ふむ・・・
ますます悩ましい「将棋」と「囲碁」子どもにやらせるならどっち?(2)
子どもの脳を鍛えるのに有効な将棋と囲碁だが、実は藤井聡太・新六段(15)と井山裕太七冠(28)がこの道へと入ったのは、共に「5歳」の時だった。“適齢期”を過ぎた我が子にはもう遅いのか――。
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そう不安に思うオトナたちはちょっと待った。医学博士で近畿大学医学部講師の花田一志氏の解説をまずは聞こう。
「ヒトの脳は6歳くらいまでに9割完成すると言われますが、それ以降でも発達しないわけではありません。神経細胞のネットワークは、知性や理性を司る前頭葉を頻繁に使うことで、より複雑になっていきますから、幾つになっても脳に刺激を与えることは大切です。次の一手はどうしようか、相手はどう出てくるか。繰り返し考えることで脳は常に鍛えられるんです。もちろん、お子さんが『プロになりたい』と考えるなら、脳力アップのためにも年齢が早い方がいいに越したことはありませんが」
実際、5歳の“井山少年”は父親が買ってくれたテレビゲームの囲碁に夢中になり、小学1年で石井邦生九段に弟子入り。中学1年で入段、プロ入りを果たして才能を開花させてゆく。
一方で“藤井少年”の背中を押したのは祖母と両親だったと語るのは、『伝説の序章 天才棋士 藤井聡太』の著書もある元日本将棋連盟理事の田丸昇九段だ。
「藤井六段の相手だった祖父母や両親は決して強いわけではなかったので、彼も最初は勝つのが嬉しくてのめり込んだ。けれど、簡単に勝てる相手ではつまらなくなるのがこの世界。幼少期の加藤一二三九段も、近所が弱い子ばかりで将棋から離れたことがありました」
そこで藤井六段の両親は、息子のために通える将棋教室を探し歩いたそうで、
「負けず嫌いな藤井六段は、敗れる度に大泣き。付き添った母は慰めると共に詰将棋の問題を分かりやすく紙に書いてあげた。そうしたサポートと負けん気の強さが、藤井六段をここまで強い棋士にしたのです」(同)
美的感覚を研ぎ澄ます「芸術家脳」
子どもが夢中になるのは将棋か囲碁か。オトナが差し伸べる「一手」によって大きく違いが出そうだが、
「どちらを子どもに習わせるかは、その子の特性に合わせ親が見極めるべきです。欠点を補うために無理強いするのではなく、その子の良い所を伸ばそうと考えることが重要で、チャンスを与えてあげるのが親の役目ですね」
とは、神経内科が専門の医学博士で米山医院院長の米山公啓氏である。
「将棋の駒には漢字が書かれていますが、それを理解するのは脳の前頭葉。また、将棋は王を取るため理詰めで手順を考える。つまり論理的思考を司る脳の部位や働きをより活性化するので、そうした能力を伸ばすには将棋と言えるでしょうか」
一方、囲碁については、
「将棋より広い盤面で自由に打ち合うので、新たな発想を見出す喜びを味わえる。芸術などの創造力を喚起する脳の機能が、大いに刺激されることになるでしょう」(同)
最初から駒が並べてあって動かし方も決まっている将棋と比べ、囲碁は何もない盤面に石を置ける。
「美的感覚が鋭い人は、囲碁のセンスもありますよ」
と言うのは、AKB48の元メンバーで日本棋院の囲碁大使として活動する戸島花さん(29)だ。
「囲碁はここに石を置いたら大きく陣地を作れそうといったイメージで打つ。碁盤をカンバスに見立てて“ここに絵の具が足りない”と考えるんです。そのくらいの気持ちで打った手が、意外に間違いじゃなかったりするから面白い。私は中学生から始めましたが、昔から美術が得意科目でした」
美的感覚が研ぎ澄まされる「芸術家脳」が、子どもに備わるというワケなのだ。
人生設計を描ける「空間認知能力」
理詰めの将棋か、美的感覚を養う囲碁か。どちらの能力も子どもに備わって欲しいと願うオトナたちには悩ましいところ。そこで、子どもの気質が判断材料になるというのは脳科学者の茂木健一郎氏で、
「将棋は王が取られたら終わり。勝敗がハッキリしているので、負けず嫌いな子に向いていると思います」
勝負に勝つことで欲求が満たされれば、脳へ「快」を与えるドーパミンの分泌が促進されると言うのだ。
「勝つことが嬉しくて伸びるタイプの子には将棋がいい。比べて囲碁は勝ち負けがゆったりしている。自陣を広げるため一進一退を繰り返し、ある局面で負けても次の局面では勝つ。全体を見渡す空間認知能力を使うため、大局観やバランス感覚が養われます」(同)
実体験からその効能を説くのは、関西の難関校・灘高から京大医学部へと進み、医師免許も持つ棋士の坂井秀至八段(44)である。
「振り返れば、囲碁は受験勉強にも役立ちましたね。効率よく陣地を取っていくゲームですから、どうすれば陣地をより広く囲えるかと前半は空間を把握し、後半は陣地をめぐるシビアな数の争いになるので、瞬時に正確な計算が求められる。常に算数の問題を解くようなものですから、おかげで数学も得意になりました」
白と黒の石の打ち合いが、やがては自らの“人生設計”を描く上での有効なツールになると言うのだが、組織のトップに立つ経営者たちも囲碁を好む傾向にある。
「経営者の皆さんは、常に先々を見通す大局観や、バランス能力を求められるからでしょう」(茂木氏)
どんな子どもに育てたいか。まずはオトナがじっくり「長考」してみては――。
情報源:「将棋」と「囲碁」子どもにやらせるならどっち? 藤井六段、井山七冠のスタートは“5歳から” (デイリー新潮) – Yahoo!ニュース
情報源:「将棋」と「囲碁」子どもにやらせるならどっち? 藤井六段、井山七冠のスタートは“5歳から” | デイリー新潮
へぇ・・・