藤井六段、高校生棋士に 今後の目標はやや意外なこと:朝日新聞デジタル

ふむ・・・


公式戦29連勝、朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)での優勝、記録4部門の1位独占……。2017年度の藤井聡太六段(15)は、まさに縦横無尽の活躍だった。史上5人目の「中学生棋士」の快進撃は様々なメディアで繰り返し取り上げられた。

笑顔で対局を振り返る藤井聡太六段=2017年9月
笑顔で対局を振り返る藤井聡太六段=2017年9月

名人戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)につながる順位戦では、C級2組から一つ上のC級1組への昇級を決めた。王座戦(日本経済新聞社主催)では、あと4勝で挑戦権獲得という位置まで勝ち上がっている。多くの棋士たちが、「いつタイトル戦で挑戦してもおかしくない」と口をそろえる。

3月、藤井六段に今後の目標を聞く機会があった。「タイトルを目指していかないと、という思いはあります」と答えつつ、やや意外なことを口にした。

「これからは、強くなるための方法論をしっかり考えないといけないのかな、と思う。これまでは、そこまで考えてこなかったかなと思うので」

藤井六段は2012年、小学4年の時に棋士養成機関「奨励会」に入った。わずか3年で、プロ入り一歩手前の三段に昇段したが、それまでの主な勉強法は「詰将棋を解くこと」と「インターネット対局」だったという。

16年、プロ入りを争う三段リーグ戦に参加するようになってから、将棋ソフトを研究に採り入れている千田翔太六段(23)に触発されて、ソフトを使うようになる。「形勢判断を数値化できる点が革新的だった」。従来の常識にはない手を示すソフトの活用により、実力はさらに伸びた。同年10月、14歳2カ月という史上最年少で四段昇段(プロ入り)を果たした。

実戦を指す、棋譜を並べる、戦術を研究する――。棋士たちは皆、強くなるために血のにじむような努力を続けている。栄冠の裏にそうした積み重ねがあることは確かだが、苦労が報われず、敗れ去る者もいる。厳しい勝負の世界の常だ。

藤井六段のたたずまいは、そうした棋士のイメージと少し異なる。師匠の杉本昌隆七段(49)は「本人を見ていると、『勉強している』という感じには見えない。楽しいことを続けていたい、としか見えない」。その上で、こう語る。「天才とは、こういうものなんですね」

藤井六段は強いだけでなく、将棋に「華」があると言われる。飛車や角、桂馬などの駒をダイナミックに使った指し手の数々は、幼い頃から親しんできた詰将棋の影響も指摘される。今の藤井六段があるのは、将棋を人一倍楽しむ気持ちがあればこそ。藤井将棋を見ると、そう思えてならない。

藤井六段は28日、中学生棋士として最後の対局に臨んだ。勝てば17連勝だったが、敗れた。「初めて指した形だったが、感覚がつかめていなかった」と反省した。

井上慶太九段に敗れた後、対局を振り返る藤井聡太六段=大阪市の関西将棋会館、佐藤圭司撮影
井上慶太九段に敗れた後、対局を振り返る藤井聡太六段=大阪市の関西将棋会館、佐藤圭司撮影

インタビューでは、これまでの活躍について「自分への通信簿は何点か」という質問も出た。考え込んだ末、こう答えた。

「今の段階で、これまでの結果に対しての評価はまだ早い。まだまだ実力をつける時期だと思っている」

4月になり、藤井六段は「高校生棋士」になった。今後、どこまで強くなり、どんな足跡を残すのか――。物語の「第2章」が始まる。(村瀬信也)

情報源:藤井六段、高校生棋士に 今後の目標はやや意外なこと:朝日新聞デジタル


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