どっちにも勝ってほしいなぁ・・・
待ちに待った羽生善治竜王と藤井聡太四段のドリームマッチが、2月17日についに実現する。2時間ほどで勝敗が決まるこの対決、注目すべきは、どちらが先手か、戦法、そして「指先」だ。
最初に姿を見せたのは、和服に身を包んだ将棋界の絶対王者、羽生善治竜王(47)。21世紀生まれのスーパールーキー、藤井聡太四段(15)がそれに続いた。1月16日、東京都渋谷区のホテル。ここで二人は、2月17日の公式戦初対戦を前に共同記者会見に臨んだ。
二人が戦うのは、約160人の棋士らが出場する「朝日杯将棋オープン戦」の準決勝。本戦トーナメントで羽生竜王は1月13日に、藤井四段は翌14日に2連勝し、「4強入り」「初対戦」を決めた。
特筆すべきは言うまでもなく、藤井四段が準々決勝で佐藤天彦名人(30)から金星を挙げたこと。中学生が公式戦で名人を破ったのは史上初の快挙だ。
史上初の「永世七冠」を達成し、国民栄誉賞の受賞も決まった羽生竜王も、記者会見で、
「どこかで顔を合わせるとは思っていたが、こんなに早く実現するとは思っていなかった。少し驚いている」
と話し、藤井四段はこう笑顔を見せた。
「対戦の機会を得ることができて、とてもうれしく思っている。楽しんでいただける熱戦が演じられるように頑張りたい」
対戦が決まった直後とあって、詰めかけた報道陣は30社80人にも上ったが、その熱気に比して二人の雰囲気は終始和やか。質問された藤井四段が考え込むと、羽生竜王が笑みを浮かべて視線を向ける場面もあった。
とはいえ、いまや将棋ファンならずとも注目の対局。一体どう楽しめばいいのか。
ポイントはいくつかある。
両者は過去、非公式戦で2回対戦し1勝1敗。昨年2月、AbemaTVが企画した対局では、藤井四段が流行の戦法の一つ「角換わり」を採用し、勝っている。この勝利が契機となって「藤井ブーム」に火がついたことは、記憶に新しい。
羽生竜王が開く研究会のメンバーである村山慈明七段(33)は、どんな戦いになるかは、羽生竜王次第だと見ている。
現在の将棋界では、激しい攻め合いになって一気に決着がつく可能性を秘めた「居飛車」が主流の指し方だ。藤井四段が羽生竜王を破った時の角換わりも、居飛車の一種。藤井四段はプロ入り以来、この作戦を貫く。
対して羽生竜王はオールラウンダーだ。居飛車を選ぶことが多いものの、攻撃の要である飛車を左辺に移動させて戦う「振り飛車」も使いこなす。この戦法ではじっくりとした戦いになりやすく、居飛車とは異なる感覚が求められる。村山七段は、
「羽生竜王は今回の朝日杯本戦で、2局とも(振り飛車の一つである)四間飛車を採用し、事前の研究を生かしにくい力勝負に持ち込んだ。藤井四段戦で、再び振り飛車を選ぶことも考えられる」
と分析。どちらが先手番になるかも、勝敗を左右することになりそうだ。
朝日杯は、持ち時間が各40分と短い「早指し」で、1局あたり2時間程度で決着がつく。羽生竜王はこの「早指し」に強く、朝日杯過去10回のうち5回も優勝している。藤井四段は「公式戦29連勝」という大記録が光るとはいえ、デビューしてまだ1年余りの若武者だ。
村山七段は言う。
「羽生竜王の経験が上回る可能性が高いと思うが、藤井四段にも勝つチャンスは十分ある」
将棋が全く分からないという人は、羽生竜王の指先と藤井四段の姿勢に注目してほしい。
羽生竜王は、勝ちを確信すると指先が震える、とされている。2008年、永世名人の資格を獲得した第66期将棋名人戦、森内俊之名人との対局でもそうだった。一方の藤井四段は、優勢の局面で指し手を誤った際に身をよじりながらミスを悔やみ、ファンを驚かせたことがある。
親子ほど年の離れた天才二人の激突は、どんなドラマを生み出すだろうか。(朝日新聞文化くらし報道部・村瀬信也)
※AERA 2018年1月29日号
情報源:羽生と藤井のドリームマッチ 勝負の行方は「羽生次第」〈AERA〉 (AERA dot.) – Yahoo!ニュース
情報源:羽生と藤井のドリームマッチ 勝負の行方は「羽生次第」 (1/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)
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