3年前、昨年亡くなった大内延介九段から愛用の将棋盤を譲り受けたのを契機に、自分の将棋を考え直す時間が増えたという。新構想は、その盤に向かって研究する中で生まれた。「升田賞を取りたい、という気持ちは持っていた。棋士として、将棋の技術面で貢献できたのはうれしい」と話している。(村瀬信也)
情報源:横歩取り「青野流」復権 青野照市九段、2度目の升田幸三賞 将棋:朝日新聞デジタル
ほぉ・・・