藤井竜王の師匠である杉本八段(左)も愛知を拠点として活動する(写真・時事通信フォト)

藤井聡太が叶えた「名古屋将棋対局場」新設 東海地方の棋士50年来の悲願だった|NEWSポストセブン

22日に行われた順位戦がこけら落とし


2022.06.25 07:00

藤井竜王の師匠である杉本八段(左)も愛知を拠点として活動する(写真・時事通信フォト)
藤井竜王の師匠である杉本八段(左)も愛知を拠点として活動する(写真・時事通信フォト)

藤井聡太竜王(19)の地元・愛知に、東京、大阪に次ぐ3拠点目の公式対局場がついに新設された。名古屋駅前の複合商業施設「ミッドランドスクエア」の25階のフロアをトヨタ自動車が提供。「名古屋将棋対局場」の新設の背景には、藤井竜王の活躍とその“大師匠”にあたる板谷進九段(故人、1988年没)の存在があった。今回の新設は東海地区の棋士にとって「悲願」だったのだという。

「名古屋将棋対局場」のこけら落としとなった6月22日の今期順位戦A級の初戦では、藤井竜王が佐藤康光九段(52)を101手で破り、初の名人位挑戦に向けて白星発進を決めた。

藤井竜王にとって対局場の新設は「移動時間の激減」という大きなメリットをもたらす。「名古屋将棋対局場」では、本年度は順位戦を中心におよそ100局が行なわれる予定だ。日本将棋連盟によると、藤井竜王は順位戦9局中6局を名古屋で対局する予定。地元での対局は、体力的・精神的な負担の軽減につながる。将棋ライターの松本博文氏が解説する。

「公式戦は基本的に将棋会館のある東京か大阪で行なわれる場合がほとんどです。愛知在住で関西(大阪)所属の藤井竜王は、東京では前日に1泊。大阪では当日朝、始発近い時間の新幹線に乗っているのだと思います。藤井竜王の鉄道好きは有名で、移動は苦にしていないようでもありますが、それでも名古屋での対局ならば、移動にかける負担は少なくなると考えていいでしょう。5つのタイトルを保持する藤井竜王は、タイトル戦のための地方転戦が多いため、それ以外の対局で名古屋開催のものが出てくるメリットは大きい」

対局前に長い移動時間がある場合、棋士はどのように過ごしているのだろうか。

「棋士の多くは東京か大阪周辺に住んでいます。地方に住む人は少数派です。関東、関西の棋士がそれぞれアウェイに遠征するケースでは新幹線での移動がほとんどですが、その間の過ごし方はまちまちでしょう。これまでは、そこまで根を詰めて移動中も将棋のことを考えている人は多くなかった。ゆったり過ごして心身を休ませ、翌日からの対局に臨むという棋士がほとんどだったでしょう。しかしコンピュータ将棋(AI)が強くなって以降は、事前の準備が勝敗につながる傾向が強くなりました。現在では移動中もリモートで自宅のハイスペックなパソコンを操作し、研究している棋士もいます」(松本氏)

棋士の生活サイクルに大きな影響を与えそうな「名古屋将棋対局場」の新設までの道のりには、東海地区の将棋文化の発展に寄与してきた板谷一門の存在がある。名古屋に公式対局場が置かれるまでに実に50年以上の年月を要した。

名古屋将棋対局場が新たに開設されたミッドランドスクエア(写真・時事通信社)
名古屋将棋対局場が新たに開設されたミッドランドスクエア(写真・時事通信社)

板谷一門 もう一つの悲願の実現も……

「板谷四郎九段、ご子息の板谷進九段が名古屋に『第三の将棋会館』を建てることを目標に、東海地区の将棋の普及に尽力されてきました。1970年には日本将棋連盟東海本部が設立されました。その頃は板谷将棋教室の奥座敷で公式対局も行なわれていました。しかしそれも長くは続かなかったようです。エネルギッシュに普及活動を続けていた板谷進九段は1988年、47歳の若さで死去。さらには中心人物であった父の板谷四郎九段も1995年に亡くなり、東海棋界は厳しい局面を迎えました。その後は板谷進九段の弟子である杉本昌隆八段(53)が名古屋在住の棋士として奮闘。地元の人々が地道に普及活動を続ける中で、大天才・藤井少年が現れることになります。

将棋界ではひとりのスーパースターが今までの景色をがらっと変える瞬間がありますが、今回はまさにスーパースターの藤井竜王の存在が大きかったでしょう。板谷進九段は、藤井竜王の師匠である杉本八段の師匠なので、藤井竜王と板谷進九段とは孫弟子と大師匠の関係にあたります。東海地区の関係者の夢であり、また板谷一門の悲願の一つはタイトルを持ち帰ることでした。それはすでに板谷進九段の孫弟子である藤井竜王が実現しています。さらにまた、もう一つの悲願も実現しつつあります」(松本氏)

もう一つの悲願は、関西(大阪)に続き「第三の将棋会館」を新設することだ。「名古屋将棋対局場」はその大いなる目標へとつながっていくことが期待されている。

「何にしても東京と大阪が拠点となるので、名古屋は都会ではあるもののハンディキャップがあるわけです。藤井竜王がプロになるまでは、小学生のときから大阪の関西奨励会に通っていました。親御さんにとっても大変な負担だったことでしょう。ゆくゆくは奨励会や将棋会館が東海地区にできたら、東海地方のさらなる将棋の普及につながることは間違いないでしょう」(松本氏)

藤井竜王が切り開いた地元・愛知の公式対局の拠点は、いずれ「東海将棋会館」として大きく実を結ぶことにつながる一歩となるのだろうか。

情報源:藤井聡太が叶えた「名古屋将棋対局場」新設 東海地方の棋士50年来の悲願だった|NEWSポストセブン



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